マーケット情報


国内の電力・ガス自由化市場参入企業の事業戦略を調査

−新電力(PPS)登録事業者は400社を突破−
2020年度予測 新電力(PPS)による販売電力量 2013年度比2.3倍の530.4億kWh


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、電力・ガスの自由化市場に参入している企業各社の事業戦略を調査し、エネルギー自由化市場の現状と今後の方向性を「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2015 電力・ガス自由化市場編」にまとめた。

2014年11月現在で400社を突破した新電力(PPS)の登録事業者の内、主要新電力13社、注目新電力8社の事業戦略を分析し、併せて、新規に登録された新電力を中心とした332社の全体傾向を明らかにした。なお、新電力332社の個別事例や電力事業実態に関しては「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2015 新電力企業事例編」でまとめている。

◆新規に登録された新電力332社の全体傾向

新電力として登録された企業数は2014年11月7日現在で409社に達しており、約1年間で300社程度増加した。今回の調査では新規に登録された新電力を中心とした332社に電話取材・アンケート調査を実施し、業種や今後の事業参入の有無などの傾向を明らかにした。しかし、その多くは電力事業の実態が無く、登録の目的や電力事業への参入意向が不透明な企業もみられた。

<業種>



電力・エネルギー関連企業にとどまらず、多岐にわたる業種が参入している。中でも太陽光関連事業と回答した企業が最も多く、全体の4割強みられた。メーカーに加え、太陽光発電設備の建設・施工を手がける建設・エンジニアリング業からの参入も多い。その他、電力事業専業、再生可能エネルギ―関連事業の順で企業数が多く、全体としてFIT制度開始を契機として建設・保有した発電設備の有効活用を試みる企業が多い。

<新電力届出目的>



届出の目的としては、電力小売への参入検討・準備のためと回答した企業が中心である。家庭向け、法人向けの両方を検討している企業も多いが、全体では家庭向けより法人向けを志向する企業が多い。また、電力卸売参入のためと回答した企業も2割みられた。特に太陽光発電設備を中心としたFIT電源による電力の卸売を志向する企業が多く、卸売先を地元電力会社以外に多様化することを目的とした届出が多い。「その他/不明」の回答が半数以上みられたが、その多くは届出時の審査基準が厳格化される前に登録だけしておくというスタンスの届出であり、電力事業の実態や参入意向がない企業も多い。

<電力小売実績/今後の参入意向の有無>



2014年10月の時点で電力小売を行っている企業は全体の約11%にとどまった。また、事業計画が策定済で参入を予定している企業は全体の約8%で、事業計画を検討していると回答した企業は全体の約24%となった。これらを合計すると、今後電力小売事業への参入を志向する企業は3分の1を占める。 また、事業参入を検討していない企業も全体の1割を占める。検討状況が不明の企業も多数あり、これらの企業の動向によって、今後、電力小売への参入企業数が大きく変わっていくとみられる。

◆電力自由化(新電力=PPS)市場

2013年度
2014年度見込
2020年度予測
2013年度比
販売電力量
227.1億kWh
277.7億kWh
530.4億kWh
2.3倍

2013年度の新電力による販売電力量は227.1億kWhとなり、過去最高となった。2010年度以降は200億kWh弱の水準にとどまっていたが、2013年度は新電力が電力を小売する際、一般電気事業者から一定量の電力供給を継続的に受けられる常時バックアップの新たな枠組みや料金体系の見直しが行われ、新電力のベース電源確保が容易になったことで販売電力量が増加した。また、一般電気事業者各社の電力料金値上げと需要家の料金意識の高まりも、新電力への切り替え増に繋がっている。

なお、予測では2016年度に予定されている低圧分野自由化による販売電力量を含めている。特別高圧、高圧分野で実績を有する既存新電力の多くは、電力供給力や低圧分野への販路の問題から、従来通り法人向けを中心とした事業展開が想定されている。このため、低圧分野における電力小売の主要事業者の顔ぶれは、既存の新電力とは大きく異なる可能性がある。

現状では新電力の電力供給力が不足しているため、既存の自由化範囲でも新電力への切り替えニーズに対応しきれていない。この他、対象需要家数が大幅に増加することにより対応人員の確保が間に合わない点や、電力需給管理のノウハウ、託送料金の設定など、低圧分野の自由化に向けて様々な課題が浮上している。これらの課題をいかに克服していくかが、今後の電力自由化市場の動向を大きく左右するとみられる。

◆新規参入ガス事業者の動向

<一般ガス事業者と新規参入事業者のガス販売量推移>

2006年度
2013年度
一般ガス事業者
26,150百万m3
27,880百万m3
新規参入事業者
5,065百万m3
8,301百万m3

ガス市場の自由化範囲の拡大と共に新規参入事業者による販売量が増加している。2006年度は全体の16.2%であった新規参入事業者の構成比は、2013年度には22.9%に拡大している。新規参入事業者は国内ガス田の保有率が高く、現状では安定した価格で国産ガスの販売が可能であり、価格競争に有利である。しかし、ガス需要の高まりと共に海外産LNGの採用比率も高まっており、ガスの平均販売単価は一般ガス事業者と同様に上昇している。

◆調査対象

 
電力市場
新規参入事業者
主要新電力
ダイヤモンドパワー、丸紅、イーレックス、新日鉄住金エンジニアリング、エネット、サミットエナジー、JX日鉱日石エネルギー、F-Power、日本テクノ、昭和シェル石油、オリックス、日本ロジテック協同組合、ミツウロコグリーンエネルギー
注目新電力
出光グリーンパワー、東京エコサービス、伊藤忠エネクス、エナリス、SBパワー、関電エネルギーソリューション、パナソニック・エプコ エナジーサービス、テプコカスタマーサービス
その他新電力
大王製紙、サニックス、エネサーブ、太陽光発電設備、光発電・グリーン電力販売機構、スペクトルパワーデザイン、パナソニック、王子製紙、エレックス極東、ダイトーシステムインターナショナル、JENホールディングス 他
一般電気事業者
北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力
ガス市場
新規参入事業者
東京電力、関西電力、中部電力、中国電力、国際石油開発帝石、石油資源開発、JX日鉱日石エネルギー 他
一般ガス事業者
東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス 他

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/01/23
       
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