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環境対応車充電インフラ普及状況を調査

−2035年普及予測―−
急速充電器 457,500本、普通充電器(パブリック) 2,090,300本
ワイヤレス給電システム 1,750,000台、バッテリスワップ(交換)システム 1,860システム


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)といった環境対応車の普及に不可欠となる充電器などの充電インフラの普及状況(ストック市場)について、各国政府の方針を踏まえ調査した。その結果を報告書「次世代自動車充電インフラ機器のグローバルマーケット展望 2017」にまとめた。

◆調査結果の概要

1.注目充電インフラ普及状況

2020年にかけて、米国でのZEV規制本格化や、欧州での自動車メーカーによるPHVの新発売などにより、EVやPHV市場の拡大が予想される。EVやPHVの所有者による自宅での充電器(プライベート)の設置以外にも、高速道路や幹線道路沿い、商業施設などでの充電器(パブリック)の整備も加速するとみられる。現在普及している充電インフラは、普通充電器と急速充電器であり、急速充電器は高速道路や幹線道路沿いに、普通充電器は商業施設などといった棲み分けがなされている。

2030年にかけて、欧州を中心とした内燃車販売禁止措置の開始と共に、普通充電器の普及が加速するとみられるが、今後本格的な拡大が予想されるワイヤレス給電システムが急速充電器や普通充電器にとって代わる可能性もある。2035年にかけて、普通充電器とワイヤレス給電システムの普及が更に進み、新たにバッテリスワップシステムが中国を中心に本格化するとみられる。

2.エリア別普及状況

日本

2035年予測 急速充電器 11,000本 / 普通充電器(パブリック) 47,500本
ワイヤレス給電システム 20万台 / バッテリスワップシステム 60システム

急速充電器はイニシャルコストの高さと補助金の減額に伴い普及スピードが鈍化しており、低コストな普通充電器(パブリック)の設置が進んでいるが、2025年頃から家庭用のワイヤレス給電システムが普及しはじめ、2030年には公共用にも広がることで、充電器の普及は頭打ちになるとみられる。将来的には、ワイヤレス給電システムが停車中給電に加え、走行中給電も実用化されることで、広範囲に普及すると期待される(今回の調査では走行中給電の市場は算出していない)。

北米

2035年予測 急速充電器 59,500本 / 普通充電器(パブリック) 346,500本
ワイヤレス給電システム 45万台 / バッテリスワップシステム 200システム

ZEV規制本格化に伴うEVやPHVの販売急増が予想される中、TeslaのSuperchargerをはじめ高速道路や幹線道路沿いを中心に急速充電器、都市部では普通充電器の設置が進んでいる。また、ワイヤレス給電システムも世界に先駆けて市場が立ち上がった。2030年頃には急速充電器の需要は一巡が予想される。ワイヤレス給電システムはオプションなどで自動車への搭載も進み、第三の選択肢として普及が進むとみられる。

欧州

2035年予測 急速充電器 69,000本 / 普通充電器(パブリック) 286,000本
ワイヤレス給電システム 35万台 / バッテリスワップシステム 300システム

ドイツ系自動車メーカーによるPHVやEVの発売が続くことで、今後充電インフラの整備も加速するとみられる。ドイツ、英国、フランスなどの都市部では短時間充電ニーズが高いため、急速充電器の設置が増えている。更なる時短に向け、急速充電器の高出力化(出力350kW)が進められており、複数の国をまたぐ幹線道路沿いへの超急速充電器の設置が進んでいる。長期的にはドイツ、フランス、英国をはじめとした内燃車販売禁止措置に伴いEVの普及が加速し、ワイヤレス給電対応のEV、PHVの投入も本格化するとみられる。

中国

2035年予測 急速充電器 293,000本 / 普通充電器(パブリック) 110万本
ワイヤレス給電システム 60万台 / バッテリスワップシステム 1,000システム

中国政府によるEV普及計画とそれに後押しされた地方政府の補助もあり、急激に充電器の設置が進んでいる。2030年に向けて、内燃車の段階的販売禁止措置によりEV販売が加速し、低コストな普通充電器の設置が更に増加するとみられる。将来的には既に商用車向けで実用化が進んでいるバッテリスワップシステムと走行中のワイヤレス給電システム(今回の調査では対象外)のEV向けでの導入が期待される。

