マーケット情報


ティッシュエンジニアリング関連の国内市場を調査

−2030年市場予測−
ティッシュエンジニアリング関連 1,207億円(2013年比80.1%増)、iPS細胞 40億円(同21.1倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、、iPS細胞やES細胞、培養皮膚に代表される再生医療分野の国内市場を調査した。その結果を報告書「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2014」にまとめた。 この報告書では生体デバイス6品目 、人工生体材料2品目、細胞3品目、細胞培養施設・サービス2品目、細胞培養機器・装置15品目、セルカルチャーウェア/試薬10品目の6カテゴリー38品目を調査し、市場の現状と今後の方向性を明らかにした。

◆調査結果の概要

ティッシュエンジニアリング関連市場

2013年
2030年予測
2013年比
生体デバイス
8.5億円
291億円
34.2倍
人工生体材料
59億円
59億円
100.0%
細胞
13億円
48億円
3.7倍
細胞培養施設・サービス
32億円
55億円
171.9%
細胞培養機器・装置
406億円
539億円
132.8%
セルカルチャーウェア/試薬
151億円
215億円
142.4%
合 計
670億円
1,207億円
180.1%

市場は2013年に670億円(前年比4.0%増)となった。今後は100億円以上の市場を形成している細胞培養機器・装置市場やセルカルチャーウェア/試薬市場が年間1〜2%台の成長に留まる一方で、生体デバイス市場や細胞市場は、再生医療の産業化の進展や創薬スクリーニングでの需要拡大により、成長が期待される。

生体デバイスでは、培養皮膚と培養軟骨の2品目が市場の中心であり、特に2013年に保険適用された培養軟骨は、2020年には120億円が予測される。また、将来的には培養角膜や心筋シートも保険適用が期待され、2030年に市場は291億円が予測される。

人工生体材料では、皮膚補填材は3社の寡占市場である。患者数は横ばいであるが、皮膚補填材による治療法の認知度が向上しているため、毎年2〜3%程度の成長が続くと予想される。骨補填材は今後も横ばいとみられる。

細胞市場では、iPS細胞の研究が活発化している他、参入企業が販促により需要の拡大を図っている。現状ではiPS細胞よりもヒト細胞の方が市場規模は大きいが、2020年には逆転するとみられる。

細胞培養機器・装置では、フローサイトメーターが低価格品によりエントリーユーザーの掘り起こしが図られている。また、自動培養装置は大量培養ニーズの高まりにより伸びており、市場をけん引している。

セルカルチャーウェア/試薬では、細胞培養研究が活発化しているため、細胞培養用培地や細胞培養バッグの需要が拡大している。血清は原料価格の高騰に伴い価格が上昇しており、市場が伸びている。細胞培養用シャーレやプレート、フラスコは以前より細胞研究の現場で日常使用されている器材のため、需要は安定している。

◆注目市場動向

1.培養角膜/心筋シート(生体デバイス)

2013年
2030年予測
2013年比
培養角膜
16億円
心筋シート
13億円

市場は2013年にはまだ形成されていない。

培養角膜の研究を進めている企業は、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングとセルシード、JCRファーマの3社である。水疱性角膜症の潜在患者は日本で1万人程度いるとされ、高齢化の進展で患者数は微増が予想される。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、2015年3月期に治験の開始を目指している。承認までにはまだ時間がかかるとみられるが、2014年11月に再生医療法及び薬機法が開始されることで、実用化までのスピードアップが期待される。

心筋シートはテルモにより治験が進められているが、市場の形成には時間がかかるとみられる。ターゲットとなる虚血性心疾患の患者数は、欧米各国に比べると少ないものの、ライフスタイルの欧米化や高齢者人口の増加につれて患者数は増加しており、その発症数は年間約15万人と言われている。心筋シートは長期の治験期間とそれに伴う多大なコストが必要となるため、実用化に至るまでの資金は企業にとって大きな障壁であったが、再生医療法及び薬機法の施行が、市場の形成に好影響を与えるとみられる。

2.iPS細胞(細胞)

2013年
2030年予測
2013年比
市場規模
1.9億円
40億円
21.1倍

民間企業が研究開発用に販売しているヒトiPS細胞、およびそれらから分化された細胞を対象とし、公的機関が有償提供している細胞や民間企業が行っている受託生産などのサービスについては調査対象外とする。

