マーケット情報


装置の高機能化に加え、工程集約化・自動化ソリューション提供に装置メーカーが注力する
工作機械・成形機関連市場を調査

−2020年市場予測(2014年比)−
金属3Dプリンタ国内市場 270億円(4.9倍)〜海外メーカー先行も、国家PJで日系メーカー育成


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、工作機械・成形機とその周辺機器計24品目の日系グローバル市場(国内市場及び日系メーカーの海外販売額)の現状を調査・分析し将来を予測した。その結果を報告書「メタルプロセッシング・インダストリー関連市場の全貌 2015」にまとめた。

モノの生産方式が少品種大量生産から多品種少量生産へと移行している。また、自動車や航空・宇宙分野で採用が進むチタン、インコネルといった超硬材料や炭素繊維強化プラスチックなど、材料も付加価値性の高いものが使用され、種類も多様化している。

生産方式の変化により、生産を下支えする工作機械(切削・研削加工機、特殊加工機)、成形機も進化が求められ、装置メーカーは高速化、高剛性化、高精度化、機能の複合化といった装置単体での高付加価値化はもとより、ロボットなど周辺機器との組み合わせで生産性を向上させる工程集約化・自動化ソリューションの展開にも注力している。

◆注目市場

1.金属3Dプリンタ日系グローバル市場

2014年
2020年予測
2014年比
国内市場
55億円
270億円
4.9倍
日系メーカー海外販売
0億円
46億円
合計
55億円
316億円
5.7倍

金属粉末をレーザや電子ビームで焼結させることで、金型や金属製品を製造する装置である。複雑な形状でも継ぎ目を作らずに成形が行え、従来の切削技術では不可能であった形状も製造可能となった。現状では量産対応は難しく、一品モノ、少量多品種生産製品の金型製造に使用される。

2014年の国内市場はものづくり補助金などが追い風となり、拡大した。幅広い分野で採用が進んでおり、自動車、航空・宇宙、医療機器などで多く導入されている。市場への参入は海外メーカーが先行しており、海外機が普及しているが、同年から経済産業省主導で国家プロジェクトが進んでいる。日系メーカーの育成と国産機の量産化が図られており、今後は日系メーカーの参入が増加していくとみられる。

技術開発の方向性としては、造形物の高精度化、高速化、大型化への対応が進められており、今後さらに開発も加速していくとみられる。使用できる金属粉末もマルエージング鋼、ニッケル、ステンレスなどに加えチタン、インコネル、銅、マグネシウムなど増えている。また粉末の粒度も製品精度に影響を与えるため、材料の開発も重要となっている。

なお、日系メーカーによる海外販売はアフターサービスの対応が可能なアジアを中心に徐々に展開され、2020年には販売額が46億円になると予測される。

2.マシニングセンタ日系グローバル市場

2014年
2020年予測
2014年比
国内市場
1,644億円
2,085億円
126.8%
日系メーカー海外販売
4,545億円
4,695億円
103.3%
合計
6,189億円
6,780億円
109.5%

オートツールチェンジャー機能を備え、フライス加工、穴あけ、中ぐり、研削などの加工を行える装置である。複数の加工を一台で行え、工程ごとの工作物の移し換えの手間が省けることから、需要が急速に増加しており、工作機械市場をけん引している。

2014年はスマートフォンの部品加工用として導入が大きく進み、日系メーカーが海外販売を中心に実績を伸ばしたことで、市場は前年と比較し1,000億円以上拡大した。2015年はスマートフォン用の需要が落ち着きをみせていることから伸びは鈍化し、2016年には6,000億円を割るものの、自動車加工用が底堅い需要に支えられており、航空機用などで世界的に需要が伸びていることから、2017年以降は拡大に転じ、2020年には6,780億円が予測される。

3.サーボプレス機日系グローバル市場

2014年
2020年予測
2014年比
国内市場
260億円
415億円
159.6%
日系メーカー海外販売
300億円
485億円
161.7%
合計
560億円
900億円
160.7%

