マーケット情報


在宅介護の推進により在宅向け商品の需要が増加
高齢者向け食品・宅配・施設給食の市場を調査

−2017年市場見込−
高齢者向け食品…在宅向けは在宅介護の推進により需要が増加 149億円
在宅用やわらか食…薬局・薬店や量販店など流通店舗における取扱の増加で拡大 37億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、在宅介護への移行を背景にサービスや流通チャネルの多様化が進む国内の高齢者向け食品市場を調査し、調査結果を報告書「高齢者向け食品市場の将来展望 2017」にまとめた。この報告書では高齢者向け食品8市場、宅配サービス5市場、高齢者向け施設8市場、高齢者向け施設給食2市場を調査したほか、高齢者施設向け業務用卸や流通チャネルの動向なども捉えた。

高齢者の増加により、高齢者福祉施設では慢性的な介護職員不足が続いており、医療費・介護費の圧縮などを目的に在宅介護が推進されている。一方で高齢者が高齢者を介護する老老介護や、独居高齢者の増加など、在宅、施設共に大きな課題を抱えている。その中で調理負担の軽減およびオペレーションの簡略化を目的とした高齢者向けの食品や弁当などの宅配サービスの採用が進んでおり、高齢者向けの市場は今後も拡大していくとみられる。

◆調査結果の概要

1.高齢者向け食品市場(メーカー出荷ベース)

高齢者向け食品市場は高齢者人口の増加に伴い、在宅向け、施設向け共に実績が拡大しており、2025年には2,000億円規模になると予測される。市場の大半を施設向けが占めているが、今後はさらに在宅介護への移行が推進される見通しであることから参入各社とも在宅向けの商品展開に注力するとみられる。

2017年見込
2025年予測
在宅用やわらか食
37億円
63億円
施設用やわらか食
133億円
208億円
栄養補給食
161億円
244億円

在宅用やわらか食は在宅介護への移行の流れを受けて需要が増加しており、薬局・薬店や量販店を中心に配荷が進んでいる。また、イオンがPBブランド「トップバリュ」での商品展開を強化しているほか、イーエヌ大塚製薬の「あいーと」など高単価・高付加価値商品の需要も増加しており、今後も市場は拡大していくとみられる。

施設用やわらか食は施設での慢性的な人員不足の解消のため、導入が進んでいる。特に調理の負担軽減が大きいユニバーサルデザインフード区分の"舌でつぶせる"商品を中心に実績が拡大している。2016年はキユーピー、2017年には吉野家が参入するなど市場は活性化しており、在宅介護へ移行の流れはあるものの、今後も施設では積極的な採用が進み、市場は拡大するとみられる。

栄養補給食はゼリー状のデザート商品を中心におやつとして介護食に導入されるケースが多く、栄養療法の一環としての採用が進んでいる。また在宅向け、施設向け共に既製品を使用することで摂取するべき栄養素が分かりやすくなることからも需要が増加している。

2.在宅向け宅配サービス市場(小売ベース)

2017年見込
2025年予測
病者・高齢者食宅配
864億円
880億円
食材宅配
483億円
488億円

病者・高齢者食宅配は糖尿病や腎臓病などの病気により糖質やたんぱく質の制限が必要な人や高齢者向けの完全調理済食の宅配および通販サービスを対象とする。弁当宅配を中心に、治療食やキザミなどの介護対応が必要な利用者の増加によって市場は拡大してきた。近年は、高齢者の増加や宅配エリアの拡大などで利用者が増加している。今後は人口の少ない地域への広がりも期待できることから、市場は堅調に拡大するとみられる。

食材宅配は自社流通による食材セットや単品食材の無店舗配達サービスを対象とする。食材宅配は高齢者よりも子育て世代や労働者世代のニーズが大きいが、同居家族の治療食や介護食の必要性が生じた場合に、健康管理と手作りを両立したい消費者のニーズを獲得している。しかし、近年はコスト面などで優位性のあるネットスーパーや完成食宅配など競合サービスが増えていることから伸びは鈍化しており、今後も市場は緩やかに拡大するとみられる。

3.高齢者向け食品の主なチャネル別市場(メーカー出荷ベース)

2017年見込
2025年予測
通 販
68億円
96億円
量販店
15億円
28億円
薬局・薬店
63億円
95億円
CVS
0.4億円
2億円

※高齢者向け食品のうち、在宅向けを対象とする。

高齢者向け食品は咀嚼・嚥下機能や栄養状態に応じた商品選択が求められる中で、取扱商品数が多く、自宅へ配送される利便性から大容量商品の購入やまとめ買いにも適している通販が主要チャネルである。近年は薬局・薬店に含まれるドラッグストアや量販店でも取扱いが増加している。

量販店では「イトーヨーカドー」が介護用品コーナー「あんしんサポートショップ」などで介護食を取り扱っているほか、「イオン」もPBブランド「トップバリュ」でやわらか食を展開するなど大手GMSを中心に注力度が高まっている。

CVSは売り場面積の狭さから商品回転率の低い高齢者向け食品の展開が遅れていたものの、近年は病院内店舗への出店や「ケアローソン」など高齢者向け食品の取り扱いを強化している店舗の出店が進んでおり、着実に実績を拡大させている。

◆調査対象

高齢者向け食品 流動食、在宅用やわらか食、施設用やわらか食、栄養補給食、水分補給食、とろみ調整食品・固形化補助剤、低たんぱく食、施設用冷凍骨なし魚
宅配サービス 病者・高齢者食宅配、冷凍弁当通販、食材宅配、牛乳販売店、施設向け完成食宅配
高齢者向け施設 病院・診療所、介護保険施設、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、グループホーム サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス・デイケア、小規模多機能型居住介護
高齢者向け施設給食 病院給食、高齢者福祉施設給食
流通チャネル 量販店、CVS、百貨店、薬局・薬店、通販、その他チャネル

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/09/05
       
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