マーケット情報


医療用医薬品 国内市場調査(2)
中枢神経領域、認知症治療剤などを調査

−2024年市場予測(2015年比)−
アルコール依存症治療剤61億円(6.1倍)断酒補助剤の成長、新薬剤の新たな需要開拓で拡大
慢性疼痛治療剤1,877億円(61.7%増)適応拡大による処方増加、新製品増加でさらに拡大


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医師の診断に基づいて処方される医療用医薬品の国内市場を2016年から2017年にかけ、7回に分けて調査する。今回は第2回目として、中枢神経領域(11品目)、認知症治療剤、多発性硬化症治療剤、疼痛治療剤(7品目)の市場を調査した。その結果を報告書「2016 医療用医薬品データブック No.2」にまとめた。

◆調査結果の概要

1.中枢神経領域

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
5,779億円
102.5%
6,487億円
115.1%

中枢神経領域は抗うつ剤と統合失調症治療剤の構成比が高い。抗うつ剤は2014年4月の診療報酬改定で多剤処方が減点対象となった影響を特に受けているが、主要製品の好調や「エビリファイ」(大塚製薬)の適応拡大により伸長が続いている。また、抗てんかん剤、抗パーキンソン病剤、アルコール依存症治療剤は、疾患啓発が進んでいることや新薬の投入により伸長し、ADHD治療剤は患者数の増加や成人への適応拡大で好調となっている。一方で、統合失調症治療剤、抗不安剤、睡眠障害治療剤は多剤処方抑制の影響を受けていることから、2016年の市場は微増が見込まれる。今後は、多剤処方抑制が強まるが、大型化が期待される開発品があることや、既存製品を中心に、抗うつ剤、統合失調症治療剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン病剤、ADHD治療剤が伸長し、市場はプラス成長が予想される。

2.認知症治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
1,497億円
103.8%
2,045億円
141.8%

認知症治療剤はNMDA受容体拮抗剤「メマリー」(第一三共)が他剤と併用できることから市場成長に貢献し、2016年は前年比3.8%増の1,497億円が見込まれる。厚生労働省の策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると想定されている。今後は、既存製品のプロモーション強化や新製品の開発が進んでいるほか、地域かかりつけ医制度の推進で認知症の早期診断、早期治療が進み当面市場の拡大に拍車がかかるとみられるが、2021年以降は現在処方の中心となっている薬剤が相次いで特許切れとなることから減速が予想される。

3.多発性硬化症治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
135億円
104.7%
174億円
134.9%

多発性硬化症治療剤ではスフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬「イムセラ」(田辺三菱製薬)、「ジレニア」(ノバルティス ファーマ)は経口剤という剤形で、注射剤よりも服薬性が良いことから処方が増え、市場を押し上げている。現在開発中のものは経口剤で占められていることから、服薬性が良い経口剤の構成比が高まり、注射剤の構成比は下がっていくとみられる。また、特定疾患医療受給者証交付件数が増加していることから患者数の増加も予想され、市場はプラス成長が続くとみられる。

4.疼痛治療剤

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
4,886億円
99.7%
4,961億円
101.2%

疼痛治療剤はNSAIDs・解熱鎮痛剤や外用消炎鎮痛剤の構成比が大きいが、ジェネリック医薬品の影響により縮小しており、2016年の市場は前年割れが見込まれる。NSAIDs・解熱鎮痛剤では「セレコックス」はアステラス製薬が今後もプロモーション活動に注力していくとみられるが、2019年に特許期限切れを迎え、ジェネリック医薬品発売の影響が予想される。一方で、「リリカ」(ファイザー)、「ドラムセット」(ヤンセンファーマ、持田製薬)などの新製品の伸びや、抗うつ剤の「サインバルタ」(日本イーライリリー)が慢性疼痛に適応拡大したことにより処方増加が予想され、市場は微増が見込まれる。

◆注目の市場

1.統合失調症治療剤 【中枢神経領域】

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
1,428億円
98.1%
1,805億円
124.0%

統合失調症治療剤は多剤処方抑制の影響や「リスパダール」(ヤンセンファーマ)、「セロクエル」(アステラス製薬)のジェネリック医薬品への切り替えにより、市場は2016年もマイナス成長が見込まれる。多剤処方抑制による影響や2017年から2018年にかけ「エビリファイ」(大塚製薬)の特許切れなどのマイナス要因があるものの、「リスパダールコンスタ」「インヴェガ」「ゼプリオン」(ともにヤンセンファーマ)の伸長がそのマイナス要因をカバーし、また、開発品の「レキサルティ」(大塚製薬)、「ラツーダ」(大日本住友製薬)が発売されることから、市場はプラスに転じるとみられ、2024年は2015年比24.0%増の1,805億円が予測される。

2.アルコール依存症治療剤 【中枢神経領域】

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
12億円
120.0%
61億円
6.1倍

アルコール依存症治療剤はこれまで抗酒薬「ノックビン」「シアナマイド」(ともに田辺三菱製薬)があったが、アルコール依存症の薬物治療において補助的な位置づけであることや薬価の低さから、市場は小規模に留まっていた。2013年に新たな作用機序を持つ断酒補助剤「レグテクト」(日本新薬)が発売されたことで、本格的に市場が立ち上がり、2016年には前年比20.0%増の12億円が見込まれる。「レグテクト」のさらなる処方拡大に加え、現在開発が進められているナルメフェン塩酸塩(ルンドベック・ジャパン、大塚製薬)が2018年頃に発売されると予想されることから、これら2製品が市場拡大をけん引し、2024年は2015年比6.1倍の61億円が予測される。

3.慢性疼痛治療剤 【疼痛治療剤】

2016年見込
2015年比
2024年予測
2015年比
市場規模
1,273億円
109.6%
1,877億円
161.7%

慢性疼痛治療剤は、「リリカ」(ファイザー)、「ドラムセット」(ヤンセンファーマ、持田製薬)などの新製品の処方が増加している。「リリカ」は慢性疼痛の繊維筋痛症に第一選択薬となっていることから今後も処方拡大が続くとみられる。また、抗うつ剤として発売された「サインバルタ」(日本イーライリリー)が慢性疼痛治療剤として適応拡大したことで、2016年の市場は前年比9.6%増の1,273億円が見込まれる。今後は、「サインバルタ」の適応拡大による処方増加に加え、新製品が増えるとみられ、市場は活性化し、2024年には2015年比61.7%増の1,877億円が予測される。

◆調査対象

中枢神経領域 抗うつ剤(PTSD、社会不安障害含む)、双極性障害治療剤、抗不安剤、.睡眠障害治療剤、統合失調症治療剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン病剤、レストレスレッグス症候群治療剤、ADHD治療剤、アルコール依存症治療剤、神経変性疾患治療剤・その他中枢神経疾患治療剤
認知症治療剤
多発性硬化症治療剤
疼痛治療剤 NSAIDs・解熱鎮痛剤、慢性疼痛治療剤、ステロイド系消炎鎮痛剤、外用消炎鎮痛剤、麻酔用剤、筋弛緩剤・回復剤、片頭痛治療剤

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/11/16
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。