マーケット情報


細菌・遺伝子・病理検査、POC検査の国内市場を調査

−臨床検査市場調査シリーズ−
細菌・病理検査、POC検査は微増、遺伝子検査はほぼ横ばい


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、臨床検査市場を構成する検査分野うち、病気の原因となる細菌を検出する細菌検査、ウイルスや細菌などのDNAなどを検出する遺伝子検査、採取した臓器や組織、細胞などを顕微鏡下で診断する病理検査の国内市場を調査した。加えて検査分野に関わらず臨床検査市場の中から、検査室以外の患者身辺でも行うことができるPOC(Point of Care)検査の市場についても調査した。その結果を報告書「2017 臨床検査市場 No.3 細菌・遺伝子・POC・病理検査」にまとめた。

この報告書では、細菌検査と遺伝子検査、病理検査、POC検査の検査数、検査薬等と関連する検査装置の市場を分析し、将来を予測した。

◆調査結果の概要

細菌・遺伝子・病理検査(検査薬・培地等)の国内市場



細菌検査市場は、培地による微生物培養検査、装置による同定・感受性検査、血液培養検査に大別され、装置による検査の伸びが堅調であることから拡大している。そのほか微生物培養検査ではコストパフォーマンスの高さから分画培地が依然として伸びている。装置による血液培養検査は、検査精度の向上のため血液を2カ所から採血し、好気・嫌気性菌の2セット培養が浸透してきていることもあり、順調に伸びている。

微生物培養検査では培地価格の低下が続いているが、保険点数が上がる検査項目もあるほか、培地価格は下げ止まりの兆しがみられる。また、分画培地も続伸が期待されることから、細菌検査市場は微増が予想される。

遺伝子検査市場は肝炎、結核、STD(性感染症)など、主に感染症関連の検査項目で構成される。市場規模が最も大きいのは結核菌であるが、2015年、2016年は大きく伸びたC型肝炎ウイルスの検査項目であるHCV定量がその規模を上回った。C型肝炎に非常に高い治療効果が期待できる新薬が登場し、これまでの治療薬では効果が見られなかった患者を中心に治療が集中したことで、検査需要も大きく拡大した。ただ、需要拡大はこの2年間のみであり、以降は以前と同程度の市場規模に戻り、2017年には検査需要が安定している結核菌が再び最大規模になるとみられる。ほかにはクラミジア+淋菌(クラミジア、淋菌の同時測定)が定着してきており、ヒトパピローマウイルス(子宮頸がんの原因ウイルスになると考えられているウイルス)の検査項目であるHPVも堅調な伸びを示している。

今後も市場規模の大きい結核菌やSTD関連の検査需要拡大が続き、遺伝子検査市場は微増が予想される。結核患者は微減が予想されるが、検査需要は依然として安定的にあるとみられる。STD関連はクラミジア、淋菌のほか、HPVも検診の普及に伴い検査需要が拡大すると考えられる。このほか、POCタイプの装置の開発が進められているが、登場すると遺伝子検査市場の拡大に繋がる可能性がある。

病理検査市場は、がん患者の増加や低侵襲な検体採取方法の普及、自動化ニーズを背景としたセミオート、フルオート装置の普及、また、がんの分子標的治療における薬剤投与検討のための検査の普及により、年率5〜10%程度の拡大をしてきた。

今後、検査数の伸びは自動化の一巡にともない鈍化するが、新たな分子標的治療薬の登場は病理検査市場の拡大に寄与するとみられる。著効が期待される新たな分子標的治療薬は高薬価であるほど無駄な投与を回避する必要があり、薬剤選択の可否を判定する検査が重要になってくるため、コンパニオンダイアグノスティックスやそれに近い検査と対になって登場する可能性が高い。薬剤によっては対象患者が少ないが、検査単価が高いため病理検査市場を押し上げるとみられる。

◆POC検査(検査薬・キット)の国内市場



POC検査市場は尿試験紙(尿検査薬)から、便潜血、ホルモン、感染症、糖尿病、心筋梗塞、生化学関連など、幅広い検査分野・検査領域の簡便・迅速な検査薬・キットを対象としている。

2016年のPOC検査市場の約4割を血糖自己測定装置用検査薬が占めている。これまで血糖自己測定装置用検査薬はPOC検査市場の拡大をけん引するほどの伸びを示していたが、近年、非インスリン依存型治療薬の台頭により横ばいに転じている。血糖自己測定装置用検査薬に次ぐ規模となったインフルエンザウイルス抗原迅速検査キット市場は、以前はインフルエンザの流行度合いによって毎年増減を繰り返していたが、2009年頃にほぼ全ての診療所に普及したことから、安定市場に変わってきている。そのほか糖尿病や心筋梗塞、生化学関連など、ほとんどの検査項目は普及が一巡していることから、市場は年率2%弱の増加で推移している。2014年に、調剤薬局に訪れた人が自身で指先から少量の血液を採取し、検査を受けることができる検体測定室の設置が厚生労働省により承認されたことから、糖尿病関連の検査項目であるHbA1cが測定できる簡易検査装置の市場が一時的に急拡大したが、装置の稼働率が低く検査薬市場の拡大は伴っていない。

著効が期待される薬剤が新たに登場すれば、その投与検討のための検査需要拡大が期待されるが、検査と対になっているのは現在インフルエンザ治療薬のみであり、当面、こうした薬剤の登場はないとみられる。また、病院を主な需要先とする検査項目では、検査室で実施される検査の迅速報告と競合する可能性がある。検体測定室における検査も、様々な認知活動を通じて徐々に普及していくとみられ、短期的にPOC検査市場を拡大させる要因にはならないと考えられる。POC検査は装置を使用した検査薬・キットが増える傾向にあり、コストメリットを含め診療所の医師の評価を得ることが出来れば装置の導入が進み、検査需要拡大の可能性も考えられるが、当面市場はほぼ横ばいと予想される。

◆調査対象

1.細菌・遺伝子・病理検査

細菌検査 【検査薬・培地等】生培地、粉末培地、ガスパック、血液培養ボトル、同定・感受性キット・ディスク、血液・抗酸菌培養オート、同定・感受性オート
【検査装置】血液・抗酸菌培養装置、感受性装置、同定+感受性装置、同定装置
遺伝子検査 【検査薬・培地等】遺伝子検査薬
【検査装置】遺伝子検査装置(前処理・検出・オート)
病理検査 【検査薬・培地等】免疫染色用抗体(免疫組織染色、遺伝子法)
【検査装置】免疫染色装置(フル・セミオート)、術中リンパ節遺伝子検査装置

2.POC検査

検査薬・検査キット 尿検査薬、便潜血検査薬、簡易分析装置専用検査薬、HCG簡易検査キット、LH簡易検査キット、HBs抗原・抗体簡易検査キット、HCV抗体簡易検査キット、マイコプラズマ抗原検査キット、PCT簡易検査キット、ロタウイルス抗原検査キット、A群β連鎖球菌ダイレクト検査キット、アデノウイルス抗原検査キット、RSV抗原検査キット、インフルエンザウイルス抗原迅速検査キット、ノロウイルス抗原検査キット、尿中アルブミン定性検査キット、糖尿病専用測定装置用検査薬、心筋マーカー迅速検査薬、アレルギー簡易検査キット、CRP専用測定装置用検査薬、OTC検査キット、血糖自己測定装置用検査薬
検査装置 尿検査装置、便潜血検査装置、簡易分析装置、糖尿病専用測定装置、心筋マーカー迅速検査用装置、CRP専用測定装置、血糖自己測定装置・穿刺針

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/06/09
       
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