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大型二次電池の世界市場を調査

−世界の大型二次電池市場 2025年に2013年比5.9倍の9兆8,570億円−


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋)は、次世代環境自動車分野、電力貯蔵分野、動力分野、家電分野における二次電池搭載製品とその二次電池市場を調査した。 その結果を報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2014 次世代環境自動車分野編」および「(同) 動力・電力貯蔵・家電分野編」にまとめた。今後二次電池の構成部材についても「(同) エネルギーデバイス編」にまとめる。

◆調査結果の概要

大型二次電池の世界市場

2013年
2025年予測
2013年比
市場規模
1兆6,645億円
9兆8,570億円
5.9倍

次世代環境自動車分野、電力貯蔵分野、動力分野の製品に搭載される大容量の二次電池市場は2013年に前年比19.1%増の1兆6,645億円となり、2025年には2013年比5.9倍の9兆8,570億円が予測される。2013年時点では次世代環境自動車分野と電力貯蔵分野がそれぞれ市場の4割弱を占めるが、今後はHVやEV、PHVなどの普及により、次世代環境自動車分野のシェアが拡大し、2025年には市場の7割強を占めると予測される。

◆注目市場

1.電力貯蔵システム向け二次電池

2013年
2025年予測
2013年比
住宅用蓄電
425億円
3,594億円
8.5倍
電力貯蔵(需要家設置)
143億円
1,076億円
7.5倍
大規模貯蔵(系統設置※)
467億円
2,633億円
5.6倍
合計
1,035億円
7,303億円
7.1倍

※大規模貯蔵(系統設置):太陽光発電向け、風力発電向け、電力貯蔵系統向け

電力貯蔵システムには、戸建住宅・集合住宅に併設される「住宅用蓄電システム」、商業施設や産業施設、公共施設などの非住宅施設に併設される需要家向けの電力貯蔵システム(「中・大容量電力貯蔵システム(需要家設置)」)、発電事業用の太陽光/風力発電システムや変電所等の系統関連設備に併設される大規模電力貯蔵システム(「中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)」など3品目)がある。2013年の電力貯蔵システム向け二次電池市場は、前年比4.5%増の1,035億円と、住宅用蓄電システムがけん引し1,000億円を突破した。2025年には2013年比7.1倍の7,303億円が予測される。

1)住宅用蓄電

住宅用蓄電システムは、現状アメリカなどでの非常用電源用途が多い。今後はドイツを中心とした欧州やオーストラリアなどにおけるピークシフト用途、系統インフラが未整備な一方で住宅の電力需要が拡大しているインドやアフリカ諸国などでの独立電源用途の拡大が期待される。

国内では、東日本大震災を契機として大手ハウスメーカーが住宅用蓄電システムを採用した住宅を相次いで展開し、新築住宅向けを中心に市場が形成された。既に需要の中心は太陽光発電システムを設置する既築住宅に移っている。2016年の電力小売自由化によって一般住宅を対象としたアグリゲーションサービスなどが増え、住宅用蓄電システムを扱う事業者の増加が予想されることから、中長期的な拡大が予測される。

採用される二次電池については、非常用電源用途では鉛電池が主流である。ピークシフト用途でも鉛電池の採用が一部でみられるが、日常的な電力需給に合わせた充放電などのサイクル性能が重視されるためリチウムイオン電池が中心となっている。今後、サイクル性能が必要とされるピークシフト用途、独立電源用途がけん引することで、リチウムイオン電池市場が拡大していき、2025年には住宅用蓄電システム向け二次電池市場の9割をリチウムイオン電池が占めると予測される。

2)電力貯蔵 (需要家設置)

商業施設や産業施設、公共施設など、非住宅向けの電力貯蔵システムは、日本の公共施設向け案件とドイツのピークカット、ピークシフト用途による導入が大半を占める。

日本ではグリーンニューディール基金の開始によって、公共施設を中心に太陽光発電システムとあわせた導入が増加した。補助金の縮小や廃止により需要は一時的な縮小が予想されるが、中長期的には電池価格の下落に伴い需要が喚起されるとみられる。海外ではドイツを中心に、長期的には市場環境がドイツと似ているオーストラリアや、スマートシティ事業の進展が想定される中国での拡大が期待される。

採用される二次電池については、現状鉛電池とリチウムイオン電池が主流である。今後はリチウムイオン電池の採用が中心になるものの、鉛電池、レドックスフロー電池、ゼブラ電池、ニッケル水素電池など、多様な電池の採用も予想され、市場は2025年に1,000億円を突破すると予測される。

