マーケット情報


復興関連や東京五輪のインフラ整備などによる需要動向が注目される
土木資材の国内市場を調査

−国内市場2020年度予測(2016年度比)−
土木資材(道路関連、橋梁関連、トンネル関連) 1兆813億円(2.3%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、国が主導する国土強靭化の推進を背景に、震災の復興需要や2020年東京五輪に向けた新規インフラの整備、既存インフラの老朽化対策として、長寿命化計画に基づく高機能化、景観保持や災害対策などの新たなニーズにより注目される土木資材の国内市場について調査した。その結果を報告書「2017年 土木資材マーケティング便覧」にまとめた。

この報告書では、道路関連資材11品目、橋梁関連資材6品目、トンネル関連資材2品目、補修・補強材9品目、その他土木関連資材4品目について、現状の市場を調査し、将来を予測した。

◆調査結果の概要

1.土木資材(道路関連11品目、橋梁関連6品目、トンネル関連2品目)の国内市場


土木資材の市場は1兆円規模で推移するとみられる。各分野とも新設需要は減少しているものの、更新および補修・維持需要が市場をけん引している。防災・減災意識の高まりや、2020年の東京五輪に向けた街づくりや都市開発プロジェクトの活性化に伴う需要も堅調である。

分野別では道路関連の占める割合が大きい。高速道路の大規模な更新需要を背景に2020年度まで堅調な伸びが予想される。橋梁関連の占める割合も大きいが、2020年度は大規模な新設需要が減少するため5,000億円を下回るとみられる。トンネル関連は小規模ではあるが、新幹線関連の需要が旺盛で2020年度には300億円超えが期待される。

1)道路関連資材

新設道路の減少に伴い、大規模修繕による更新および補修・維持需要が中心であり、市場は微増が続くと予想される。インフラの老朽化に伴う大規模修繕は今後も継続して行われるため、道路舗装を中心に補修・維持に関連した資材の需要が増加するとみられる。

注目は無電柱化への対応である。防災や景観保持の観点から東京や大阪、兵庫などの大都市を中心に進んでいるが、今後は全国への広がりが期待される。それに伴い、無電柱化に関連する資材、また電柱埋設工事で使用するアスファルト合材などの道路舗装材の需要増加が予想される。

また、単価の高いガードパイプが増加する鋼製防護柵、住宅1軒あたりの数量が増えているプラスチック製マス・マンホールも伸びるとみられる。

2)橋梁関連資材

国道や高速道路、新幹線の整備が進んだことに伴う新設橋梁の減少により、橋梁関連資材の市場もピーク時と比べて大幅に縮小している。参入企業は、新設需要の落ち込みを更新および補修・維持需要でカバーする方向にあり、それらに対応した組織体制へのシフトなど取り組みを進めている。

NEXCO(高速道路会社)3社が管理する高速道路は経過年数の増加とともに老朽化が進んでおり、その対応として道路橋梁を含めた大規模な更新や補修・維持が計画されている。NEXCOの案件ではスペック基準が厳しく高価格帯の資材が採用されるため、1件あたりの受注単価は上昇するとみられる。現在、国土交通省および自治体による橋梁点検も進んでおり、その結果を踏まえて補修・補強工事の増加が予想される。長期的には、北陸新幹線、九州新幹線、北海道新幹線の開業による鉄道橋梁の整備需要が期待される。

新設需要の落ち込みを、更新および補修・維持需要によりカバーして、市場は5,000億円前後を維持すると予想される。

3)トンネル関連資材

国土強靭化の推進などにより、2014年度以降トンネル関連の整備案件が増加しており、関連資材の需要が伸びている。今後、2020年代前半までは北海道新幹線や九州新幹線、首都圏・中京圏の大深度トンネルが順次発注される中央新幹線(リニア)などの鉄道トンネルの整備需要により、関連資材も堅調な伸びが予想される。道路トンネルでは、三陸沿岸の国道や、新東名高速道路、東京外かく環状道路(外環道)、新名神高速道路などの需要が期待される。

品目別では、大深度トンネルの増加によりシールドセグメントの市場は2020年度に2016年度比65.0%増の297億円が予測される。トンネル用防水シートは堅調に推移し40億円が予測される。

一方、コスト面や掘削速度にメリットある新工法(SENS工法)の採用により、現在の主流であるシールド工法・NATM工法で使用されるトンネル関連資材への影響が予想される。

2.補修・補強材9品目の国内市場

2016年度
2020年度予測
2016年度比
市場規模
329億円
323億円
98.2%

国土強靭化基本法の施行により、老朽化した建造物の耐震補強による補修・維持が順次実行されている。市場では、発注・施工側の技術者不足、予算の制約、首都高速・NEXCO各社の緊急性を要する大規模工事の一巡、また、床版取替えをはじめとした補修・補強材を用いない工法の採用などのマイナス要因により、主にセメント系材料の需要が減少し、微減が続くとみられる。

