マーケット情報


機能性素材の需要の高さを背景に、素材メーカー各社の技術開発が加速する
スポーツ・レジャー用品向け機能性素材市場・ITテクノロジー活用動向を調査

2020年 スポーツ・レジャー用品向け機能性素材市場 1,393億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2020年の東京五輪開催などにより更なる活性化が期待されるスポーツ産業において、パフォーマンスの最大化や苛酷な使用環境への対応などのニーズの高さから、素材メーカーが開発競争を繰り広げると共に、市場拡大が予想されるスポーツ・レジャー用品向けの機能性素材市場について調査した。その結果を報告書「スポーツ・レジャー関連先端素材/技術・ITデバイス市場の現状と将来性 2017」にまとめた。

この報告書では、快適繊維など繊維系素材12品目をはじめとする機能性素材25品目のスポーツ・レジャー用品向け市場(国内市場+日系メーカー海外実績)や開発動向、スポーツにおけるITテクノロジーの活用例、主要スポーツ・レジャーで使用される用品・用具やそれらにおける機能性素材のトレンドなどをまとめた。

◆注目市場

1.ストレッチ素材市場(繊維系素材)

スポーツ・レジャー分野においてスタンダードで、アパレル全体でもニーズの高いストレッチ素材は、繊維自体のストレッチ機能は高くないものの編み方構造によって伸縮性を持たせた素材と、繊維自体にストレッチ機能があるスパンデックスやPBT繊維を原糸に採用した素材に分かれる。

編み方構造によって伸縮性を持たせた素材はスポーツウェアをはじめ幅広く採用されており、動きに合わせてよく伸び、よく戻るソフトストレッチ機能の開発が各社で進んでいる。

繊維にストレッチ機能がある素材は、伸びと締め付け力が高く、水着やコンプレッションウェア、インナーなどで採用される。水着では、締め付け機能に加え耐塩素性も重視されており、塩素に弱いポリウレタン以外の素材の採用ニーズがあり、メーカーの開発提案などが進んでいる。

ストレッチ機能の向上に加え、ファッションとしてもスポーツウェアの需要が増加していることから、市場は拡大が予想される。

2.クーリング素材市場(繊維系素材)



スポーツ分野では、クーリング素材は暑さ対策が求められるゴルフウェアやランニングウェアなどで採用される。地球温暖化や熱中症対策への関心の高まりを背景に、通気性や接触冷感、気化熱による清涼感など暑さ対策を訴求したクーリング素材の需要が増加しており、スポーツアパレルメーカー、素材メーカーとも有望視する市場である。

一方、接触冷感の製品は着用直後冷たさを感じやすいが、時間の経過と共に体感性が薄れていくことや、気化熱で清涼感が得られる製品は拡散できる水分量にも限界があることから、効果の持続性が課題となっている。さらに機能性に優れた素材の開発により、大幅な市場拡大も期待される。

◆調査結果の概要

1.スポーツ・レジャー用品向け機能性素材市場



市場の中心となる繊維系素材は、素材メーカーのスポーツ用品向けへの注力度が高いことから拡大が予想され、今後も市場をけん引するとみられる。また、スポーツ分野で培った技術を作業着や介護、医療などその他の分野へ応用する流れが定着している他、ファッションとしてもスポーツウェアの需要が増加していることから、アスレジャー向けなどを積極的に展開する動きがでている。

その他の機能性素材には、樹脂・エラストマー系素材、金属系素材、フィルム・テープ系素材製品が含まれる。樹脂・エラストマー系素材、金属系素材は、産業資材向けが中心でスポーツ・レジャー向けは特定用途に限定されるが、底堅い需要がある。

