マーケット情報


介護負担の軽減を目的とした製品の伸びが注目される
介護・福祉関連の用具・用品、機器・装置、システム・サービスの国内市場を調査

−2025年国内市場予測(2015年比)−
介護・福祉関連の用具・用品、装置・機器の合計 4,494億円(24.1%増)
介護保険対象品や介護用品・消耗品は大幅に拡大、介護用装置・機器は緩やかな伸びが続く
介護用ロボット 48億円(8.0倍) 政府による導入促進などにより介護分野を中心に大きく伸びる


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2018年の介護保険制度の改定に向けた議論が活発化するなか、"認知症高齢者への対応""要支援・要介護状態への移行阻止""介護人材の確保"などの課題解決のため、高齢者向け製品・サービスの拡充や介護負担の軽減を目指すロボット・ICT技術活用の進展により拡大が期待される介護・福祉関連の製品・システム・サービスの市場を調査した。その結果を報告書「Welfare 関連市場の現状と将来展望 2017」にまとめた。

この報告書では、介護保険対象品15品目、介護用品・消耗品 11品目、介護用装置・機器6品目、加えて介護・福祉関連システム・サービス13品目の国内市場の現状を分析し、将来を予想した。高齢者人口の増加に伴い、介護・福祉関連の製品・システム・サービス市場(Welfare 関連市場)は拡大が予想される。今後の介護保険制度改定などに対応するため保険適用外でも購入しやすい低価格製品のラインアップや、高齢者人口の80%以上を占める特別な介護を必要としないアクティブシニア層の需要を取り込むための製品・サービス投入も期待される。

◆調査結果の概要

1.介護・福祉関連の用具・用品、装置・機器の国内市場

市場は介護保険対象品、介護用品・消耗品、介護用装置・機器に分けて捉えた。

介護保険対象品は、介護保険を活用した利用に加えて、介護保険活用外(病院や介護・福祉施設事業者、また個人の自費購入など)の利用も対象とした。医療・介護用電動ベッド、手動・電動車いす、床ずれ防止マットなど介護保険を活用したレンタルが可能な製品の占める割合が大きい。

2016年の市場は軽度者(要支援1〜要介護2)を介護保険の対象外にすることが議論されたため、レンタル卸や販売卸が在庫所有に消極的だったことにより前年比横ばいと伸び悩んだ。2017年の市場は、2018年の介護保険制度の改正による軽度者への負担増の可能性が薄れたため、レンタル卸や販売卸が積極的な展開を進めており拡大が予想される。

将来的には軽度者への介護保険の適用範囲が狭まるとの見方が強く、市場への影響が懸念される。ただし、軽度者の使用が多い手すり、シルバーカー/歩行車・歩行器、歩行補助つえなどは、自立した生活や介護予防の観点からも必要性が高いため、介護保険適用外になっても自費や自治体サービスによる貸与・購入が予想される。今後は簡易的な低価格化製品などの需要も増加するとみられる。

介護用品・消耗品は、高齢者人口の増加を背景に市場が拡大している。大人用紙おむつの構成比が大きい。今後は高齢者向けシューズ、介護用口腔ウェットティシュ、介護用手袋などの伸びが期待される。高齢者向けシューズは履きやすさの改善はもちろん、認知度の拡大、また男性需要の獲得などで好調である。介護用口腔ウェットティシュをはじめ口腔ケア商品は、口腔に起因した疾患の予防や口腔機能の維持を目的に需要が増えている。

流通構造としては、消費者向けは消耗品が大半であるためドラッグストアルートが大きい。一方、病院や介護施設向けは医療系卸ルートが中心であるが、紙おむつなどは貸与・販売事業者ルートも強い。

介護用装置・機器は、緩やかな市場拡大が予想される。現状、特殊入浴装置や運動療法用リハビリ機器の構成比が大きい。今後は介護用ロボットなどの伸びが期待される。流通構造としては、病院や介護施設での需要が大きいため医療系卸ルートが中心である。ロボットは営業時に専門的な知識が必要なため専門販売代理店ルートが多い。

◆注目市場

1.介護用ロボット

2016年見込
2025年予測
2015年比
市場規模
8億円
48億円
8.0倍

医療分野で身体機能の低下した高齢者の歩行や移動の支援、リハビリ訓練のサポート、介護分野で介護従事者の腰や膝などにかかる負担を軽減する目的で開発された製品を対象とした。現在は国からの補助金を活用した導入が大部分を占めている。今後、費用対効果、作業負担軽減や高齢者自立支援の効果検証により、有用性が明らかになれば介護現場を中心に早期普及が期待される。

