マーケット情報


水処理、水資源確保のためのEPC、O&Mサービスなど
水処理関連ビジネス市場を調査

−水処理関連ビジネスの国内市場は2020年に2016年比3.0%増の8,826億円−


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、水処理や水資源確保のため公共団体や民間企業などが導入する装置やシステムのEPC(Engineering, Procurement and Construction)、O&M(Operation and Maintenance)などのサービスを対象とした水処理関連ビジネスの国内市場を調査した。その結果を報告書「2017年版 水資源関連市場の現状と将来展望」にまとめた。

この報告書では、水処理関連ビジネス市場を需要分野ごとに分析するとともに、その市場を構成する主要な水処理製品・技術・サービスとして、水処理膜4品目、水処理薬品・副資材7品目、水処理装置・プラント9品目(いずれも国内市場と日系メーカーの海外売上。一部品目については世界市場も算出)、サービス4品目(国内市場)の市場についても調査・分析した。

◆調査結果の概要

水処理関連ビジネスの国内市場 (水処理EPC・サービス事業者売上ベース)

2016年
2020年予測
2016年比
官需
5,805億円
5,891億円
101.5%
民需
2,763億円
2,935億円
106.2%
(食品・飲料)
497億円
548億円
110.3%
合 計
8,568億円
8,826億円
103.0%

※食品・飲料は民需の内数、官需は浄水処理と下水処理、民需は製造業と電力を対象

2016年の市場は8,568億円となった。今後は官需では下水処理分野向け、民需では食品・飲料分野、化学分野向けなどを中心に拡大が予想される。

官需は民需の2倍以上の規模となっている。浄水処理分野と下水処理分野向けを対象としているが、下水処理分野向けは官需の64%を占め、水処理関連ビジネス市場全体で見ても44%を占める主要な需要分野となっている。官需は今後、予算削減が影響するが、民営化の推進によりサービスの比率が上昇していくとみられる。

民需では設備投資が頻繁に行われるエレクトロニクス分野向けが最も大きい。エレクトロニクス分野向けは海外への生産移転と日系企業の低迷により縮小していたが、近年は底を打ち、生産の国内回帰もみられ、EPCの縮小は続くものの、サービスを中心に微増が予想される。次いで化学分野、食品・飲料分野、電力分野、鉄・非鉄金属分野向けが大きい。化学分野向けは新規案件が少ないが、リプレースや増設が比較的多い。需要は生産プロセスや品質保持・貯蔵などのためのボイラ・冷却用水関連が大きい。また、排水処理も堅調である。食品・飲料分野向けは生物処理や薬品による排水処理が多く、工場の新設案件が増加している。また、紫外線やオゾン、微細気泡など水処理薬品の使用量を削減する取り組みも増加している。

◆注目市場

1.水処理膜 【膜】 (メーカー出荷ベース)

2016年
2020年予測
2016年比
世界市場
2,125億円
2,676億円
125.9%
(国内市場)
133億円
144億円
108.3%

※水処理膜はMF/UF膜、RO/NF膜、MBR用膜を対象

世界市場は新興国を中心とした水処理需要の増加によって拡大している。海外事業を積極展開している日系メーカーが大きなシェアを持つ。今後も世界市場は新興国を中心とした工業化や都市化の進展に合わせて拡大するとみられる。MF/UF膜は水道水の水質規制の強化や新興国を中心とする経済成長を背景に市場が拡大する。一方で中国市場を中心とした価格競争、また、今後は新興国の景気減退が懸念される。RO/NF膜は2016年に海水淡水化やエレクトロニクス分野での導入計画が遅延・凍結されたことから伸びが鈍化したが、今後はその計画も徐々に進み伸びは回復するとみられる。MBR用膜は特にアジア勢が好調で市場拡大をけん引している。

一方、国内市場は世界市場に比べ緩やかな伸びとなっている。MF/UF膜は官需では浄水処理分野向けが多く、民需では食品・飲料、化学、エレクトロニクス、鉄鋼、電力、輸送機械(主に自動車)など、様々な分野で使用される。国内は成熟市場であり年率2〜3%程度の伸びとなっている。RO/NF膜は塩分濃度の高い水を取水源とする造水施設や工場において、ボイラやクーリングタワーなどのユーティリティ用水処理、純度の高い水質が要求される生産プロセスの純水・超純水製造などで主に使用される。国内はリプレース需要が中心で需要分野ごとに増減はあるが、今後は横ばいが予想される。MBR用膜は主に官需では下水処理分野、民需では食品・飲料、製薬、化学などの分野の排水処理ニーズがあり、徐々に導入が進みつつある。

