マーケット情報


2019年をピークとする東京五輪関連の需要増加が期待される
セキュリティの国内市場を調査

−2020年国内市場予測(2016年比)−
セキュリティ関連 5,577億円(18.1%増) 各分野の需要が堅調に増加
監視カメラ 491億円(21.8%増)、バイオメトリクス 138億円(13.1%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、国際的なテロ事件・凶悪犯罪の多発への対応や、2020年の東京五輪に向けて都市部を中心にセキュリティレベルの引き上げが要求されるなど、セキュリティ対策の強化が国を挙げての課題となっていることにより各分野で堅調に需要が増加しているセキュリティ関連機器/システム、サービスの国内市場を調査した。その結果を報告書「2017 セキュリティ関連市場の将来展望」にまとめた。

この報告書では、家庭向け機器/サービス9品目、災害・防災関連機器/サービス5品目、監視カメラシステム5品目、アクセスコントロール7品目、イベント監視/通報関連機器2品目、自動車1品目の国内市場の現状を分析し、将来を予想した。

社会情勢・環境の変化に伴いセキュリティ対策(防犯・防災・緊急時対応)へのニーズが拡大・多様化していく中で、セキュリティ機器/システム、サービスの在り方にも変化が生じている。近年は、画像解析技術や人工知能(AI)、クラウドといった革新的技術をセキュリティに応用し、高度なセキュリティシステムが構築されるケースや、セキュリティにとどまらず社会インフラソリューションや企業のバックオフィスシステムとの融合など、新たなシステム、サービスの提案が進み、新たな市場が誕生しつつある。また、こうした最新技術の導入に向けた異業種間の連携が加速しており、業界構造にも変化がみえている。

◆調査結果の概要

セキュリティ関連の国内市場

2016年の市場は前年比5.4%増、2017年は4.0%増と堅調な拡大が見込まれる。

公共向けは、2020年の東京五輪を前に一部の首都圏再開発向けや既築のリニューアル需要が増加するとともに、訪日外国人の増加に伴う宿泊施設向けのセキュリティ関連機器の需要が好調である。ただし、2017年までは建設作業員の不足や会場選定の遅れもあって東京五輪関連の需要は本格化しておらず、今後、需要のピークとなる2019年に向けて更に市場が活性化するとみられる。

家庭向けのセキュリティ需要は、新設住宅着工戸数の増加や、一人暮らしの高齢者、女性の増加などの社会的背景を受けて堅調に増えている。空き巣や侵入盗などの発生件数は近年大幅に減少しているが、不安定な社会情勢や相次ぐ大規模自然災害の発生など安全や危機管理に対する不安は大きいため、潜在的な需要が高まっている。ホームネットワークシステムとの融合など新たな動向もみられ、今後も需要増加が予想される。

各分野で需要は堅調に増加し、2020年の市場は2016年比18.1%増の5,577億円が予測される。

市場の5割弱を占める家庭向け機器/サービスは、ホームセキュリティサービスなどが堅調な需要を獲得している。少子高齢化、高齢者の一人暮らしの増加、介護現場での人手不足の影響もあり、高齢者向けサービスなどの多様化が進むため、今後も市場の伸びが予想される。

災害・防災関連機器/サービスは、2016年から2017年は新築向けが低迷しているが、火災用報知機器など建築バブル期に建設された大型施設向けのリプレース需要が増えている。2018年から2019年は五輪開催に向けた建築市場の活性化に伴う需要増加も期待される。

監視カメラシステムは、2016年から2017年にかけて監視カメラ(IPカメラ)がけん引して堅調に伸びている。IPカメラの普及が進んだことにより、関連装置も含めて伸長率はやや鈍化しているものの、東京五輪需要のピークとなる2019年には900億円を突破するとみられる。

アクセスコントロールは今後大きく伸びるとみられ、2020年の市場は2016年比25.6%増の594億円が予測される。入退室管理用途では、リプレース・増設需要を中心に入退室管理システムなどの需要が増えており、東京五輪前の建設市場のピークとなる2019年に向けて大きく伸びるとみられる。PCアクセス管理用途では、自治体向けで始まった二要素認証の普及によりバイオメトリクスが好調で、今後は企業での需要増加が予想される。

イベント監視/通報関連機器は、警備用ロボット/ドローン関連サービスが注目される。本格的な普及には至っていないが、今後は警備業界の人手不足の影響や、画像解析/AI等の技術導入が本格化することで、市場の本格化が期待される。また、侵入センサは、採用の大半を占める警備会社の機械式セキュリティシステム向けの需要が安定している。

自動車分野は、自動車への盗難防止装置の標準搭載化により、簡易型の後付け盗難防止装置市場が大きく低迷している。ドライブレコーダーはデジタルタコグラフと併せた採用が増加している。

