マーケット情報


呼吸器領域、整形外科領域、自己免疫疾患領域などの医療用医薬品の国内市場を調査

−医療用医薬品 市場調査(3)−


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医師の診断に基づいて処方される医療用医薬品について、国内市場の動向を2年間にわたって調査している。 このたび第3回(全6回)として、アレルギー疾患領域2品目、呼吸器領域5品目、整形外科領域3品、自己免疫疾患領域5品目、皮膚科領域9品目、免疫抑制剤、計25品目の市場を調査した。その結果を報告書「2014 医療用医薬品データブック No.3」にまとめた。

◆注目市場

1.COPD治療剤 【呼吸器領域】

2014年見込
前年比
2022年予測
2013年比
市場規模
486億円
106.6%
663億円
145.4%

市場は抗コリン剤や吸入ステロイド剤を含む配合剤がけん引して拡大しており、2014年は486億円が見込まれる。 抗コリン剤は「スピリーバ」(日本ベーリンガーインゲルハイム)を中心に拡大してきたが、「シーブリ」や「ウルティブロ」(いずれもノバルティス ファーマ)、「アノーロ」(グラクソ・スミスクライン)の発売により、今後はこれらが「スピリーバ」に代わり市場をけん引するとみられる。

また、吸入ステロイド剤を含む配合剤は、2009年に「アドエア」(グラクソ・スミスクライン)が、2012年には「シムビコート」(アステラス製薬)がCOPDへ適応拡大したことで好調である。当面は新製剤の発売も予想され拡大が期待されるが、2019年からは主力製剤の特許切れにより減少するとみられる。

β2刺激剤は、抗コリン剤の伸びに押されていたものの、2011年に「オンブレス」(ノバルティス ファーマ)や2012年に「オーキシス」(Meiji Seika ファルマ)が投入されたことで、今後の拡大が期待される。分子標的薬でも新製剤の投入が予想され、重症例における治療の選択肢が増えるため、市場への影響が注目される。

厚生労働省による「21世紀における第二次国民健康づくり運動」でCOPDの認知度が向上し、参入各社が積極的に啓発活動に取り組むことで潜在患者の掘り起こしが進み、2022年の市場は2013年比45.4%増の663億円が予測される。

2.骨粗鬆症治療剤 【整形外科領域】

2014年見込
前年比
2022年予測
2013年比
市場規模
2,411億円
110.6%
3,204億円
147.0%

高齢化の進展による治療患者数の増加や、新製剤の継続的な投入により市場は拡大しており、2014年は2,411億円が見込まれる。

副甲状腺ホルモン製剤が最も市場拡大に貢献している。2010年発売の「フォルテオ」(日本イーライリリー)、2011年発売の「テリボン」(旭化成ファーマ)が伸びており、高薬価でもあるため、2013年に副甲状腺ホルモン製剤は560億円に拡大している。ビスフォスフォネートは、主力製剤の薬価のマイナス改定やジェネリック医薬品の発売などにより2012年には縮小したものの、月1回製剤である「ボノテオ/リカルボン」(アステラス製薬/小野薬品工業)の伸びや新製剤の投入により再び拡大している。

今後も市場は、副甲状腺ホルモン製剤や抗PANKL抗体製剤などがけん引し、加えて数年後にはカテプシンK阻害剤や抗スクレロスチン抗体といった新規作用機序の製剤が投入されるとみられることから、拡大が期待される。ただし、これらの新製剤や副甲状腺ホルモン製剤などの伸びが一段落する2020年以降は拡大の鈍化が予想される。

3.乾癬治療剤 【自己免疫疾患領域】

2014年見込
前年比
2022年予測
2013年比
市場規模
233億円
111.0%
652億円
3.1倍

2009年まで市場は伸び悩んでいたが、2010年以降は生物学的製剤の市場形成により拡大を続けており、2014年は233億円が見込まれる。2010年1月の「レミケード」(田辺三菱製薬)および「ヒュミラ」(エーザイ)の適応拡大や、2011年3月の「ステラーラ」(ヤンセンファーマ)の発売が拡大の契機となった。既存治療では効果不十分の中等症以上の患者への処方が中心であるが、高薬価のため市場への影響が大きい。

今後も生物学的製剤は既存品の伸びに加え、開発中の新規作用機序の製剤が発売されることで、大幅な拡大が期待される。また、外用ビタミンD3製剤は、大型品のジェネリック医薬品が発売され縮小しているものの、新製剤の投入により2015年以降は拡大が予想される。

4.にきび治療剤 【皮膚科領域】

2014年見込
前年比
2022年予測
2013年比
市場規模
93億円
106.9%
220億円
2.5倍

にきびは10歳代から30歳代にかけての罹患が多く、潜在患者数が非常に多い。にきび対応機能性化粧品やOTC医薬品などでセルフケアを行う患者も多く、啓発による受診率向上の余地が大きい疾患である。

