マーケット情報


水環境、製造プロセス、エネルギー、ライフサイエンスなど
幅広い分野で需要増加が期待される
高機能分離膜/フィルターの市場を調査

−2020年市場予測(2015年比)−
水処理膜(世界) 2,633億円(27.0%増)
液体ろ過用カートリッジフィルター(国内市場+日系メーカーの海外売上) 701億円(12.7%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、世界的な水資源問題の解決、大気・水環境の汚染防止、また地球温暖化の防止対策手段として需要が増加するとともに、近年はエネルギー開発や資源回収、生産効率向上の手段としても注目される高機能分離膜・フィルターの市場を調査した。

その結果を報告書「高機能分離膜/フィルター関連技術・市場の全貌と将来予測 2016」にまとめた。この報告書では水環境6品目、大気・空質4品目、エネルギー2品目、ライフサイエンス2品目、輸送機器3品目、工業プロセス用4品目の市場の現状を調査し、将来を予想した。

◆注目市場

水処理膜(世界市場)



水処理膜はMF/UF膜、MBR、RO/NF膜を対象とする。日本市場と日系メーカーの海外売上は、世界市場の約45%(2015年)を占めている。今後の市場拡大要因としては、中国の環境規制の強化、新興国におけるインフラ開発や工業化の進展があげられる。一方、原油価格下落による中東地域の経済悪化、中国の設備投資の冷え込み、価格競争の激化などは拡大阻害要因として懸念される。

1.MF/UF膜

主に細菌やバクテリア、SS(浮遊物質)などの除去を目的に使用される。高い水質グレード要求から、凝集沈殿ろ過や砂ろ過などの従来技術から膜処理に置き換えるケースも増えている。またRO膜の寿命を延ばすため、RO膜の前処理用途でMF/UF膜を使うシーンも増えている。

国・地域別にみると、北米が市場の約3割弱を占めているが構成比は縮小しつつあり、中国や中東、北アフリカの構成比が拡大している。ただし、中国は景気停滞の影響、中東は原油価格の下落による海水淡水化プロジェクトの延期や中止により2015年、2016年の市場は低迷している。

近年はアジア(日本と中国を除く)や東欧、中東などの新興国の産業用水・排水処理向けが好調である。地下水や河川水を取水源とする工業用水向け、ボイラーやクーリングタワー向けのユーティリティ用水処理、純水製造用途など、工業化が進む地域で需要がみられる。インドは水不足地域であることに加えて、地下水や表流水の水質グレードが低いため、今後は高度処理がより求められるとみられる。また、工業化の進展に伴う新規需要が期待される東欧(ポーランド、チェコ、ハンガリーなど)やロシアでの浄水場や産業用排水処理向けも有望である。

今後は中国の環境規制強化や新興国でのインフラ開発・工業化の進展により、海水・かん水淡水化および処理、下水処理、浄水場、一般産業排水処理向けが増加するとみられる。

2.MBR

公共下水処理場向けが中心である。国・地域別では北米や欧州、中国の構成比が大きい。また、新興国で既設下水処理場の増設や新規設置などにより需要が拡大している。

北米は下水処理向けが中心で、特に水不足が深刻な米国の西海岸地域で需要が増加している。中国は環境規制による農業集落排水処理、また、工業団地の集合排水処理での需要増加も期待されている。中東の主要都市ではインフラ開発やビル開発が進む中、労働者住宅向けの生活排水処理や病院排水処理で導入が増えている。実績はまだ少ないが、インドや東南アジアでは下水処理、産業排水処理で共に需要増が期待される。日本は民需案件が中心で食品・飲料、化学、医薬品工場などで導入が進んでいる。

今後も新興国での需要増加などにより市場拡大が期待され、2020年の市場は2015年比31.5%増の597億円が予測される。ただし、低価格製品を展開する中国メーカーなどの参入により製品単価は毎年2〜3%ずつ下落しているため、数量ベースの伸びに比べて市場の伸びは低くなるとみられる。

3.RO/NF膜

農薬、ウイルス、タンパク質、無機イオンなどの除去を目的に使用される。2016年は海水淡水化案件の需要減少により市場は低調であるが、今後は新興国で需要増加も期待され2020年の市場は2015年比32.7%増の1,460億円が予測される。リプレース主体の市場であるため、各参入メーカーにとっては更新需要の確保が重要になる。