コーティング剤は、海外のニーズに対応する形で環境配慮型製品の開発が進んでおり、非フッ素系撥水加工剤の品質向上により、市場は安定的に推移するとみられる。

スポーツ・レジャー用品は、パフォーマンスの最大化や過酷な使用環境への対応が必要となり、機能性素材へのニーズが高い。主に要求される機能性としては、

1) パフォーマンス向上・生体機能向上をかなえるシューズや関連用品の軽量化や密着性・伸縮性能の向上
2) 快適性を保つ、汗・暑さ対策機能(吸汗速乾、透湿防水、クーリングなど)やストレッチ機能の向上
3) カラーバリエーションや風合いなどの意匠性(トップアスリート向け・一般ユーザー問わず)
4) 筋肉のサポートや姿勢の維持、疲労軽減などを目的としたサポート機能
5) 衝撃の激しい競技や長時間の競技などからの身体的負荷軽減・事故防止・身体保護

などが挙げられる。

本格的な競技スポーツ用途では、1)パフォーマンス向上・生体機能向上や5)身体的負荷軽減・事故防止・身体保護など更なる高機能化の追求が行われ、また、タウンユースの増加でA快適性や3)意匠性のニーズが拡大している。

スポーツ・レジャー用品を使用するアスリートやユーザーのニーズを満たす製品や素材の開発をメーカー各社が進めており、スポーツ・レジャー用品向け機能性素材市場は今後も拡大を続け、2020年には1,393億円が予測される。

2.スポーツ×ITテクノロジー

着用するだけで心拍数などの生体情報が把握できるスマート衣料の開発や、GPSデバイスを着用して収集したデータを分析することで選手のトレーニングや体調管理、戦略策定などに活用する動きが活発化している。繊維メーカーやIT事業者の参入も増加しており、スポーツとITテクノロジーの融合は、今後更に加速していくとみられる。

3.競技別、参加者・スポーツウェア動向

競技
参加者動向
製品動向
野球 競技人口は多いが、若年層の減少が顕著 綿主体から速乾性やストレッチ性に優れたポリエステルやポリウレタン素材へ
バスケットボール 若年層、特に女性参加増加 汗の臭い抑制のため、徹底した抗菌防臭機能を施す
サッカー、フットサル 低年齢層、若年層に人気 吸水、速乾、抗菌、防臭機能に優れた素材
ラグビー W杯に向け競技者増加に期待 吸水、速乾に加え、伸縮性に優れたジャージ素材
卓球 低年齢層の参加が増加 制電機能やUVカット機能を採用
ゴルフ 需要はシニア層に依存気味 機能性の高いウェアに加え、綿を主体としたカジュアルラインも豊富
レディス向けを中心にファッション性が高い
登山、キャンプ、ハイキング 参加人口減少も、スポーツクライミングの競技人口は増加 気象条件の変化に応じた着脱可能な形状
ウォーキング、ジョギング、マラソン、陸上 ブーム一服も、最も参加人口が多いスポーツ カジュアルウェアから、機能性ウェア着用に移行中、UVカットの機能は不可欠
ヨガ、フィットネス 需要は女性に依存気味も、参加者は増加 カジュアルウェアから本格的なヨガウェアの着用に移行中

◆調査対象

スポーツ・レジャー用品向け機能性素材市場 繊維系素材 透湿防水素材、吸汗速乾素材、撥水素材、クーリング素材、ストレッチ素材、抗菌・防臭・消臭素材、UVカット素材、吸湿発熱/蓄熱保温素材、LCP繊維、超高分子量PE繊維、PAN系炭素繊維、ガラス繊維
樹脂・エラストマー系素材 エチレン系アイオノマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド系エラストマー、シリコーンゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート
金属系素材 チタン合金、アルミニウム合金
フィルム・テープ系素材製品 マーキングシート、スポーツテーピング
コーティング剤 撥水加工剤、抗菌・防臭・消臭加工剤、吸水加工剤
スポーツ × ITテクノロジー編 スマート衣料、ロケーションテクノロジー(位置情報技術)、VRテクノロジー 、AIテクノロジー
競技・レジャー分野別市場動向編 野球、バスケットボール、サッカー、フットサル、ラグビー、テニス、卓球、バドミントン、ゴルフ、水泳、釣り、スキー、スノーボード、登山、キャンプ、ハイキング、ウォーキング、ジョギング、マラソン、陸上、自転車 ・ヨガ、フィットネス

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/09/27
       
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