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陸上/洋上風力発電システムの世界市場を調査

−世界の風力発電システム市場は2030年9兆7,200億円に−


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、再生可能エネルギーのうち、太陽光の次に注目される風力の発電システム市場について調査した。その結果を報告書「World Wide 陸上/洋上風力発電市場の現状と将来展望 2017」にまとめた。この報告書では、陸上と洋上の風力発電システム市場について詳細に分析し、システムを構成する主要コンポーネント、主要材料およびサブコンポーネントに加え、今後増加するサービスの市場を調査・分析した。

◆調査結果の概要

1.風力発電システムの世界市場(新設)



陸上システムの世界市場は、2015年の中国需要急増の反動から2016年は縮小が見込まれるが、2017年以降は拡大推移すると予想される。

エリア別では、中国は、2015年に過去最高導入量を更新し、世界市場の5割を占めた。2016年はFIT価格低下および系統の弱い好風況エリアの新設を規制したためマイナス成長が見込まれるが、低風況エリアに市場が形成されると考えられるほか、「第13次5カ年計画」において導入目標を2020年には210GWに引き上げており、今後も年間20GWから25GWが新設されるとみられる。

米国は、風力発電の発電量に応じて税金を還付するPTC(Production Tax Credit)制度が2015年末に失効したことから2016年はマイナス成長が見込まれるが、2019年まで延長が決まりプラスに転じるとみられる。今後は低風況エリアでも採算がとれる大型風車による大規模システム開発を中心に、リパワリング市場も活発になると予想される。

欧州は、風力発電システム市場の黎明期より拡大を牽引してきたが、各国はFITから入札制度に変更しつつあり、イタリア、ルーマニアなど、財政事情の厳しい国から大規模な政策転換が始まっている。現在は政策支援が残るドイツ、フランス、ポーランドなどで需要が期待できるが、2017年以降ドイツはFITから競争入札への移行が検討されており、市場は厳しい局面に突入するとみられる。今後は、東欧市場開拓、既設風車のリパワリング市場の成長が予想されるが、2020年以降は縮小が予想される。

その他国・地域は、人口増加とそれに伴う新設電源に対する需要が大きく、特に国内資源が少ない国・地域ではエネルギー自給率向上を目的に導入が進む。現在需要が拡大しているのはブラジル、インド、カナダ、トルコ、メキシコなどで、特にブラジルの伸びが大きい。2030年になると中南米、インド、アフリカ、中東などが中国と肩を並べる需要規模になると予想される。

洋上システムの世界市場はけん引していたイギリスに加え、ドイツで稼働案件が集中したことから2015年に3GW超となった。2016年は、2014年の洋上FIT開始により中国市場が本格化してきたことに加え、米国でも初の開発案件の稼働が見込まれる。洋上風力発電は1サイトの開発に10年掛るとも言われており、本格的市場形成は2020年代後半になると予想される。欧州、中国以外のエリアは、洋上風力発電の導入を後押しする政策を整備中であり、日本、台湾、韓国、米国、インド、ブラジルなどで市場形成が期待される。

2.風力発電システムの国内市場(新設)



陸上システムの国内市場は、2011年の補助金打ち切り、2012年の環境アセスメントの開始により低迷していたが、2012年に始まったFITを追い風に2014年頃より拡大し始めた。2015年に太陽光発電大量導入により系統容量が抑えられたことから、2016年に風況のよい北海道では新規接続申請分から出力制御が無制限でかかる状況であり、東北電力と九州電力も無制限出力制御の時期が迫っている。現在環境アセスメント審査中の案件を含め2022年頃まで導入が進むとみられるが、更なる導入には系統増強、間接オークションの導入、1,000時間出力制御、無制限出力制御時の政府補償など、何らかの制度が必要とみられる。2020年以降は2000年以前に導入した小規模風力発電システムのリパワリング市場の形成も予想される。

洋上システムの国内市場は、2014年の洋上風力発電専用FITの設定、2016年の港湾法改定など、市場環境が整い新規参入企業が増加しているが、北海道、東北、九州といった風況のよい地域は、陸上・洋上ともに系統容量不足のため、無制限出力制御またはその対象となっており、開発が停滞している。また洋上風力発電システム市場の本格拡大には港湾外の一般海域の法整備が不可欠で、系統問題を含め法整備求められる。

