マーケット情報


医療用医薬品 国内市場調査(6)
消化器科疾患治療剤、腎疾患治療剤、泌尿器科領域などを調査

−2025年市場予測−
消化器科疾患治療剤 6,336億円、腎疾患治療剤 2,553億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2016年5月から、医師の診断に基づいて処方される医療用医薬品について、国内市場の動向を調査している。このたび第6回(全7回)として、消化器科疾患治療剤12分類、腎疾患治療剤6分類、泌尿器科領域4分類の市場を調査した。
その結果を「2017 医療用医薬品データブック No.6」にまとめた。※市場はメーカ出荷ベース

◆調査結果の概要

消化器科疾患治療剤、腎疾患治療剤、泌尿器科領域の国内市場

1.消化器科疾患治療剤

消化性潰瘍等治療剤は2011年頃まで市場の40%以上を占める最大規模の治療剤であったが、ジェネリック医薬品の発売により大きく規模が縮小している。一方、胃食道逆流症等治療剤は患者増などを背景に伸びており、2016年には消化性潰瘍等治療剤を逆転し、同市場最大規模の治療剤となっている。ウイルス性肝炎治療剤は2015年に「ハーボニー」「ソバルディ」(ともにギリアド・サイエンシズ)といった画期的なC型肝炎治療剤が発売されたことから大幅に伸びた。これにより市場は大きく拡大した。2016年は4月に「ハーボニー」「ソバルディ」の薬価が大幅に引き下げられたことや、待機患者の治療が一巡したことでウイルス性肝炎治療剤の伸びは鈍化し、2017年はマイナスに転じるとみられる。これに伴い2017年の市場は大幅な縮小が見込まれる。 

今後は規模が大きい胃食道逆流症等治療剤が中心となり、2019年以降市場は堅調に拡大し、2025年には6,336億円が予測される。治療剤別にみると、炎症性腸疾患治療剤は、既存の5-ASA製剤や経口ステロイド剤とは異なる作用機序の薬剤の登場や、生物学的製剤が続々と適応拡大していることから、今後大きく伸びるとみられる。その他腸疾患治療剤は、高齢者に多い慢性便秘症を中心に市場拡大が続くと予想される。一方、消化性潰瘍等治療剤はジェネリック医薬品や薬価引下げの影響とともに患者数の減少もあり、さらに規模が縮小するとみられる。 

2.腎疾患治療剤

腎疾患治療剤の市場は、高齢化に伴う慢性腎臓病(CKD)や慢性腎不全、透析患者数の増加によって拡大を続けてきたが、2016年はジェネリック医薬品や薬価引き下げの影響を受けて縮小し、2017年も微減が見込まれる。

2022年までは、ジェネリック医薬品や薬価引き下げの影響を受けることで市場は微減が続くとみられる。しかし、次世代の腎性貧血治療剤である活性化剤や高カリウム血症治療剤ZS-9(アストラゼネカ)など参入各社の注力する開発品が発売されることで、30%以上のシェアを占める腎性貧血治療剤がけん引して2023年以降には微増推移へ転じるとみられる。

治療剤別にみると、腎性貧血治療剤の規模が最も大きい。既存薬の実績が減少するため2019年頃から縮小するものの、次世代の腎性貧血治療剤であるHFT活性化剤の発売により、2022年以降拡大に転ずるとみられる。また、透析用剤は患者数の増加を背景に伸びているが、2023年頃から患者数の減少により縮小するとみられる。

3.泌尿器科領域

高齢化により泌尿器関連の患者数は増加しており、それに伴い処方量が増加しているものの、ジェネリック医薬品や薬価引き下げの影響などにより2016年の市場は前年を下回った。今後も過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤の一部は伸びが期待されるものの、市場は縮小が続くとみられる。

治療剤別にみると、高齢化と関係性の高い過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤は、β3アドレナリン受容体作動薬が推奨グレードAとなっており、「ベタニス」(アステラス製薬)と申請準備中のビベグロン(杏林製薬とキッセイ薬品工業の共同開発)などが寄与して2019年頃までは伸びるとみられる。また、夜尿症治療剤は2012年に「ミニリンメルト」(協和発酵キリン)が久々の新薬として発売されたことで市場が活性化しており、今後も緩やかな伸びが期待できる。

