マーケット情報


Industrie4.0やIndustrial InternetなどICTを活用した
次世代型製造現場対応FA機器・システムの世界市場を調査

−2020年(予測)4兆9,433億円−
ICTの進化で現実味を帯び、FA機器・システムの需要拡大


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、Industrie4.0(ドイツ)やIndustrial Internet(アメリカ)、次世代型スマート工場(日本)をはじめとする「ICTを活用した次世代型製造現場」に不可欠なFA機器・システムの市場を調査した。

この調査では、PCベースコントローラや双腕ロボットなどの次世代型FA機器、製造現場の情報化に不可欠なM2M/IoT技術、ICT化により必須となるセキュリティシステム、今後想定される労働者とロボットの協業で必要となるセーフティシステムなど30品目の市場を分析し、今後を予測するとともにスマート工場の方向性や課題を明らかにした。その結果を「Industrie 4.0 関連市場の実態と将来展望 2015」にまとめた。

◆調査結果の概要

グローバル化が進む中、製造業を担う企業にとって世界中の需要を正確に予想し、最適な数量を生産し適切な仕向け地に供給することが、事業拡大に不可欠となっている。その実現には、製造現場の情報化が求められ、これまでのスタンドアロンでインターネット非接続のFA機器ではなく、ICTと親和性が高く相互連携が可能な生産システムの構築が必要となる。また、世界的な人件費の高騰により、人件費の低い国に生産拠点を移転しコストダウンを図ることも難しくなりつつあり、生産システムの自動化はこれまで以上に重要となっている。

ドイツのIndustrie4.0、アメリカのIndustrial Internet、日本の次世代型スマート工場と、製造業の進化に対する考え方が若干異なるため名称は違うものの、ICTを活用した次世代型製造現場の構築という点では共通している。ドイツではモノづくりの高度化、アメリカでは産業用機器とICTの融合による経済効率の改善などを目的に、成長戦略の一環として製造現場への支援を行っており、特にドイツは国が主導する形で進んでいる。21世紀の生産革命は世界に波及し、日本、韓国、中国なども動きはじめている。

ICTを活用した次世代型製造現場の構築は以前より言われている概念ではあるが、ICT(サイバー領域)の進化により現実味を帯びてきた。生産設備(フィジカル領域)は、これまで産業用のロボットとコントローラによる自動化が生産性の向上に寄与してきたが、フィジカル領域とサイバー領域との融合により設備にセンサを取り付け、生産情報をシームレス化させることで、製造現場から離れた経営部門でもリアルタイムに状況が把握できるようになるなど、製造現場の効率化が期待される。

最適な時期に必要な量の製品を生産することが可能となり、在庫の削減、生産拠点の調整による最適なバリューチェーンの構築、生産計画の見込み違いによる損失の減少などを図れる、高効率で柔軟な生産を可能とする仕組みが「ICTを活用した次世代型製造現場(=スマート工場)」となる。

次世代型製造現場対応FA機器・システム世界市場

2014年
2020年予測
2014年比
市場規模
2兆5,494億円
4兆9,433億円
193.9%

※国内市場を中心とした省エネルギー関連の品目は合計から除く

スマート工場に不可欠なFA機器・システム市場の合計は、2014年で2兆5,494億円である。世界的にICTを活用した製造現場の生産性向上の動きが進み、2020年には4兆9,433億円が予測される。

◆カテゴリー別市場

1.インテリジェント生産システム

2014年
2020年予測
2014年比
市場規模
2兆231億円
3兆3,030億円
163.3%

生産管理、情報システムなどが該当し、全体市場の79%を占める(2014年)。生産管理を担うFAシステムであるMES(Manufacturing Execution System)は、工場で設備や原材料の数量や状態をリアルタイムに把握し、生産計画に基づき、作業スケジュールの組立てや指示出しなどを行う。これまで需要の中心であった欧米に加え中国でも需要が高まっている。今後、工場の情報化が更に進むことで、MESの役割が増していく。

ERP(Enterprise Resource Planning)は、人・モノ・カネ・情報といった経営資源を一元管理するソフトウェアである。IoTをERPと連携させることで製造装置の稼働状況をリアルタイムに把握し、経営判断に活用できるようになる。パッケージ販売からクラウド、SaaSでの提供が増えており、同一サービスでの単価は下がりつつあるが、新興国向け需要の伸長により緩やかながら拡大が予想される。

2.インテリジェントコントローラ

2014年
2020年予測
2014年比
市場規模
448億円
867億円
193.5%

FA機器・システムの次世代型コントローラで、全体市場の2%を占める(2014年)。処理能力が高く柔軟性と拡張性があるPCベースコントローラは、従来のマイコンベースコントローラからの置き換えが進んでいる。現在分断されている製品設計、生産計画、生産エンジニアリング、生産実行を繋げ、柔軟な生産システムを構築するためには、情報系のPCと制御系のPLC(Programmable Logic Controller)などを融合させたPCベースコントローラがスマート工場の中で重要となる。なお、市場はPCベースPLCがけん引するとみられる。

3.インテリジェント製造装置・センサ

2014年
2020年予測
2014年比
市場規模
1,850億円
9,842億円
5.3倍

ロボットやセンサなどのフィールド機器が該当し、全体市場の7%を占める(2014年)。現在急速に拡大する3Dプリンタが単価が高いこともあり市場をけん引している。双腕ロボットや安全対策ロボットは市場形成段階であり今後の拡大が期待される。

製造装置、センサ、コントローラ、生産システムなどのFA機器・システムに加え、これらをシームレスに繋げるネットワークやM2M/IoT、これまで閉鎖されたネットワーク環境下にあった製造装置などが繋がることで必要となるFAセキュリティシステム、今後想定される労働者とロボットの協業で必要となるセーフティシステムなどが組み合わさり、スマート工場となる。

スマート工場がカバーする領域は広く、これまでのFA企業に加えて、ICT企業も注力している。全てを一社で対応することは難しいため、自社で不足する技術はアライアンスで補う企業が多く、企業間の協力体制が多方面で構築されていくとみられる。

日本企業は、サイバー領域では日本電気と富士通がIndustrial Internet Consortiumに参加しており、フィジカル領域では三菱電機、オムロン、キーエンスなどがスマート工場に取り組んでいる。海外企業は、Siemensが幅広く対応製品を有しており、取り組みが最も進んでいる企業ともいえる。


◆調査対象

1.機器・システム編

インテリジェント生産システム MES、PDM/PLM、機械系CAD、ラインシミュレータ、ERP
インテリジェントコントローラ PCベースPLC、PCベースNC、PCベースMC、モバイルワイヤレス対応HMI
インテリジェント製造装置・センサ 双腕ロボット、安全対策ロボット、3Dプリンタ、ロボットビジョン、触覚センサ、力覚センサ
ネットワーク FAオープンネットワーク、FA用無線LANシステム、産業用スイッチングハブ
M2M/IoT M2Mクラウド(FA分野)、産業用RFID、圧力センサ、超音波センサ
FAセキュリティシステム FA UTM(Unified Threat Management)、不正機器監視&強制排除システム
FAセーフティシステム セーフティPLC、安全スイッチ、ライトカーテン
省エネルギー(国内市場) FEMS、トップランナーモータ、トップランナー変圧器

2.企業事例編

Beckhoff Automation、Siemens、Cisco Systems、オムロン、三菱電機

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/03/17
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。