マーケット情報


再生医療の早期実用化に向けた環境が整備され、産業化の進展が期待される
ティッシュエンジニアリング関連の国内市場を調査

−2030年市場予測(2014年比)−
ティッシュエンジニアリング関連市場 1,946億円(2.7倍)
今年承認の細胞性医薬品、再生医療法で可能となった細胞培養受託の新市場がけん引
培養軟骨市場 150億円(107.1倍)変形性膝関節症での保険適用による拡大に期待


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、IPS細胞や培養皮膚など再生医療分野における細胞や培養された製品、さらにはこれに関連する施設、機器、試薬などの市場を調査・分析した。その結果を報告書「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2015」にまとめた。

この報告書では再生医療等製品7品目、人工生体材料用補填材2品目、細胞3品目、細胞培養施設/サービス3品目、細胞培養機器15品目、セルカルチャーウェア/試薬11品目の6カテゴリー41品目について、市場の現状と将来性を明らかにした。

◆調査結果の概要

ティッシュエンジニアリング関連国内市場

2014年
2030年予測
2014年比
再生医療等製品
7億円
695億円
99.3倍
人工生体材料用補填材
59億円
64億円
108.5%
細胞
14億円
36億円
2.6倍
細胞培養施設/サービス
37億円
382億円
10.3倍
細胞培養機器
438億円
546億円
124.7%
セルカルチャーウェア/試薬
158億円
224億円
141.8%
合計
712億円
1,946億円
2.7倍

2014年の市場は前年比0.6%減の712億円となった。市場の半数以上を占める細胞培養機器が、大学・研究機関の予算削減の影響を受けたことが要因である。なお、2015年は大学・研究機関向けの細胞培養機器の実績も回復しており、以降市場拡大が予想される。

2014年11月より免疫細胞療法を含んだ再生医療の実用化を安全、迅速に推進するための「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療法)」、治験にて安全性の確認及び有効性が推定される場合、条件・期限付きで製造販売承認を与えこれまでよりも早く製品の発売が可能となる「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」が施行された。

これにより、再生医療の製造・加工に関するコスト低減、実用化までの時間短縮などが可能となり、再生医療の産業化が大きく進むとみられることから、ティッシュエンジニアリング関連市場は拡大が加速すると期待される。

1.再生医療等製品

現在市場が形成されているのは培養皮膚と培養軟骨のみである。2014年は培養皮膚の移植件数減少により全体市場が縮小した。今後は心筋シートが2016年頃、培養角膜や食道再生上皮シートなども2020年までに市場が形成されるとみられる。また、細胞性医薬品が2015年9月に承認されており、市場は2016年に立ち上がるとみられる。脳梗塞や難治性の疾患の治療薬として今後承認が待たれる開発品もあることから、2030年には500億円に達し、全体市場の拡大をけん引するとみられる。

2.人工生体材料用補填材

6カテゴリーの中で最も伸び率が低いものの、拡大が予想される。皮膚補填材はがんの治療患者など、皮膚移植が困難な患者にも使用可能な点が注目されている。また、骨補填材は高齢者など、自家骨の採取が困難な患者に使用するケースが多く、高齢化に伴う需要増加が期待される。

3.細胞

IPS細胞は、民間企業、大学・研究機関を問わず研究が活発化しており、市場が拡大している。IPS細胞関連の研究には政府予算が配分されやすいとみられ、今後も拡大が続くと予想される。なお、ヒト細胞は研究予算がIPS細胞に集中しており、長期的には縮小が予想される。

4.細胞培養施設/サービス

再生医療法により、従来医療機関のみに限定されていた治療用の細胞加工が民間企業などへの外部委託が可能となった。設備投資や維持費用が不要になることや、再生医療等製品などの開発に集中できるといった業務効率化などの観点から細胞培養は医療機関から民間企業への委託が一般的になるとみられる。細胞培養受託サービス市場は僅少であるが2015年には立ち上がり、2030年には300億円へと拡大し、全体市場をけん引すると予想される。なお、細胞培養センター(CPC)は大学・研究機関の需要が一巡し伸びが鈍化しているが、医療機関や民間企業の需要増加により拡大し、細胞/組織バンクは認知度向上などにより拡大するとみられる。

