ACADEMIA 学生の皆さまへ
世界経済の現状と見通し -IMF発表データ
1.IMF による世界経済の現状と見通し
IMFが2020年4月に発表した「WorldEconomic Outlook, April 2020」によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行によって、世界経済は2020年にマイナス3%と大幅に縮小すると予測している。ただ2020年後半にパンデミックが収束し、拡散防止措置を徐々に解除することが可能になるという想定に基づくシナリオによると、2021年には政策支援もあって経済活動が正常化し、世界経済は5.8%成長すると予測している。
当面の優先事項は新型コロナウイルス大流行の影響を封じ込めること、とりわけ医療支出を増やして医療部門の能力や資源を強化する一方、感染拡大を抑える措置を実施すること、また経済政策によって、経済活動の減少による人々、企業、金融システムに及ぼす影響を和らげること、深刻な景気後退の傷跡を減らしてその影響が長期化するのを防ぐこと、パンデミックが終息したら直ちに景気回復が始まるよう後押しすることも必要だとしている。
政策当局者は、影響を受けた世帯や企業を支援するために対象を明確にした大規模な財政、通貨、金融市場対策を実施する必要があり、こうした政策行動は、経済が停止した期間を通じて経済的つながりを維持するのに役立ち、またパンデミックの勢いが弱まり、拡散防止措置が解除されたときに経済活動が徐々に正常化するよう促すのにも不可欠であるとみている。
見通し
地域・国 | 見通し |
世界 | 10年前の世界金融危機のときを超える、大恐慌以来最悪の景気後退を経験する可能性がきわめて高い 現在の危機は「大封鎖」の様相を呈しており、世界経済はこの危機の結果、劇的なマイナス成長に陥ることが予測される |
先進国・地域 | 迅速かつ大規模な財政刺激策によって景況感の急激な落ち込みを防ぎ、総需要を高め、さらに深刻な景気後退を回避できる可能性があるとしているただ財政刺激策の効果が大きくなるのは、大流行が収まり、人々が自由に移動できるようになってからである可能性が非常に高いとみている |
新興国・地域/途上国・地域 |
企業倒産や失業の長期化によって、経済がさらに深刻な打撃を受け、成長率が予想を下回る事態も予測される |
2.世界経済に対する日本政府の見通し
地域 | 景気の現状と先行き | 留意事項 |
世界 | 世界の景気は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある 先行きについては、感染症の影響により、景気がさらに下振れするリスクがある |
金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある |
アメリカ | 景気は、感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある 先行きは、感染症の影響より、景気がさらに下振れするリスクがある |
金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある |
中国 | 感染症の影響により、引き続き厳しい状況にあるものの、足下では、持ち直しの動きもみられる先行きについては、感染症の影響が薄らいでいくことが期待されるが、感染症が国内外の経済に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある | 金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある |
アジア地域 | 韓国では、景気は下押しされている 台湾では、景気は下押しされている インドネシアでは、景気は下押しされている タイでは、景気は大幅に下押しされている インドでは、景気は大幅に下押しされている |
|
ユーロ圏 | 景気は、感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある ドイツにおいても、感染症の影響により、景気は急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある 先行きについては、感染症の影響により景気がさらに下振れするリスクがある |
金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある |
英国 | 英国景気は、感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある 先行きについては、感染症の影響により景気がさらに下振れするリスクがある |
金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある |
「内閣府月例経済報告2020 年4 月」より作成
3.2020年以降に留意すべきイベント