2020年東京五輪後は、高速道路や国道の補修・補強工事は減少するが、県道や市町村道の点検・診断により耐震補強や修繕が必要となる土木インフラが顕在化するとみられる。 また、港湾エリアに対応した耐候性を持つセメント系材料の採用増や、樹脂系材料の開発が期待される。

3.土木インフラの国内市場

2016年度
2020年度予測
2016年度比
道 路
4兆6,900億円
4兆5,776億円
97.6%
橋 梁
1兆0,987億円
1兆1,421億円
104.0%
トンネル
1,807億円
2,150億円
119.0%
合 計
5兆9,694億円
5兆9,347億円
99.4%

全体的に新設需要は減少しているものの、 既存インフラの更新および補修・維持需要が旺盛で2017年度は6兆円を突破する見込みである。特に高速道路の大規模更新が増えており、道路向けの伸びが市場拡大をけん引するとみられる。

今後、ウェイトの高い道路は、1件あたりの受注額は上昇するが、工事件数は減少することから2018年度をピークにマイナスに転じ、2020年度には4兆5,776億円が予測される。橋梁は新設需要の減少を補修・補強需要がカバーするが、2020年度はマイナスに転じる。2020年度以降は特に長寿命化のための補修・補強需要が中心となる。トンネルはリニアを含む新幹線の整備による新設需要が大きく、継続的な伸びが予想される。

◆注目市場

1.地中埋設電線用保護管の国内市場

2016年度
2020年度予測
2016年度比
市場規模
180億円
270億円
150.0%

電線管路のうち地中埋設配管として利用される硬質ポリエチレン管を対象とする。 電線や通信線などを地中に埋設し道路上から電柱をなくす無電柱化は、災害時の通行障害や電柱の倒壊による被害の拡大を防ぐ防災の観点や、景観維持の観点から国の主導で進められている。

近年は特に防災の観点から無電柱化のニーズが高まっている。無電柱化にかかるコストが高いことが普及の阻害要因となっていたが、2016年に従前より設置基準が緩和され、電線類を浅く埋設することができるようになったことも市場拡大に弾みをつけている。特に東京都は2020年の東京五輪に向けて幹線道路の無電柱化を進めている。

国内では道路幅が狭い場所、また、諸外国で採用されている直接埋設方式と比較すると国内の電線共同溝の整備は工事費用が高いなどの課題があるため、低コスト化手法の技術開発が進められている。2016年の設置基準緩和により、浅層埋設や小型ボックスを活用した埋設が可能となり、今後さらに無電柱化の低コスト手法が確立されれば、都市部や政令指定都市だけでなく全国的に無電柱化がすすみ、地中埋設電線用保護管の市場も大幅に拡大するとみられる。

一方、無電柱化の手法として、地中埋設だけではなく軒下配線や裏配線なども検討されているため、将来的にはこれらの手法との競合も予想される。

2.橋梁用床版防水の国内市場

2016年度
2020年度予測
2016年度比
市場規模
74億円
97億円
131.1%

通常の道路に比べ損傷、劣化が早期に発生しやすい道路橋において、 床版の耐久性向上を目的に雨水などの浸入を防ぐためアスファルトと床版の間に施工される防水材を対象とする。

2015年度、2016年度は高速道路の新設、首都高速道路の補修に伴い、橋梁用床版防水の需要は堅調だった。2017年度は高速道路の新設案件の減少や、首都高速道路の補修工事が落ち着くため、一時的に市場は縮小するとみられる。しかし、NEXCO3社は2015年から2030年までに約1,600億円の事業規模で床版の高性能防水対策を進める計画を打ち出しているため、2018年以降は同事業が本格化し、市場は拡大に転じるとみられる。高速道路向けの高単価の製品の需要増加により、2020年度の市場は大きく拡大し2016年度比31.1%増の97億円が予測される。

◆調査対象

道路関連 アスファルト合材(加熱式)、複合弾性ゴム舗装材 、防音壁 、アスファルト乳剤、鋼製防護柵、プラスチック製マス、マンホール、ポリマー改質アスファルト、ボックスビーム、地中埋設電線用保護管、カラー舗装材、転落防止柵
橋梁関連 PC橋、鋼製、ゴム支承、高欄(橋梁用防護柵)、鋼製橋、伸縮装置(道路ジョイント)、橋梁用床版防水
トンネル関連 シールドセグメント、トンネル用防水シート
補修・補強材 エポキシ樹脂系補修・補強材、ポリマーセメントモルタル系補修・補強材、アラミド繊維シート(補強・補修材向け)、アクリル樹脂系補修・補強材、無収縮材(補修・補強用途向け)、ビニロン繊維シート(補強・補修材向け)、ポリウレタン樹脂系補修・補強材、炭素繊維シート(補強・補修材向け)、ガラス繊維シート(補強・補修材向け)
その他土木関連資材 セメント(土木分野向け)、津波漂流物防護、津波避難タワー、セメント系固化材

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/08/10
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。