5.細胞培養機器

2014年は大学・研究機関での研究予算削減により、CO2インキュベータ、自動培養装置、アイソレータ、細胞計数分析装置、セルイメージングシステム、超純水製造装置などの市場が前年比5%以上縮小したことで、全体市場は縮小した。2015年は大学・研究機関向けの実績も回復しており、以降拡大が予想される。

6.セルカルチャーウェア/試薬

消耗品が多く、需要は安定的である。今後、細胞の大量培養や自動培養が一つのトレンドになるとみられ、培養関連製品が全体市場の拡大をけん引するとみられる。また、生体内により近い培養環境を実現できる三次元培養が民間企業を中心に注目されており、市場は小さいものの拡大が予想される。

◆注目市場

1.培養軟骨市場

2014年
2030年予測
2014年比
市場規模
1.4億円
150億円
107.1倍

2013年に保険適用となり、市場が形成された。認定施設と認定医師の増加により、市場は2014年に続き、2015年も前年比約3倍が見込まれる。現状では軟骨を広範囲に亘って欠損した外傷性軟骨欠損症と離断性骨軟骨炎の重度の患者(軟骨欠損面積4c?以上)にのみ保険が適用されており、患者数が多い変形性膝関節症には適用されない。今後変形性膝関節症でも保険適用がなされれば、市場の急拡大が期待できる。また、参入メーカーは現在1社であるが、今後は薬機法の早期承認制度を活用した新規参入も期待される。

2.IPS細胞市場

2014年
2030年予測
2014年比
市場規模
2.5億円
25億円
10.0倍

市販されるヒトIPS細胞、およびそれらから分化された細胞を対象とし、公的機関が有償提供している細胞や民間企業が行っている受託生産などのサービスについては対象外とする。IPS細胞を用いた研究は民間企業、大学・研究機関を問わず活発で市場拡大が続いている。特に製薬企業を中心とした民間企業の研究用途での拡大が期待されており、今後も再生医療、医薬品製造用途での需要増加により拡大が予想される。なお、現状では心筋細胞や神経細胞、内皮細胞、肝細胞などでIPS由来の細胞が展開されており、その中でも心筋細胞や神経細胞の需要が高い。

3.三次元培養向けセルカルチャーウェア/試薬市場

2014年
2030年予測
2014年比
市場規模
3.7億円
24億円
6.5倍

細胞培養用シャーレ/プレート、ゲルやスキャホールドなどを対象としている。三次元培養は生体内により近い培養環境を実現できることから、製薬企業を中心とする民間企業が注目しており、セルカルチャーウェア/試薬メーカー各社も三次元培養向けの製品展開に注力している。製薬企業では三次元培養によって作製した細胞で、肝炎や肝臓病、がんなどに関する研究を行っており、今後も民間企業を中心に需要の拡大が期待され、2030年には24億円まで拡大すると予想される。

◆調査対象

再生医療等製品 培養軟骨、培養皮膚、培養角膜、心筋シート、食道再生上皮シート、細胞性医薬品、毛髪/歯
人工生体材料用補填材 皮膚補填材、.骨補填材
細胞 ヒト細胞、IPS細胞、ES細胞
細胞培養施設/サービス 細胞培養センター(CPC)、細胞/組織バンク、細胞培養受託
細胞培養機器 遠心分離機、.CO2インキュベータ 、自動培養装置、アイソレータ、安全キャビネット/クリーンベンチ、滅菌器、凍結保存容器、超低温フリーザ 、薬用冷蔵ショーケース/薬用保冷庫、フローサイトメーター、細胞計数分析装置、セルイメージングシステム、.細胞観察用顕微鏡、破砕装置/ティッシュスライサー、超純水製造装置
セルカルチャーウェア/試薬 細胞培養用シャーレ、細胞培養用プレート、.細胞培養用フラスコ、.細胞培養バッグ、細胞培養用ゲル、 細胞培養用培地、血清、細胞培養用スキャホールド、トランスフェクション試薬、細胞凍結保存液、細胞搬送容器

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/11/30
       
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