3)大規模貯蔵 (系統設置)

大規模貯蔵システムは、実証案件による導入が大半を占め、市場は大型案件の有無に左右される。なお、再生可能エネルギーの系統安定化を目的とする電力貯蔵システムでは、システム規模が大きく、出力変動が激しいことから系統への影響が大きい風力発電システム向けの導入が先行している。

採用される二次電池については、アメリカや中国でリチウムイオン電池による実証が盛んに行われていることから、リチウムイオン電池の比率が高くなっている。また海外においてはレドックスフロー電池やゼブラ電池による実証も多い。

今後は各電池の特性に基づき、短時間の出力調整を行う出力平滑化用途と長時間にわたる出力調整を行う出力平準化用途で使い分けが進み、出力平滑化にはリチウムイオン電池とニッケル水素電池、出力平準化には鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、ゼブラ電池の採用が予想される。

2.アイドリングストップ自動車/マイクロハイブリッド自動車向け二次電池

2013年
2025年予測
2013年比
市場規模
321億円
6,589億円
20.5倍

安価な燃費改善技術であるアイドリングストップシステムが搭載されたアイドリングストップ自動車(ISSV)/マイクロハイブリッド自動車(マイクロHV)には、主電源用に加え、アイドリングストップ中の電源供給やエンジンスタート時のアシスト用にも二次電池が搭載される。自動車メーカーがISSVのラインアップを拡大させており、今後も自動車の環境性能を向上させるシステムとして広く普及が予想される。現状では欧州が先行しているが、今後はアメリカ、中国などでも普及が進み2025年にはそれぞれのエリアで1,000万台超が予測される。日本では2010年前後から搭載モデルが急増しており、軽自動車やミニバンなど車種を問わず増加している。

採用される二次電池については、鉛電池は既存の補機用電池の容量アップにより安価なシステム構築が可能であるため、安定的な需要が想定される。この他、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が鉛電池のアシスト用として採用されており、今後リチウムイオンキャパシタの採用も期待される。ISSV/マイクロHV向け二次電池市場は2013年の321億円から2025年には2013年比20.5倍の6,589億円が予測される。

電気二重層キャパシタは、日本では2012年から採用しているマツダに加え、2013年に本田技研工業が採用を開始したことで大きく拡大した。2015年以降、欧米自動車メーカーにおいても採用が増加し、世界的に市場が拡大するとみられる。リチウムイオン電池は現状日系メーカーが先行しているが、今後は欧州自動車メーカーを中心に48Vシステムの採用が始まるとみられ、一台あたりの搭載容量の増加もあり市場は2025年で2013年比73.6倍と急拡大が予測される。

その他に含まれるニッケル水素電池とリチウムイオンキャパシタは限定的な需要にとどまるが、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池がけん引することで、鉛電池以外の二次電池の採用が増加するとみられる。

3.マイクロ電気自動車向け二次電池

2013年
2025年予測
2013年比
市場規模
199億円
639億円
3.2倍

マイクロ電気自動車(マイクロEV)は、モータ出力30kW以下の1、2名が乗車可能な低速EVである。日本における超小型モビリティも対象とする。

マイクロEVの需要は中国を中心に形成されており、世界で2013年に15万3,600台、2025年には30万600台が予測される。そのうち日本は2013年に1,500台、2025年には1万800台が予測される。

圧倒的な電池パックの安さから鉛電池の採用が多いが、Renault「TWIZY」など大手自動車メーカーが展開するマイクロEVや、日本での超小型モビリティ車両規格制定に向けた実証車両としてトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業などが開発したコンセプトモデルではリチウムイオン電池が採用されている。今後、欧州を中心に日本やアメリカなどでもリチウムイオン電池採用モデルの増加が期待され、2025年にはマイクロEV向け二次電池市場の3割をリチウムイオン電池が占めるとみられる。

◆調査対象

1. 次世代環境自動車分野

アイドリングストップ自動車/マイクロハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、HVトラック・バス、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、EVトラック・バス、燃料電池自動車、マイクロ電気自動車

2.動力・電力貯蔵・家電分野

電力貯蔵分野 小容量UPS・小容量電力貯蔵システム、中・大容量UPS、無線基地局・中継局(携帯電話)、住宅用蓄電システム、太陽光発電システム、中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)、中・大容量電力貯蔵システム(需要家設置)、風力発電システム
動力分野 フォークリフト、建設機械(シャベル・ローダ)、鉄道車両・LRV、電動船、電動式自動二輪車
家電分野 フィーチャーフォン・スマートフォン、ノートPC・タブレット

 


2014/04/18
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。