2008年10月に新規作用機序の「ディフェリン」(ガルデルマ、塩野義製薬)が発売され、同製剤のプロモーションを絡めた疾患啓発活動が受診率の向上を促し、市場は成長した。以降も、「ディフェリン」が市場をけん引しながら、「アクアチム」(大塚製薬)や「ダラシンT」(佐藤製薬)が併用療法で投与され、市場は拡大している。未治療患者の掘り起こしだけでなく、炎症性皮疹に対する「ディフェリン」と外用抗菌剤の併用療法は依然として普及の余地があり、既存品の拡大のポテンシャルが十分残されている。

今後は、新製剤の投入による市場の活性化とともに、新規参入企業の積極的な啓発活動により治療患者数が増加し、2022年には2013年比2.5倍の220億円が予測される。

◆調査結果の概要

薬効領域・治療剤別の市場

2014年見込
前年比
2022年予測
2013年比
アレルギー疾患領域
1,948億円
92.6%
1,700億円
80.8%
呼吸器領域
3,229億円
101.5%
3,304億円
103.8%
整形外科領域
5,068億円
107.0%
6,682億円
141.1%
自己免疫疾患領域
1,113億円
104.7%
1,806億円
169.9%
皮膚科領域
1,482億円
99.9%
1,937億円
130.6%
免疫抑制剤
588億円
98.0%
722億円
120.3%

1.アレルギー疾患領域

主力の抗アレルギー剤は、花粉症の治療剤を中心に市場が形成されている。花粉飛散量に左右される市場であるが、ジェネリック医薬品の発売などによる主力製剤の落ち込みで今後も市場は縮小し、2022年は2013年比19.2%減の1,700億円が予測される。

2.呼吸器領域

市場をけん引してきた喘息治療剤は、患者数の増加が予想されるものの、主力製剤のジェネリック医薬品の発売により、2018年からは縮小するとみられる。一方、COPD治療剤は新製剤の成長により大幅な拡大が期待される。呼吸器領域は、2022年に2013年比3.8%増の3,304億円が予測される。

3.整形外科領域

関節リウマチ治療剤は主力製剤のバイオシミラーの発売が予想されるものの、比較的新しい既存品や新製剤の発売により、今後も拡大が期待される。骨粗鬆症治療剤は、副甲状腺ホルモン製剤の伸びに加え、治療を大きく変える可能性のある新製剤の投入も予想され、市場はさらに拡大するとみられる。整形外科領域は、2022年に2013年比41.1%増の6,682億円が予測される。

4.自己免疫疾患領域

市場の70%を占める炎症性腸疾患治療剤は既存品の拡大に加え、生物学的製剤を中心に新製剤の投入が予想され、さらなる拡大が期待される。また乾癬治療剤は、外用ビタミンD3製剤や生物学的製剤で新規作用機序の製剤の発売が予想され、2022年の市場は2013年比3.1倍が予測される。各治療剤が順調に拡大することで、自己免疫疾患領域は、2022年に2013年比69.9%増の1,806億円が予測される。

5.皮膚科領域

爪白癬治療剤、にきび治療剤、鎮痒剤等その他皮膚治療剤、脱毛症・睫毛貧毛症治療剤が拡大を続け、2022年の市場は2013年比30.6%増の1,937億円が予測される。爪白癬治療剤は、2014年に国内初の爪白癬の適応製剤が登場したことで新たな市場が形成され、今後の拡大が期待される。一方、皮脂欠乏症治療剤・皮膚軟化剤の大型品がジェネリック医薬品の影響や薬価改定の影響で縮小するとみられる。

6.免疫抑制剤

今後も移植件数の増加が予想されるものの、主力製剤がジェネリック医薬品の影響を受けている。一方、移植以外の免疫疾患を対象とした新製剤の発売が市場拡大の要因となり、2022年は2013年比20.3%増の722億円が予測される。

◆調査対象

アレルギー疾患領域 抗アレルギー剤(点眼、外用剤は除く)、アナフィラキシーショック治療剤
呼吸器領域 喘息治療剤、COPD治療剤、鎮咳・去痰・呼吸促進剤、消炎酵素・総合感冒剤、禁煙補助剤
整形外科領域 関節リウマチ治療剤、骨粗鬆症治療剤、変形性関節症治療剤
自己免疫疾患領域 若年性特発性関節炎治療剤、強直性脊椎炎治療剤、乾癬治療剤、ベーチェット病治療剤、炎症性腸疾患治療剤
皮膚科領域 外用抗菌剤(にきび、爪白癬処方分は除く)、爪白癬治療剤、にきび治療剤、アトピー性皮膚炎・その他皮膚炎治療剤(外用ステロイド含む)、皮脂欠乏症治療剤・皮膚軟化剤、鎮痒剤等その他皮膚治療剤、皮膚潰瘍治療剤(熱傷含む)、脱毛症・睫毛貧毛症治療剤、痔疾患治療剤
免疫抑制剤 (自己免疫疾患領域使用分除く)

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2014/11/11
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。