国・地域別では北米と中国が各々市場の20%以上を占めている。中国は水質が悪く膜の交換サイクルも短いためリプレース市場が大きいものの、近年は重工業を中心に設備投資が低迷しているため、RO/NF膜の市場も厳しい状況が続いている。また、海水淡水化の大型プロジェクト案件が集中している中東も期待されるが、原油価格下落の影響で新規プロジェクトの保留や延期がみられるため市場の伸びは鈍化している。近年はインドや東南アジアの伸びが大きい。電力インフラの整備のため新たな発電所の建設が増加しており、電力水処理用途で需要増加が期待される。また、地方都市で工業団地の開発が増えているため、入居する工場の用排水処理向けが急速に増加している。中南米では鉱山向け水処理や石油・ガス随伴水処理での需要があり、非常に高い市場ポテンシャルがあるため、今後の需要増加が期待される。

◆調査結果の概要

1.液体ろ過用カートリッジフィルター (国内市場+日系メーカーの海外売上)

2016年見込
2020年予測
2015年比
市場規模
624億円
701億円
112.7%
(医薬・バイオ)
115億円
152億円
138.2%

※医薬・バイオは市場規模の内数

エレクトロニクス分野(半導体、FPD、電子部品)、食品・飲料分野、医薬・バイオ分野、その他一般工業用分野(ケミカル、塗料、水処理、自動車部品、機械・金属)向けで使用されるフィルターを対象とした。

特に医薬・バイオ分野向けの伸びが期待される。国の予算政策の動向に左右されるが、高齢化社会を背景としたバイオ医薬品製造設備の増強に伴い、その培養・精製・製剤化に使用するシングルユースの需要増加が市場の伸びをけん引すると予想される。フィルターメーカーは、装置・設備メーカーとのM&Aやアライアンスを進め、トータルソリューション的な提案を可能とすることにより顧客の囲い込みを図っている。

また、エレクトロニクス分野向けは、今後大幅なスペック変更が期待されるスマートフォンやタブレットの市場投入により、半導体製造工程におけるフォトレジストや洗浄薬液で新たな需要が期待される。また、フィルター技術の微細化が進むため、単価上昇が期待される。

2.酸素・窒素富化膜 (国内市場+日系メーカーの海外売上)

2016年見込
2020年予測
2015年比
市場規模
9億円
10億円
111.1%

分離膜窒素ガス製造装置で使用される酸素・窒素富化膜モジュールを対象とする。主に酸化防止用途と防爆用途で、樹脂、石油・化学、電子・半導体、金属、食品など幅広い産業で使用されている。

国内市場は、近年は中小企業のモノづくりを支援する助成金を活用した窒素ガス製造装置の設備増強による、酸化防止用途の需要が市場を支えている。電子・半導体、鉄鋼、非鉄金属、化学品メーカーなどの生産拠点の海外移転に伴い需要先は減少しているが、景気回復に伴い工場稼働率が上昇しているため、2016年の市場は僅かながら拡大が見込まれる。

海外市場は、原油価格の下落を受けて石油や天然ガスの開発案件が延期や中止となっているため、近年は防爆用途の需要が伸び悩んでいる。しかし、新興国を中心に増加するエネルギー需要を計画的に満たす必要があるため、今後は石油や天然ガスの開発案件が活発化するとみられ、需要増加が期待される。また、日本企業の生産拠点の海外移転に伴い、それらを顧客として取り込むことで日系メーカーの海外売上の増加が期待される。

窒素分離は膜分離法でなくPSA法や深冷分離法が使用される場合があり、酸素・窒素富化膜の市場拡大のためには、膜の分離性や透過性の向上を訴求することで膜分離装置ユーザーの獲得を進める必要がある。

◆調査対象

水環境分野 水処理膜(MF/UF膜、MBR、RO/NF膜)、脱気膜、活性炭フィルター、液体ろ過用カートリッジフィルター、焼結金属フィルター、炭化水素系イオン交換膜
大気・空質分野 エアフィルター(粗塵、中・高性能、HEPA/ULPA)、ケミカルフィルター、キャビンエアフィルター、バグフィルター用ろ布
エネルギー分野 フッ素系イオン交換膜、アルコール脱水膜
ライフサイエンス分野 食品・医薬プロセス用膜、透析膜(ダイアライザー)
輸送機器分野 燃料(フューエル)フィルター、オイルフィルター、DPF(Diesel PartiCle Filter)
工業プロセス用分野 ガスフィルター、膜式エアドライヤー、サイクロンフィルター、酸素・窒素富化膜

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/01/25
       
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