3.急速充電器・普通充電器(パブリック)普及状況

2016年
2035年予測
急速充電器
58,980本
457,500本
普通充電器(パブリック)
251,190本
2,090,300本

※コネクタ数ベース

急速充電器は15分から30分程度で約80%の充電が可能であり、中・長距離の移動途中での継ぎ足し充電(経路充電)などを目的に、中国や日米欧を中心に高速道路や幹線道路沿いで設置が進んでいる。出力25kW程度の中速充電器の比率が高いが、150kW以上の急速充電器も欧米中で設置され始めている。また、欧州を中心に急速充電器の高出力化(出力350kW)が進められている。超急速充電器の実用化によって充電時間は大幅に短縮可能となるものの、低価格化など解決すべき課題は多い。

普通充電器(パブリック)は、公共に設置される普通充電器を対象とし、個人・家庭用は普通充電器(プライベート)でまとめている。ショッピングセンターやコンビニエンスストア、公共施設、宿泊施設、一時貸駐車場など、買い物や娯楽などの目的地での滞在中に合わせて充電する目的地充電などでは普通充電器が設置されることが多い。急速充電器よりも低コストで設置可能なことから、充電インフラの第一選択肢として今後も普及が続いていく。長期的にはインド、ブラジルなどで、電力供給面に不安が残ることから急速充電器よりも普通充電器が普及していくとみられる。

急速充電器、普通充電器(パブリック)の国別普及状況ランキングでは、2016年、2035年予測共に中国がトップとなる。2035年時点では急速充電器の6割以上、普通充電器の5割以上が中国に設置されるとみられる。

国別に調査を行った15カ国の中で伸び率が高くなるのが、現状では充電インフラがほぼ未整備であるが国策としてEVの普及と共に整備を進めるインド、米国のZEV規制に倣いEVの普及を推進しているカナダである。この他の国々は、急速充電器では2035年時点で2016年比5倍〜9倍の拡大が、普通充電器(パブリック)では同3倍〜5倍の拡大が予想される国が多い。一方、日本は2016年時点でトップ5に名を連ねるものの、急速充電器、普通充電器(パブリック)共に同2倍に満たない拡大で、普及は伸び悩むとみられる(2035年予測ランキングは共に6位)。

4.ワイヤレス給電システム普及状況

2016年
2035年予測
普及状況
僅少
175万台

※送電コイル数ベース

ワイヤレス給電システムは、非接触による電力伝送方式で電磁誘導方式、磁界共鳴方式などがある。地面などに送電装置を、車に受電装置を設置し、充電場所に車を停車させるだけで自動的に充電が始まる仕組みである。

2017年よりEvatran Groupがアフターマーケット製品として、QualcommがEVやPHVのオプション仕様として展開している。SAE(米国自動車技術会)が先行する形で標準化規格の策定が進められており、2018年中にもWPT規格「SAE J2954」が確立される見通しである。以降、自動車メーカーや自動車部品サプライヤーが続々とワイヤレス給電システムを投入することで急速に普及が進んでいき、2035年までに中国、米国、日本、ドイツなどを中心に175万台の設置が予測される。

5.バッテリスワップシステム普及状況

2016年
2035年予測
普及状況
0システム
1,860システム

EVのバッテリーを新品またはフル充電済のものに短時間で交換するサービスである。2010年代前半に一度市場が形成されていたが、現在参入プレーヤーはいない。交換作業をほぼオートメーション化することで5分以内にバッテリー交換が可能で、急速充電器などと比較しても充電の速さに優位性がある。しかし、車種を問わずバッテリーの交換が可能となるための規格統一などの障壁がある。

中国では既にEVバス、EVタクシーなど商用車向けのバッテリスワップシステムが稼動しており、EV向けは2020年頃から立ち上がると予想される。車両側の設計・仕様面の統一が必要となるが、中国は国内EVメーカーも多く、国家指針として本格導入が固まれば、一気に普及が進むとみられる。

◆調査対象

調査品目 急速充電器、普通充電器(パブリック)、普通充電器(プライベート)、ワイヤレス給電システム、バッテリスワップ(交換)システム、コネクタ、充電インレット、パワーコンディショナ(V2H)、充電器ネットワークサービス
国別普及状況 
調査対象国
日本、中国、インド、韓国、米国、カナダ、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/10/27
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。