◆注目市場

1.胃食道逆流症等治療剤

2016年
2025年予測
2016年比
市場規模
1,417億円
1,840億円
129.9%

2006年6月に「タケプロン」(武田薬品工業)が非びらん胃食道逆流症(NERD)へ適応拡大した後、参入各社のプロトンポンプ阻害剤(PPI)もNERDへ適応拡大し、診断・治療の推進や患者の掘り起こしがすすんだことで、市場は拡大してきた。2011年9月に「ネキシウム」(第一三共)が発売されたこともあり、2012年には市場は1,000億円を突破した。その後も市場は拡大を続けている。

2015年は2月にPPIと作用機序が異なるカリウムイオン競合型酸阻害剤(P-CAB)「タケキャブ」(武田薬品工業)が発売された。2017年は各社による疾患啓発活動などで治療患者数が増えていることにより市場は前年比6.6%増が見込まれる。

PPIおよびP-CABでは投与期限の8週間の段階で治癒する患者の割合が上昇している。患者数の増加と共に、治療剤で治癒するという認識が高まることにより、更なる市場拡大が予想される。

2.腎性貧血治療剤

2016年
2025年予測
2016年比
市場規模
930億円
987億円
106.1%

バイオシミラーの発売や薬価引き下げなどの影響により2012年以降市場は縮小を続けていたが、2014年12月に「ネスプ」(協和発酵キリン)が「骨髄異形成症候群に伴う貧血」に適応拡大したことで、「ネスプ」が拡大をけん引し2015年は前年比3.1%増となった。2016年は薬価が引き下げられた治療剤があったため、市場は前年比2.2%減となった。

 「ネスプ」の特許切れに合わせて2019年からは複数のバイオシミラーが発売されるため、当面の市場は横ばい、または微減が予想される。

一方、次世代の腎性貧血治療剤であるHFT活性化剤は、各社がファースト・イン・クラスを目指しているため、エリスロポエチン製剤からの切り替えが想定され、市場に好影響を与えるとみられる。新規の透析患者数は年々減少しており、今後患者数の大幅な増加は考えにくいものの、活性化剤の発売により2022年頃から市場は増加に転じると予想される。

3.炎症性腸疾患治療剤

2016年
2025年予測
2016年比
市場規模
857億円
1,444億円
168.5%

2015年1月に難病指定疾患の助成制度の改定が行われ患者の薬剤費負担が高まったためジェネリック医薬品への移行が進み、また、先発上位品へのジェネリック医薬品の登場や薬価引下げがあったため2016年の市場は縮小した。

2017年、2018年の市場は小幅な伸びにとどまるとみられる。しかし、2016年11月に潰瘍性大腸炎治療剤「リアルダ」(持田製薬)、クローン病治療剤「ゼンタコート」(ゼリア新薬工業)が発売され、既存の5-ASA製剤や経口ステロイド剤からの切り替えが予想されることや、2017年3月には「ステラーラ」(ヤンセン ファーマ)がクローン病、「シンポニー」(ヤンセン ファーマ、田辺三菱製薬)が潰瘍性大腸炎に適応拡大しており、生物学的製剤は5-ASA製剤やステロイド剤などに比べて薬価が高いこともあり、今後の市場拡大に寄与するとみられるため、2019年以降は大幅な伸びが予想される。

さらに、瘍性大腸炎で申請中、また、クローン病で治験フェーズIIIの「エンティビオ」(武田薬品工業)、経口剤の新規作用機序の薬剤として期待されるAJM300(EAファーマとキッセイ薬品工業がフェーズIIIで共同開発)など期待度の高いパイプラインの発売が控えている。そのため、市場は大幅に拡大し2025年には1,444億円が予測される。

◆調査対象

消化器科疾患治療剤 消化性潰瘍等治療剤、胃食道逆流症等治療剤、薬物性潰瘍治療剤、H.pylori関連剤 、過敏性腸症候群治療剤、炎症性腸疾患治療剤、腸疾患治療剤、下剤等下部消化管治療剤、消化器官改善剤(オピオイド副作用治療剤含む)、ウイルス性肝炎治療剤、その他肝疾患治療剤、膵疾患治療剤、胆道疾患治療剤、機能性ディスペプシア治療剤
腎疾患治療剤 腎性貧血治療剤、高カリウム血症・尿毒症治療剤、高リン血症治療剤、二次性副甲状腺機能障害治療剤、透析用剤、そう痒症治療剤
泌尿器科領域 過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤、前立腺肥大症治療剤、性機能改善剤、夜尿症治療剤

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/10/23
       
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