マーケット情報


製造・非製造業向けロボットの世界市場を調査

−2020年市場予測(2015年比)−
注目の次世代・安全系ロボット 1,709億円 インフラ点検ロボット 5億円
製造業向けロボット 自動化需要の増加で市場拡大 1兆1,052億円(55.4%増)
非製造業向けロボット 医療分野やインフラ分野などで需要増 1兆3,123億円(2.7倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、国内において2015年1月に打ち出された「ロボット新戦略」推進により製造現場から日常生活まで用途拡大が期待される製造・非製造業向けロボットの調査を実施した。その結果を報告書「2016 ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望」にまとめた。

この報告書では、製造業向けロボット17品目、半導体・電子部品実装向けロボット7品目、非製造業向け(サービス系)ロボット17品目、ロボット向け注目構成部材7品目の世界市場を調査・分析し、将来を予測した。

◆注目市場

1.次世代・安全系ロボット【製造業向けロボット】

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
166億円
1,709億円
10.3倍

協調・共存ロボットとセンシティブロボットを対象とする。協調・共存ロボットは従来のロボット性能に加え、人に近い動作、作業内容、作業環境での利用を想定しているため人との協調または共存を可能とするロボットである。参入メーカーが増加しており、2016年以降はトライアルから本格導入へと移行していくとみられる。EMS向けや多品種少量生産の自動化の解決手段として需要拡大が期待され、欧米、日本、そして中国などアジアへと広がり、市場は拡大するとみられる。

センシティブロボットはロボット本体に各種センサを内蔵し、速度制限や力制限、衝突防止、回避などを行ない安全規格に準拠することで、人のそばでの作業や人と同等の繊細な作業に対応したロボットである。KUKA Roboterの「LBR iiwa」は欧州自動車メーカーのトランスミッションの組み付けなどインラインで導入されている。先進的なユーザーにおける用途開発やトライアルを中心とした導入であったが、2015年は主にドイツ、イタリア、スペインといった欧州諸国、米国、日本など、先進国を中心に生産ラインで導入が進んだ。現状では一部のロボットメーカーが先行しているが、多品種少量生産に柔軟な対応が可能なロボットの需要の高まりを受けて今後多数のメーカーが市場参入してくるとみられる。

2.インフラ点検ロボット【非製造業向け(サービス系)ロボット】

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
2億円
5億円
2.5倍

道路、橋梁、トンネルといった社会交通インフラの点検目的で使用されるロボットを対象とする。機械が自動的に点検を行うインフラ点検ロボットの採用は、日本など一部地域にとどまっていたが、世界的にインフラの老朽化が進む中で、人件費の高騰、人手不足などといった要因により、ロボットを活用したより効率的な点検の需要が拡大している。

日本ではインフラ点検ロボットの開発プロジェクトが進められており、国土交通省も2017年から本格的にインフラ点検にロボットを採用していくとみられる。米国でも産学連携で開発された橋梁床版点検ロボットが2015年から5年間で1,000橋の点検に適用される計画となっており、市場は急激に拡大していくとみられる。

3.医療系ロボット【非製造業向け(サービス系)ロボット】

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
850億円
1,650億円
194.1%

臨床用で使用される手術支援を行うロボットを対象とする。医療ロボットは高価であることから、先進国を中心に導入が進んでいる。特に米国で先行しており、開発メーカー、術例共に多い。国内でも「da Vinci」など一部が導入されている。2012年に前立腺がん摘出手術の保険適用が可能となったことで、ロボット手術に対する需要が顕在化し、医療系ロボットの市場が拡大している。今後他の術野にも適用が拡大すれば、さらなる市場拡大が期待できる。また2015年に「da Vinci」の特許が切れたことから開発競争が激化している。2017年以降、新たな製品が順次投入される予定であり、市場が活性化するとみられる。

