マーケット情報


自動運転を視野に入れたコネクテッドカー関連の世界市場を調査

コネクテッドカー(インターネット常時接続乗用車※1)世界累積台数:2030年末に6億8,249万台
3D高度化地図の2030年の市場は2兆4,000億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、IT関連事業者をはじめ異業種による自動車関連分野への参入が進み、今後はCar-ITの進展による自動運転を視野に入れた拡大が期待されるコネクテッドカー、テレマティクスシステム/サービス※2の市場、加えて関連デバイス・システムの市場を調査した。その結果を報告書「コネクテッドカー関連市場の現状とテレマティクス戦略 2016」にまとめた。

この報告書では半導体4品目、コネクティビティサービス8品目、コネクティビティソリューション6品目、ワイヤレスソリューション5品目、コックピット/ヒューマンインターフェース7品目、V2Xソリューション2品目、完全自動運転関連システム/デバイス5品目、有望テレマティクスアプリケーション11品目の市場について現状を分析し、将来を予測した。加えて、自動車メーカーやシリコンバレーのIT関連事業者の動向についても整理した。

※1 トラックやバス、商用車は除く。※2 テレマティクスシステム:自動車などの移動体でリアルタイムに情報を得るために搭載するシステム。テレマティクスサービス:自動車などの移動体にリアルタイムに提供される情報サービス。

◆調査結果の概要

1.コネクテッドカーの世界市場 【累積台数ベース・年末時点】 ※3 ※4

2014年
2030年予測
2014年比
全 体
1億1,197万台
6億8,249万台
6.1倍
モバイル連携(テザリング)型
5,856万台
3億8,173万台
6.5倍
エンベデッド型
5,308万台
2億3,676万台
4.5倍

通信モジュール内蔵、あるいはモバイル端末と連携することでインターネット常時接続を可能とするコネクテッドカーの世界市場は累積台数ベースで2014年末に1億1,197万台となり、全乗用車の14%を占めた。エンベデッド型とモバイル連携(テザリング)型が大部分である。2015年以降は特にモバイル連携型がサードパーティテレマティクスシステムの搭載増加により大きく伸びるとみられる。

中長期的には充電管理やリモート空調、充電スタンド・駐車場満空情報の取得などが可能なEV/PHV型がEVやPHVの台数増加に伴い順調な伸びが期待され、2020年頃には完全自動運転型のコネクテッドカーが登場するとみられる。2030年末にはコネクテッドカーの累積台数は、全乗用車の55%以上を占めると予想される。

※3 モバイル連携(テザリング)型、エンベデッド型は全体の内数。※4 モバイル連携(テザリング)型:テザリングIVI(モバイル連携車載テレマティクスシステム)、標準装備MirrorLink対応DA、「Android Auto」(Google)や「CarPlay」(Apple)をはじめとしたサードパーティテレマティクスシステムの搭載車。エンベデッド型:OnStar Head Unit、通信モジュール内蔵IVI、車載RTOS、標準装備テレマティクス対応カーナビの搭載車。EV/PHV型:通信モジュール内蔵EV/PHV。 完全自動運転型:国土交通省が定める「Level3」以上の自動運転車。

エリア別に見ると、普及が先行しているのは北米である。欧州自動車メーカーの北米向け高級モデルを中心に通信モジュール内蔵IVI搭載車が増加しているのに加え、テザリングIVIが、北米で先行投入した後に他エリアで展開する戦略を各自動車メーカーが進めていることを要因に伸びている。米系自動車メーカーが環境や安全分野で日系や独系自動車メーカーに遅れているため情報通信分野に注力していることや、日系自動車メーカーが北米向けの高級車に通信モジュール内蔵IVIの搭載を進めるとみられ、今後も北米がコネクテッドカー市場の中心になると予想される。

欧州はカーナビの装着率が低く、持ち運びが可能なPNDが普及しているため、安価なテザリングIVIが評価されている。義務化が延期されている緊急通報システム「eCall」が2018年には本格的実装が始まり市場を押し上げるとみられる。テザリングIVIが先行しているが、2015年頃からは通信モジュール内蔵IVIの伸びも予想される。

日本はテレマティクス対応カーナビを装着して自動車メーカーが展開するサービスに加入する、日系自動車メーカー主導の「日本独自のコネクテッドカー」が普及していることもあり、北米や欧州で普及しつつある通信モジュール内蔵IVIやテザリングIVIの普及は遅れるとみられる。