駆動をサーボモータで制御し加圧するプレス機である。ここでは最大荷重20kN以上のものを対象とする。

国内市場では、ものづくり補助金などが追い風となり、2014年は前年比約2倍と急拡大した。また、日系メーカーの海外販売は円安など為替の影響に加え、環境負荷低減、省エネ訴求などにより好調であった。

成形の高精度性や安定性が高いことから、自動車分野を中心に導入が進んでおり、自動化、省力化、高機能化に加え、騒音・振動などの作業環境の改善といった面で改良、改善がなされている。プレス機は液圧式、機械式からサーボ式へシフトが進んでおり、徐々に普及していくとみられる。

◆調査結果の概要

1.工作機械・成形機関連24品目の日系グローバル市場※

2014年
2020年予測
2014年比
国内市場及び日系メーカーの海外販売額
1兆8,389億円
2兆3,432億円
127.4%

リーマンショック以降、輸出割合が高い工作機械・成形機関連業界の日系メーカーは、円高などにより苦しい局面が続いたが、円安の進行と共に世界での競争力を取り戻し、2014年はリーマンショック以降最大の市場規模となった。これらの背景には自動車分野の好調や、スマートフォンの生産設備投資の活性化などがある。

2015年はスマートフォン生産設備需要も落ち着きつつあり、伸びは鈍化するとみられるが、今後の市場は生産設備の自動化ニーズの高まりなども相まって、堅調な拡大が続くとみられる。個別の品目では、2014年比の2020年市場規模は、ウォータージェット加工機、NCフライス盤を除けば、拡大が予想される。しかし、各装置で技術向上や他の技術との複合化による競合も目立ってきており、緩やかな拡大となる装置も多い。一方、金属3Dプリンタなど新しい技術による加工装置は高い成長率が予想される。

さらには、IoTの活用も視野に入れた動きによって、工作機械・成形機関連市場はその進化をさらにスピードアップさせ、新たなビジネスモデルを生み出しながら、拡大していくと期待される。

2.装置・装置メーカーのトレンド

生産工場での労働人口の減少や、労働賃金の上昇は先進国のみならず中国や東南アジアなどでも問題となってきている。また、生産製品の少品種大量生産から多品種少量生産へのシフトにより、工作機械・成形機共に、省力・省人化を目的とした自動化や、複数の異なった加工を一台の装置で行える機能集約・複合化が進んでいる。

装置メーカーも、装置単体の販売だけでなく、装置をロボットや搬送装置などの周辺機器と連動させやすいように設計する工程集約化・自動化ソリューションビジネスへの注力度を高めており、まずは装置メーカーの自社工場内でのシステム導入によるビジネスモデルの構築が進められている。

また、IoTを駆使した生産現場の効率化も意識されはじめており、ソフトウェア開発による装置のネットワーク化や、リモートによるメンテナンスサポートの効率化、将来的には各種装置の稼動データを活用した各工程への生産指示、工場全体の稼動効率化なども期待される。しかし、装置メーカーが独自でシステムを構築するのは難しくシステムインテグレーターなどとの連携が進んでいくとみられる。

◆調査対象 ※は注目市場

切削・研削加工機 マシニングセンタ(立形/横形/門形/5軸以上)※、NC旋盤、.複合加工機、.NC研削盤、NCフライス盤、.高速ミーリング加工機、超精密加工機
特殊加工機 NC放電加工機(ワイヤカット/形彫)、板金レーザ加工機(CO2/ファイバー)、電子ビーム加工機、金属3Dプリンタ※、ウォータージェット加工機
成形機 サーボプレス機(荷重20kN以上)※、機械式プレス機、液圧式プレス機、フォーミングマシン、ベンディングマシン、パンチングマシン 、シャーリングマシン、ダイカストマシン、射出成形機、押出成形機
周辺機器 搬送・ハンドリング用ロボット、自動画像測定器

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/11/20
       
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