4.コミュニケーションロボット【非製造業向け(サービス系)ロボット】

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
17億円
152億円
8.9倍

自ら話したり、人の呼びかけに反応するロボットと、遠隔地に置き、通信機能を介して遠隔地の人とコミュニケーションを行うための視覚と聴覚が付与されたロボットを対象とする。なお法人向け、業務用を前提とした製品に限定し、家庭向けは対象外とする。

2015年は国内でソフトバンクロボティクスの「Pepper」やオリィ研究所の「OriHime」が投入され、市場が拡大している。ロボットを導入した法人ユーザーは接客、案内など実際の業務に取り入れることで省人化や集客効果が期待されることから、需要は拡大していくとみられる。海外では導入が進んでいないが、将来的に日系メーカーのロボットが需要を開拓し、市場形成されるとみられる。

◆調査結果の概要

1.製造業向けロボット

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
7,110億円
1兆1,052億円
155.4%

製造業向けロボット17品目を対象とする。2015年は中国をはじめとした人件費の高騰、労働力不足、品質安定化を背景にロボットを活用した自動化需要が高まり、市場が拡大した。自動車、食品、医薬品など様々な分野でロボットの導入が広がっている。

今後は東南アジアやインドなどで自動化需要が広がるほか、Industrie4.0、IoTの取り組みを背景にロボットを活用した柔軟な生産システムのニーズが拡大するとみられる。また機械学習、自律ロボットなどの新しい技術が導入されていくことで、市場は拡大していくとみられる。

2.半導体・電子部品実装向けロボット

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
4,278億円
4,389億円
102.6%

半導体・電子部品実装向けロボット7品目を対象とする。2015年はスマートフォンなどの主要アプリケーションの販売が伸び悩んだため、市場が縮小した。一方、自動車関連向けは好調に推移しており、今後は電気自動車市場の拡大、自動運転車の市販なども想定され、増加する車載電装品向けに高速・多機能などの付加価値の高いロボットの需要が拡大するとみられる。

3.非製造業向け(サービス系)ロボット

2015年
2020年予測
2015年比
市場規模
4,939億円
1兆3,123億円
2.7倍

非製造業向け(サービス系)ロボット17品目を対象とする。2015年は自動車運転支援システムを中心としたモビリティ分野や、ドローン・無人ヘリなどのインフラ分野、掃除ロボットが普及している業務・生活支援分野が市場をけん引した。今後は医療・介護保険の適用拡大などにより、医療・介護・福祉分野も本格的に市場が立ち上がるとみられる。またインフラ分野においては、国家プロジェクトで開発されたインフラ点検ロボットの導入が進むとみられ、市場は堅調に拡大するとみられる。

◆調査対象

製造業向けロボット アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、単軸ロボット、交ロボット、電動スライダ、卓上型ロボット、パレタイジングロボット、取出しロボット、スカラロボット、小型垂直多関節ロボット(可搬重量20kg以下)、直多関節ロボット(可搬重量21kg以上)、パラレルリンクロボット、ガラス基板搬送ロボット、ウエハ搬送ロボット、協調・共存ロボット、ンシティブロボット
半導体・電子部品実装向けロボット 高速モジュラーマウンタ、中速モジュラーマウンタ、低速マウンタ、多機能マウンタ、ダイボンダ、ワイヤボンダ、フリップチップボンダ
非製造業向け(サービス系)ロボット セラピー・見守りロボット、パワーアシスト・増幅スーツ、医療系ロボット、移乗ロボット、荷役搬送ロボット、インフラ点検ロボット、ドローン・無人ヘリ、レスキューロボット、原発ロボット、パーソナルモビリティ、自動車自動運転/運転支援システム、受付・案内ロボット、掃除ロボット、セキュリティロボット、コミュニケーションロボット、テレプレゼンスロボット、ヒューマノイドロボット
ロボット向け注目構成部材 FAケーブル、精密制御減速機、ロボット用サーボモータ、ロボット用オートツールチェンジャ、ロボット用力覚センサ、セーフティレーザースキャナ、ロボットビジョンシステム

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/05/16
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。