市場は2013年に1.9億円となった。iPSポータルとリプロセルのガリバー型寡占市場である。

iPS細胞は、細胞移植治療などを含む再生医療のほか、病態解明、薬剤の副作用評価や新薬の探索・開発など、様々な研究で利用されている。特に、iPS細胞自動培養装置や大量培養法の研究が活発化しており、大学や企業が連携してiPS由来の細胞を用いた治療薬シーズの探索・毒性評価による創薬研究を行うための装置の開発なども積極的に行っている。

実際の臨床現場で、iPS細胞を用いた細胞や神経の実用化が活発化するのは2020年以降とみられ、それまでは学術分野の需要が中心となる。しかし、近年ユーザー企業数が急増していることに加え、多様な用途での研究が進められていることもあり、2030年前後からは、市場は数十億円規模で推移すると期待される。

3.細胞/組織バンク(細胞培養施設・サービス)

2013年
2030年予測
2013年比
市場規模
8.7億円
20億円
2.3倍

臍帯血バンク、皮膚細胞/組織バンク、歯髄細胞バンクを対象とする。

市場は2013年に8.7億円となった。公的バンクとの競合や、経営安定性、収益性の確保が難しいことが課題となっている。

臍帯血バンクは、2012年に東日本大震災における原発事故の影響を受け大きく拡大した。2013、2014年はその反動を受け微減しているものの、2015年には回復すると予想される。皮膚細胞組織は、Webなどを利用した販促に努めたことが市場拡大につながった。歯髄細胞は提携歯科医院数の増加や代理店を通じた営業強化により、市場を大幅に拡大している。今後、細胞/組織バンクは、医師だけではなく一般消費者に対しても啓発活動が積極的に行われるとみられる。

細胞や組織の保管には、安全性や性能面で高度なレベルを有する施設や設備が必須であり、保管件数が増加するにつれて、運営企業では新たな投資に巨額な資金が必要となる。特に、細胞の安定した保管環境の維持、また、セキュリティーや災害対策などが不可欠であり、今後、更に拡大するためには、参入企業の資金の充実や収益状況の安定が課題となってくる。


4.細胞培養用スキャホールド(セルカルチャーウェア/試薬)

2013年
2030年予測
2013年比
市場規模
0.4億円
10億円
25.0倍

細胞の増殖を促して構造を保持するために用いられる足場材のスキャホールドを対象とする。

市場は2013年に0.4億円となった。細胞を三次元的に増殖して組織や臓器を形成し、より生体内に近い培養環境を実現するための三次元細胞培養が注目を集めている。そのため、三次元培養に有効なスキャホールドは今後も需要の拡大が期待される。

コラーゲンやハイドロキシアパタイトを主成分にした製品が多いため、細胞培養用ゲルや骨補填材を販売している企業が参入している。現在スキャホールドを製品として販売していない企業においても、研究用途での引き合いがあり、学術分野を中心に部分的に提供している企業もある。スキャホールドの需要拡大に伴い、現在学術分野へ製品を無償提供している企業で、今後スキャホールドを製品化し販売を開始する可能性がある。

◆調査対象品目

市 場
品 目
生体デバイス 培養皮膚、培養軟骨、培養角膜、心筋シート、毛髪、歯 他
人工生体材料 皮膚補填材、骨補填材
細胞 ヒト細胞、iPS細胞、ES細胞 他
細胞培養施設・サービス 細胞培養センター(CPC)、細胞/組織バンク
細胞培養機器・装置 遠心分離機、CO2インキュベータ、自動培養装置、アイソレータ、安全キャビネット/クリーンベンチ、滅菌器、凍結保存容器、超低温フリーザ、薬用冷蔵ショーケース/薬用保冷庫、フローサイトメーター、細胞計数分析装置、セルイメージングシステム、細胞観察用顕微鏡、破砕装置/ティッシュスライサー、超純水製造装置
セルカルチャーウェア/試薬 細胞培養用シャーレ、細胞培養用プレート、細胞培養用フラスコ、細胞培養バッグ、細胞培養用ゲル、細胞培養用培地、血清、細胞培養用スキャホールド、トランスフェクション試薬、細胞凍結保存液

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2014/10/30
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。