医療分野では、リハビリ訓練サポートの用途で導入が増えている。上位企業の製品が医療保険の適用を受けたことにより大幅な伸びが期待されるほか、参入企業の積極的な研究開発による市場の活性化も予想される。

介護分野では、介護時の負担軽減を目的とした製品が伸びるとみられる。また、被介護者の日常生活を支援する製品も徐々にアイテム数が拡充している。排泄や入浴の介助を支援する製品の開発も進んでおり、今後の伸びが期待される。

介護業界では人材不足が続いており、政府も介護用ロボットの導入を促進する方針を示しているため、まずは介護者の負担軽減を目的とした製品の普及が進むとみられる。現状は高価格なこともあり助成金への依存が大きいため、導入に対してのインセンティブが購入動機となっており、2018年の介護保険制度改定で導入施設への加算付加などが期待される。

2.介護用口腔ウェットティシュ

2016年見込
2025年予測
2015年比
市場規模
9億円
19億円
2.7倍

高齢者人口の増加と口腔ケアの重要性に対する認識の高まりにより、介護・福祉施設向け、在宅向けともに需要が増えている。特に口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防の啓発が進んでいることが市場拡大を後押ししている。ただし、 ウェットティシュを使用した口腔ケアはまだ一般的ではないため、小売店でのサンプル配布や使用法を記載した冊子の提供などにより認知度向上の取り組みが進められている。

現状、自分では口腔ケアが難しい要介護度4、5の被介護者向けの需要が中心であるが、今後は参入企業が要介護度の低い高齢者に自分自身での使用を推奨し、ユーザーの認知拡大を進めることが必要となる。また、家族による介護の際には、ウェットティシュの特徴である簡便性の訴求力は強いとみられ、認知度向上による在宅向けの需要増加が期待される。

3.見守りサービス

2016年見込
2025年予測
2015年比
市場規模
98億円
139億円
146.3%

緊急通報型、センサー型在宅安否確認型、インフラ監視型、対話確認型を対象とした。家庭環境や高齢者の安全に対する認識の高まりから年々需要が増えている。

特に市場が大きいのは緊急通報型である。利用者が緊急通報ボタン、または持ち運びが可能なペンダントボタンを押すと事業者側が駆けつけるサービスで、ホームセキュリティ事業者などが参入している。助けが必要な時のみの使用ができるため、普段の生活を監視されたくない高齢者や家族がいない独居高齢者、持病を抱え突然の発作などの不安がある高齢者の需要が大きい。自治体が住民サービスとして導入するケースも多く、毎年一定の予算がつくため需要は安定している。

センサー型在宅安否確認型は、突然の体調変化や認知症による徘徊などが懸念される後期高齢者向けで増えている。監視されていると意識させない点が大きな利点であり、今後の伸びが期待される。

インフラ監視サービスは、高齢者宅に設置した電力やガスなど、生活インフラの使用状況から高齢者の安否を確認するサービスで、見守りに加えて電気料金やガス料金などの見直しが可能な点が利点である。

対話確認型は、電話や訪問により高齢者の体調などを確認するサービスであり、日本郵便の本格参入により今後の伸びが期待される。

◆調査対象

介護保険対象品 医療・介護用電動ベッド、手動車いす、電動車いす、床ずれ防止マット、手すり、シルバーカー/歩行車・歩行器、認知症老人徘徊感知機器、体位変換器、歩行補助つえ、スロープ、自動排泄処理装置、移動用リフト、入浴補助用具、腰掛け便座、簡易浴槽
介護用品・消耗品 大人用紙おむつ、尿漏れ対応パンツ、高齢者用肌着、高齢者向けシューズ、防水シーツ、介護用ウェットティシュ、介護用口腔ウェットティシュ、介護用口腔スポンジブラシ、口腔保湿剤、清拭剤、介護用手袋
介護用装置・機器 特殊入浴装置、運動療法用リハビリ機器、リハビリ向け評価測定機器、在宅用無線呼出し装置、介護用ロボット、コミュニケーションロボット
システム・サービス 高齢者向け食事宅配、高齢者向け家事代行、緊急通報、センサー型在宅安否確認、インフラ監視、対話確認、介護・福祉施設向け業務支援、介護・福祉施設向け給食、病院・介護・福祉施設向けリネンサプライ、介護・福祉施設向け警備、介護予防・リハビリ、介護・福祉施設向け調剤薬局、介護医療連携支援

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/03/23
       
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