上記市場の対象外であるが、今後普及が期待されるのがFO膜である。現在、稼動しているFO膜の商用プラントは世界で10件に満たない。膜メーカーやシステムメーカーの多くが研究開発または実証段階にある。RO膜と異なり濃度差を駆動力とするため分離プロセスにおいてエネルギーコストがほとんどかからないという利点があるが、膜やDS(Draw solution)再生プロセスにおける技術的課題があり、商用化へのハードルは依然として高い。また、RO膜の代替としても期待されているが、RO膜の単価下落が進行しており、FO膜のコスト面での優位性をどこまで発揮できるかという点でも難しくなっている。

FO膜は、当面RO膜と棲み分けができる用途がターゲットになると考えられる。現在、商用プラントで導入が進んでいるのがZLD(Zero Liquid Discharge)システムであり、水不足地域を中心に施設外への廃水(廃液)放出規制が強化され始めていることから、有望用途の一つに挙げられる。また、中東ではサウジアラビアなどを中心に省エネ技術を促す政策が進められており、FO膜は次世代膜技術の一つとして高い関心が寄せられている。

2.水処理用イオン交換樹脂 【薬品・副資材】 (メーカー出荷ベース)

2016年
2020年予測
2016年比
世界市場
968億円
1,052億円
108.7%
(国内市場)
80億円
82億円
102.5%

2016年の世界市場は968億円となった。中国やインドなど、新興国の工業用・発電所向けが好調に伸びている。しかし、先進国で流通している製品よりも安価なものであるため、市場の伸びは数量ベースの伸びを下回る。2020年の市場は2016年比8.7%増の1,052億円が予測される。大手メーカーは水処理以外の用途開拓に注力しているが、需要増加が続く水処理用は堅調に拡大すると予想される。

国内市場は、世界市場の8%程度を占める。浄水用の需要もあるが日本の水質は軟水であるため少ない。水処理用は近年、製造業の海外生産移転や発電所の稼働率低下の影響を受けていたが、2016年は業種・分野による増減はあるものの、概ね横ばいが続いている。

3.海水淡水化装置・プラント 【装置・プラント】 (水処理EPC事業者売上ベース)

2016年
2020年予測
2016年比
世界市場
1,380億円
1,870億円
135.5%
(国内市場)
7億円
10億円
142.9%

世界市場は中東向けのウエイトが大きく、中東の設備投資が市場を左右する。2016年は前年から原油価格の下落が続き、中東で海水淡水化プロジェクトの遅延・凍結が相次いだため、市場は前年を下回った。2017年以降は、原油価格が底を打って上昇傾向にあるため、遅延・凍結していた大型案件が動き出すとみられる。また、中国、南米、北アフリカにおいてもニーズが高まっており、今後も市場拡大が続くと予想される。

国内市場は水資源が比較的豊富であるため海水淡水化需要が少なく、規模が小さい。工場・発電所用の標準装置や船舶用小型装置を中心とする一定の需要が安定している。

4.下水道管渠更生(ライニング) 【サービス】 (サービス事業者売上ベース)

2016年
2020年予測
2016年比
国内市場
404億円
467億円
115.6%

高度経済成長期に建設された下水道管渠の多くは標準耐用年数といわれている50年を経過している。年間3,000件程度発生している老朽化などに伴う道路陥没を減らすためにも、計画的な維持管理、更新・改築が必要とされている。

下水道管渠の更生事業は、より優先順位の高い公共工事に資金や人材が投入されており、後回しにされがちである。また、現状国は下水道普及率の向上に注力しているため、補助金が回りにくいことも管渠更生が進まない要因の一つとなっている。ただし、下水道管渠の老朽化や自然災害の被害軽減など、下水道の維持管理に対する要求は強まっており、市場は堅調に推移するとみられる。

◆調査対象

水処理関連ビジネス

EPC、サービス
官需
浄水処理、下水処理
民需
食品・飲料、化学、紙・パルプ

主要水処理製品・技術・サービス

MF膜(精密ろ過膜)/UF膜(限外ろ過膜)※1、RO膜(逆浸透膜)/NF膜(ナノろ過膜)※1、MBR(膜分離活性汚泥法)用膜※1、FO膜(正浸透膜)
薬品・副資材 ボイラ・冷却水用薬品、水殺菌・消毒用薬品、無機凝集剤、高分子凝集剤、活性炭、イオン交換樹脂※1、EDIスタック(電気再生式イオン交換装置)※1
装置・プラント 純水製造装置※1、超純水製造装置※1、軟水装置、オゾン発生装置(オゾナイザ)※1、紫外線水処理装置、超微細・微細気泡散気装置、脱水機、嫌気処理システム、海水淡水化装置・プラント※1
サービス 水道事業の民間委託、下水道施設の民間委託、純水・超純水供給サービス、下水道管渠更生(ライニング)

※膜、薬品・副資材、装置・プラントは国内市場と日系メーカーの海外売上(※1については世界市場も算出)、サービスは国内市場、一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/08/21
       
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