マーケット情報


バイオ医薬品市場の拡大、細胞を用いた毒性試験の増加などで拡大する
医薬品開発・製造関連機器・消耗品市場を調査

−2030年予測市場 2,082億円(2016年比16.1%増) −


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医薬品の開発や製造に関連する機器や消耗品の市場を調査した。その結果を報告書「細胞創薬・ドラッグディスカバリー関連市場の最新動向と将来展望 2017」にまとめた。

この報告書では、細胞/培養工程10品目、分離・精製/設備・施設10品目、規格試験/分析装置4品目、管理/支援システム4品目、解析/創薬関連装置6品目、ドラッグデリバリーシステム関連素材6品目、計40品目の市場の現状を調査・分析し、将来を予測した。

◆調査の背景

創薬分野ではバイオ医薬品のR&Dが活発に行われており、その中でも間葉系幹細胞(MSC)やiPS細胞を用いた細胞性医薬品へ開発の機軸を移す製薬企業があらわれている。また、米国や欧州を中心に医薬品の毒性試験で動物実験が廃止される中、国内でも動物ではなく細胞を用いた毒性試験が徐々に増加している。再生医療分野に参入している企業の中には、現状の市場規模が大きい創薬分野へとターゲットを移すケースもみられており、医薬品開発・製造関連機器・消耗品市場の注目度が高まっている。

◆調査結果の概要

医薬品開発・製造関連機器・消耗品市場



2016年は1,794億円となった。2014年に日本が医薬品の国際的な枠組みであるPIC/S(医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム)に加盟して以降、医薬品製造に関連するシステムのPIC/S準拠特需が続いており、特に管理/支援システムが伸び市場をけん引した。

2017年は1,850億円が見込まれる。管理/支援システムの特需継続に加え、超大型のバイオ医薬プラントの着工などにより分離・精製/設備・施設が伸び市場をけん引するとみられる。

PIC/S準拠特需は数年内に終息するものの、今後は製造設備のIoT化加速により管理/支援システムが拡大を続け、分離・精製/設備・施設は超大型バイオ医薬プラントの特需が落ち着き2020年には谷間を迎えるものの、バイオ医薬品の生産量や設備投資の拡大により2030年に向けて再び上向くとみられる。

このほかのカテゴリーについても、細胞/培養工程を中心に、バイオ医薬品の拡大に加え、製造工程におけるシングルユース化の加速、毒性試験での細胞利用の普及、パンデミック対策としてのワクチン等の国内生産品の増加などにより拡大し、2030年の医薬品開発・製造関連機器・消耗品市場は2,082億円が予測される。

なお、ドラッグデリバリーシステム※関連素材については、各素材とも基礎研究の段階であるため市場規模は限られるが、今後これらの素材が活用された薬剤の開発により大きく伸びると期待される。

※ドラッグデリバリーシステム:体内での薬物分布を制御し、効果を最大限に高め、副作用抑制を目的とする技術

◆注目市場

1.粉末培地

2017年見込
2030年予測
2016年比
市場規模
53億円
60億円
115.4%

粉末タイプの細胞培養用培地を対象とする。大量培養に向いており、主にバイオ医薬品の製造で使用される。なお、粉末培地は顧客の細胞に合わせてカスタムするのが一般的である。バイオ医薬品の開発が活発に行われていることや、バイオ医薬品の需要増加にともない市場は拡大を続けている。また、ワクチンの製造では従来鶏卵を使用した方法が多かったが、細胞培養を用いた製造が増加しており、同用途が今後の市場拡大のけん引役になることが期待される。

2.貯蔵バッグ

2017年見込
2030年予測
2016年比
市場規模
19億円
30億円
157.9%

バイオ医薬品の開発・製造時に培地の保管などで使用するシングルユース製品を対象としており、容量は数ミリリットルから数千リットルまで多岐にわたる。バイオ医薬品の製造工程ではシングルユース化が進んでいる。貯蔵バッグをシングルユース化することで配管系統の洗浄・滅菌工程が不要となり、製造工程の効率化やコスト削減につながるとみられる。バイオ医薬品の需要増加に加え、シングルユース化の加速により貯蔵バッグ市場は拡大が予想される。

3.品質管理システム

2017年見込
2030年予測
2016年比
市場規模
15億円
23億円
164.3%

医薬品の製造・研究開発で活用されるラボ情報管理システム(LIMS:Laboratory Information Management System)を対象とする。研究所や工場などでの業務情報を統合管理すると共に監査証跡を残すシステムで、製薬工場では実験・製造におけるCSV(コンピュータ化システムバリデーション)対応などを目的に導入される。日本が2014年に加盟したPIC/Sでは電子記録に対する監査証跡が求められることや、PIC/S加盟によりGMPのバリデーション基準の改正が行われ、品質管理システムの導入が大きく進んだ。2014年から市場は急拡大しており、2017年までは二桁増が見込まれる。今後は更新需要が中心となるが、機能拡充や製造管理システムなどほかのシステムとの連携による多機能化が進み、市場は拡大が予想される。

4.創薬支援システム

2017年見込
2030年予測
2016年比
市場規模
135億円
190億円
145.0%

コンピュータを用いた薬品候補化合物の設計・シミュレーションを行うインシリコ創薬システムを対象とする。製薬業界では研究開発費が増大しているため、医薬品開発の効率化とコスト削減を目的として、大手製薬会社を中心に導入されている。大手の導入は概ね一巡したが更新時の機能強化や、中小規模の製薬会社やバイオベンチャー企業の導入が今後の拡大要因として挙げられる。創薬支援システムは低分子医薬品の開発を中心に採用されているが、近年では分子標的薬や核酸医薬品といったバイオ医薬品でも活用が進んでいる。また、AI技術の導入も考えられ、AIによるスクリーニングが行われることで、化合物の絞込みのさらなる短縮化も期待される。

◆調査対象

細胞/培養工程市場 iPS細胞、スピナーフラスコ、振盪培養機、恒温器/低温恒温器、ファーメンター、培養バッグ、代謝測定装置、粉末培地、培地添加用栄養因子、細胞分離用酵素
分離・精製/設備・施設市場 大型遠心分離機、医薬プロセス膜、バイオプロセス用クロマトグラフ、プロテインAアフィニティ担体、貯蔵バッグ、エアシャワー/パスボックス、滅菌システム、エアフィルター、パーティクルカウンター、バイオ医薬プラント
規格試験/分析装置市場 液体クロマトグラフ/液体クロマトグラフ質量分析装置、ODSカラム、安定性試験器、核磁気共鳴装置
管理/支援システム市場 統合管理システム、製造管理システム、品質管理システム、創薬支援システム
解析/創薬関連装置市場 DNAチップ/解析装置、自動核酸抽出装置、リアルタイム/デジタルPCR装置、ハイスループットスクリーニング装置、次世代シーケンサー、蛍光顕微鏡
ドラッグデリバリーシステム関連素材市場 リポソーム、高分子ミセル、トランスフェリン、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、PLGA

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/07/27
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。