◆国内注目のサービス

1.O&M(Operation & Maintenance)

2016年見込
2015年比
2030年予測
2015年比
世界市場
7,863億円
107.8%
1兆4,028億円
192.3%
国内市場
168億円
104.3%
908億円
5.6倍

※風車メーカー内製を除く。国内市場は世界市場の内数

O&Mは運転維持費を指し、定期点検(目視点検、ボルトなどのゆるみ確認、オイル・潤滑剤補給など、年に1〜4回実施)と補修(不定期に発生した故障などの原因調査と復旧業務)を対象とした。

風力発電システムの稼働台数の増加につれ、右肩上がりで成長する市場である。2010年頃より新設が大きく増加し、現在メーカーの保証切れシステムが大量に発生している。従来は、稼働年数の経過とともにO&M単価が上昇したが、効率的なO&Mの実施により、単価が下落している。また保証期間も現在の3年程度から5年〜20年へ長期化していることなどから、市場の伸びは鈍化するが、新設システムの増加に伴い導入が増え、今後も市場はプラス成長していくと予想される。

日本は、2012年のFIT開始による設備利用率向上のニーズとともに市場が拡大した。利用率向上のため従来の点検項目を増加させたことや2000年代後半に導入した設備の故障率が高まってきたことから、O&M単価は上昇している。2010年代後半に現在の環境アセスメント済案件が大量に導入されることで、市場拡大が期待される。

2.状態監視システム

2016年見込
2015年比
2030年予測
2015年比
世界市場
54億円
94.7%
262億
4.6倍
国内市場
0.36億円
81.8%
20.8億円
47.3倍

※風車メーカー内製を除く。国内市場は世界市場の内数

状態監視システム(CMS)は、各種センサーを風力発電システムの監視対象箇所に取り付け、連続的または断続的に遠隔収集したデータを基に異常を早期に検出するシステムを対象とした。

既設システムへの搭載率は、洋上システムでは、メンテナンスコストが高額であり、異常を早期発見することが重要視されているため100%に近いと予想される。一方、陸上システムでは、状態を監視し異常箇所を検知することがメインとなっており、異常の詳細な内容を分析して特定対応できるメーカーが一部に留まっていることから、普及は進んでいない。

欧州では、状態監視システムを導入しているシステムに対して保険料を優遇する保険会社が存在することから、導入は先行している。日本でも保険会社が保険料を優遇する動きがあることなどから、2020年頃までに搭載率が20〜30%に上昇し、保険料割引の実施やメンテナンスの高効率化が達成されれば、2030年頃には50%程度になるとみられる。

◆調査対象

風力発電システム 陸上システム、洋上システム
主要コンポーネント タワー、ブレード、発電機(誘導発電機、同期発電機)、コンバータ(コンバータ、フルコンバータ)、軸受(主軸用、増速機用、発電機用、旋回座用)、歯車機器(増速機、ピッチ駆動装置、ヨー駆動装置)、系統安定化用蓄電システム
主要材料およびサブコンポーネント 炭素繊維、ガラス繊維、サブコンポーネント(ナセル関連部材、ローター関連部材 、タワー関連部材 、洋上風力向け関連部材)
洋上風力 着床式基礎(モノパイル、重力、ジャケット、トリポッド、トリパイル)、浮体式基礎、海底ケーブル(送電ケーブル、アレイケーブル)
サービス デベロッパー、O&M(Operation & Maintenance)、状態監視システム、保険サービス
企業 Vestas(Vestas Wind Systems)、GE Energy(GE Renewable Energy)、Siemens(Siemens Wind Power)、Gamesa(Gamesa Corporacion Tecnologica)、Enercon、Suzlon(Suzlon Energy)、Senvion(Senvion Wind Energy Solutions)、Nordex、Acciona(Acciona Windpower)、Goldwind(Xinjiang Goldwind Science & Technology)、United Power(Guodian United Power)、Ming Yang(Ming Yang Wind Power)、Envision(Envision Energy)、CSIC(CSIC Haizhuang Wind Power)、Sewind(Shanghai Electric Wind Power Equipment)、XEMC Windpower、Sinovel(Sinovel Wind Group Company)、Samsung(Samsung Heavy Industries)、Doosan(Doosan Heavy Industries Construction)、三菱重工業、日立製作所、日本製鋼所、東芝

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/12/27
       
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