マーケット情報


エンプラ・バイオ樹脂の世界市場を調査

−バイオ樹脂市場 2018年予測(2013年比) −
2,004億円(63.6%増) バイオPETを中心にバイオPE、PLAも拡大


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、優れた耐熱性や機械的強度から自動車部品や電気・電子部品をはじめとしてあらゆる分野で使用されるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の世界市場を調査した。この調査では汎用エンプラ8品目、スーパーエンプラ19品目に加え、バイオ樹脂5品目、その他機能性樹脂12品目のエンプラ周辺樹脂の市場と用途・地域別の動向を明らかにし、その結果を報告書「2015年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」にまとめた。

◆注目市場

バイオ樹脂世界市場

2013年
2018年予測
2013年比
市場規模
数 量
62万トン
100万トン
161.3%
金 額
1,225億円
2,004億円
163.6%

バイオ樹脂は、環境意識の高い欧州や北米での需要が大きく、両エリアを合わせると市場の8割以上を占める(2013年数量ベース)。現状では一般的な樹脂と比較し高価格であるため、環境規制や補助金などの政策的な後押しが必要となっている。しかし、企業がCSR活動の一環として採用を進めていることから、2018年には数量ベースでは100万トン、金額ベースでは2,004億円が予測される。

バイオマス樹脂(バイオPET、バイオPE)は、植物由来原料を使用しながら、石油由来原料の樹脂と同等の物性を有するものである。日常生活の中で消費者の目につきやすい飲料、食品、化粧品、日用品などの容器や包装で、大手企業が環境配慮のアピールを目的に採用を進めている。また、自動車でもHVやEVなどの内装材として採用されている。

バイオPET(ポリエチレンテレフタレート)は、飲料メーカーがPETボトルのバイオマス化を進めており、市場が拡大している。2018年にはバイオ樹脂市場の6割を占めると予想される(数量ベース)。バイオPE(ポリエチレン)は、石油由来のPEが安価な汎用プラスチックの代表格であることから、価格を同等に下げるか、価格差を補う石油由来PE以上の物性という付加価値が求められつつある。

生分解性樹脂(PLA、PBS、PGA)は、コンポストバッグや農業用マルチフィルム、容器やフィルムでの採用が多い。最も主流であるPLA(ポリ乳酸)は、食品容器や包装フィルムに加え、衣料やタオルなど繊維用途でも採用されており、2018年にはバイオ樹脂市場の2割弱を占めると予想される(数量ベース)。新たな用途として、北米ではシェールガス・オイル掘削機械部品で採用されている。また、3Dプリンタ用樹脂としても成形時に発生する臭いや、成形品の反りの少なさから期待される。中国や東南アジア、インド、南米など新興国では環境汚染が深刻さを増していることから、メーカーも積極的に市場開拓を行っており、長期的にはこれらの新興国で需要が拡大するとみられる。

PLAと比較して市場は小さいが、同じ生分解性樹脂としてPBS(ポリブチレンサクシネート)とPGA(ポリグリコール酸)がある。PBSはPLAと同様容器やフィルムなどで採用される。PBSはPLAと比較し耐熱性、強度、成形性に優れているが、生分解速度と価格はPLAに劣るため、互いの弱点を補う形で混合して使用されることもある。PGAは、耐摩耗性、弾性率、引っ張り強さなどの機械的特性、ガスバリア性などに優れており、シェールガス・オイル掘削機械部品(ドリル、目止め材など)で採用されている。

◆調査結果の概要

エンプラ世界市場

2013年
2018年予測
2013年比
汎用エンプラ
数 量
797万トン
946万トン
118.7%
金 額
3兆3,508億円
3兆9,417億円
117.6%
スーパーエンプラ
数 量
55万トン
67万トン
121.8%
金 額
8,429億円
1兆0,120億円
120.1%
合 計
数 量
852万トン
1,013万トン
118.9%
金 額
4兆1,937億円
4兆9,538億円
118.1%

汎用エンプラは、中国や東南アジアなど新興国の需要、自動車生産台数の増加などにより拡大している。地域別には中国が3割、北米と欧州がそれぞれ2割を占める(2013年数量ベース)。中国は電気・電子分野の生産拠点が集中し、自動車も世界最大の生産国であることから構成比が高い。日本と中国を除いたその他アジアの比率は1割強にとどまるが、韓国やタイ、インドネシアなどで自動車生産が拡大し、また東南アジアでは自動車や電気・電子分野のみならず建築分野や日用品などでも需要が拡大している。なお、北米と欧州は自動車の生産台数が多いことから、使用される汎用エンプラも自動車での需要が中心であるPA(ポリアミド)の割合が高い。

品目によっては、供給超過により需給バランスが崩れ価格競争が激しくなっている。特に年間需要が300万トンを超えるPC(ポリカーボネート)は相次ぐプラントの新設、増設により生産能力は500万トンにのぼる。老朽化したプラントの閉鎖などにより生産拠点が集約される見通しであるため、需給ギャップは年々狭まるとみられるが、需要が伸びる中国を中心に新たな計画もあり、2018年でも100万トン程度の需給ギャップが予測される。また、年間需要が100万トンに迫るPOM(ポリアセタール)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)は、大手メーカーによるプラントの新設、増設や中国、台湾、韓国など新興メーカーの台頭により需給バランスが崩れつつある。特に、新興メーカーのプラント稼働率は現状では低く、稼働率改善に向け新興メーカーが拡販を進めることで価格競争が激化するとみられる。年間需要が100万トンを超えるPA6、PA66は自動車部品やフィルムでの堅調な需要があるが2015年以降大手メーカーによる大型プラントの新設、増設計画が相次いでおり、今後の需給バランスが懸念される。

2018年に汎用エンプラ全体の市場は数量ベースで1,000万トン、金額ベースで4兆円に近付くと予測されるが、価格競争が激しくなることで、金額ベースの伸びは数量ベースを下回るとみられる。

スーパーエンプラは、自動車や電気・電子分野などでの金属代替を主体に市場開拓が図られており、2018年には1兆円を突破すると予測される。自動車分野では電装部品の増加や、HVやEVの車体軽量化ニーズの高まりにより、採用拡大が予想される。スーパーエンプラは高い成形技術が必要であるため、これまでの需要地は日本や欧米が中心であったが、近年では中国や東南アジアなどにシフトしつつある。

◆調査対象品目

汎用エンプラ PC、m-PPE、PA6、PA66、POM、PBT、GF-PET、UHMW-PE
スーパーエンプラ PA11・PA12、PA46、PA610、PAMXD6、PA6T、PA9T、バイオ耐熱PA、SPS、PPS、LCP、PAR、PSF・PPSF、PES、PEI、PAI、TPI、PEEK、PBI、フッ素樹脂
バイオ樹脂 PLA、PBS、PGA、バイオPE、バイオPET
その他機能性樹脂 耐熱ABS、透明ABS、PMMA、TAC、COP/COC、新規耐熱透明樹脂、PEN、PMP、EVOH、MBS、m-PE、m-PP

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2014/11/18
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。