新興国の伸びも期待され、特に中国が注目される。General Motors/上海GMが展開するテレマティクスサービス「OnStar」で利用するOnStar Head Unitの普及が拡大している。都市部では大気汚染対策として政府主導でEVなどの環境対応車の割合を増やすとみられEV/PHV型も伸びると予想される。また、中国では車載システムに関して高級感を重視するため、本格的な通信モジュール内蔵IVIの需要も高まるとみられる。

2.自動運転車の世界市場 ※5

2014年
2030年予測
2014年比
全 体
720万台
6,730万台
9.3倍
Level3
960万台
Level4
60万台

自動運転車の進化・普及によって、スマートフォンの専用アプリによるリモート自動送迎、駐車場の自動出入庫、道路渋滞の緩和、高齢者/障害者の自由度向上、移動時間の有効利用などが期待される。

2014年時点ではLevel1が市場の大半を占めている。車載カメラや車載用ミリ波レーダなどのデバイスを使用し衝突回避や車線保持などを可能とするADAS搭載車が増加している。2015年以降はLevel2も増加するとみられる。

Level3は2020年に市場が本格化し、Level4は2025年頃から徐々に市場が形成されるとみられる。しかし、信号がない交差点での譲り合いのタイミングや一般ドライバーとのコミュニケーション、天候によるセンシング不良などの安全性の問題や、事故時の責任の所在、ハッキングの対策、3D高度化地図の必要性など多くの課題が残されている。

※5 Level1:加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態。Level2:加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。Level3:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態。Level4:加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態 。上記表のLevel3、4は全体の内数。

◆注目市場

3D高度化地図

2014年
2030年予測
2014年比
市場規模
2兆4,000億円

完全自動運転の実現には従来の2DマップおよびGPSなどの位置情報のみでは不十分であり、3Dデータによる自己位置特定が必要なため、具体的に実際の建物や標識などの3D画像データとカメラ映像をマッチングさせて自車位置をセンチメートル単位で割り出す3D高度化地図が必要となる。全方位レンジファインダを用いる「リアルタイム3D地図化方式」、事前に作成した地図情報をクラウド上に蓄積する「クラウド/ビッグデータ方式」に大きく分けられる。

2020年代に自動車メーカーが展開する自動運転車は「クラウド/ビッグデータ方式」の採用が主流になるとみられる。一部メーカーが2017年に実用化を目指している「リアルタイム3D地図化方式」は技術やコスト面での課題が多いため、当面市場は僅少にとどまるとみられる。

◆調査対象

半導体 1.CPU/MPU、 2.GPU、3.人工知能(AI)/ディープラーニング、4.ストレージ
(半導体メモリ/HDD)
コネクティビティ
サービス
1.車載OS、2.TSP(テレマティクスサービスプロバイダー) 3.プローブ情報/
ビッグデータ、4.Apps、5.テレマティクス(OEテレマティクス)、6.EV/PHV専用
テレマティクス、7.二輪車/超小型モビリティ専用テレマティクス、8.商用車テレマティクス
コネクティビティ
ソリューション
1.カーナビゲーションシステム、2.PND、3.スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(MirrorLink)、4.ウェアラブル端末、5.IVI(テザリング/モバイル連携)/車載テレマティクスシステム、6.IVI(エンベデッド)/統合的IVI
ワイヤレス
ソリューション
1.車載通信モジュール/テレマティクスモジュール、2.車載GPS、3.車載短距離無線技術(Bluetooth/Wi-Fi/NFC)、4.車載用ワイヤレス充電器、5.ドライブレコーダ
コックピット/ヒューマンインターフェース 1.運転席前方(センタークラスタ/メータクラスタ)用MID、2.車載液晶ディスプレイ(パネル)、3.HUD(ヘッドアップディスプレイ)、4.後部座席/助手席インフォテイメント、5.音声インターフェース、6.ジェスチャーインターフェース、7.ハプティックデバイス(力覚提示インターフェース)
V2Xソリューション 1.車車間通信(V2V)、2.路車間通信(V2I)
完全自動運転関連
システム/デバイス
1.ADAS(先進運転支援システム)、2.LiDAR(レンジファインダ/レーザーレーダ)、3.車載用ミリ波レーダ、4.車載カメラ、5.3D高度化地図
有望テレマティクス
アプリケーション
1ナビゲーション地図提供、2.スマートフォンナビ、3.デジタルeコマース、4.盗難車両追跡システム、5.車載電波放送(インターネットラジオ/衛星放送/ドイツDAB)、6.Payd/Phyd自動車保険(テレマティクス自動車保険)、7.ロードサービス(ロードサイドアシスタンス/bCall)、8.緊急通報(eCall/911Assist)、9.故障診断(OBD) 、10.カーシェアリング、11.ライドシェア/配車サービス

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2016/01/14
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。