◆注目市場

1.監視カメラ

2017年見込
2020年予測
2016年比
IPカメラ
314億円
350億円
123.7%
アナログカメラ
119億円
141億円
117.5%
合 計
433億円
491億円
121.8%

従来型のアナログCCTVカメラは縮小しているものの、IPカメラの伸びが続いているため、市場は拡大しており、2017年は7.4%増が見込まれる。

IPカメラは伸びているものの伸長率はやや鈍化している。中小規模の案件は堅調であるが、前年に続き数千台クラスの大型案件が減少したため、2016年の市場は前年比8.0%増にとどまった。

2020年の東京五輪関連の需要は、競技施設や会場について一部開催地の協議が長引いたこともあり現状では本格化しておらず、波及効果が期待される首都圏の再開発や道路などの周辺整備に関連した需要も顕在化していない。2018年以降に関連需要の増加が期待される。

用途別では、現状工場向けで作業効率化、安全対策、ライン監視などでの需要が高まっているほか、コンビニエンスストア向けなどの中小案件を中心とした流通小売向け、インバウンドで需要が旺盛な宿泊施設向け、補助金制度の創設などにより引き合いが増加する街頭監視や病院・福祉施設向けなどが好調である。2018年以降は東京五輪に伴う施設・会場など向けの大幅な需要増加が期待される。

大手監視カメラベンダーでは、画像解析技術を活用したソリューションサービスの開発に注力している。画像解析技術を応用することで、異常発生時のアラーム機能、危険な状況や物の検知、店舗や工場等における人の行動解析、動線解析、さらに来場者の属性認証、人物特定などが可能となる。また、AIを組み合わせることで、学習機能を持たせ、判断の精度を向上させることもできる。現在はユーザーへの個別対応が中心でコスト高であるが、機能やターゲットを絞り込んだソフトウェアも発売されており、今後の普及が期待される。

アナログカメラは、従来型のアナログCCTVカメラは大幅に需要が減少しているが、近年、市場への投入が相次ぐHD-TVIやAHDなどの同軸HDカメラの需要増加により、市場は下げ止まりつつある。マンション、賃貸集合住宅向けなど高機能が求められない用途での採用が多く、今後も特定分野では普及拡大が予想される。従来型のアナログCCTVカメラからの代替だけでなく、一部低スペックのIPカメラの需要を侵食する可能性もあるが、同軸ケーブルの寿命などのデメリットを考慮すると同軸HDカメラの需要増加は一時的なものとみられる。

2.バイオメトリクス

2017年見込
2020年予測
2016年比
市場規模
122億円
138億円
113.1%

指紋認証、静脈認証、ハイブリッド型(静脈+指紋認証)、顔認証、虹彩認証を対象とする。

規模の大きい静脈認証は、PCアクセス管理用途がマイナンバー制度開始に伴い自治体での二要素認証の導入、また、企業のセキュリティ強化を目的とした導入により2016年に大きく伸びた。また、入退室管理用途も官公庁や金融関連施設、サーバールームやデータセンターなどのセキュリティ要求の高い施設などでの需要が増えている。

市場規模は小さいながら顔認証やハイブリッド型も伸びている。顔認証は特に2020年の東京五輪に向けて、空港の入国管理やホテル、商業施設などで他の個人認証方式と併用する用途や、アミューズメント施設やコンサート会場など迅速に多人数に対応する入退場管理用途で採用が増えるとみられる。ハイブリッド型は官公庁・自治体、大手企業を中心に採用を増やしており、今後も既存の指紋認証からの置き換えにより伸びるとみられる。

虹彩認証は、金融機関や食品工場などの限定的な需要にとどまっている。指紋認証は、入退室管理用途で他の生体認証を採用するケースが増えているため同用途での新規採用は減少しているが、PCアクセス用途はマイナンバー対策での二要素認証の導入が進んだことにより自治体での採用が2016年に大きく伸びている。

3.ホームセキュリティサービス

2017年見込
2020年予測
2016年比
警備会社系
1,165億円
1,335億円
119.6%
インフラ系
47億円
51億円
115.9%
合 計
1,212億円
1,386億円
119.5%

2016年の市場は前年比4.6%増、2017年は前年比4.5%増と安定した伸びが見込まれる。戸建住宅、マンションなど住居形態に関わらず全般的に需要は堅調である。空き巣や侵入盗の件数は大きく減少していているが、家庭向けのセキュリティに対する潜在需要は依然として高いため、市場は堅調な拡大が予想される。2016年から2017年は警備会社系、インフラ系ともに実績を伸ばしている。開発面では特に高齢者や単身世帯向けのサービスを充実させる傾向が強くなっている。

今後は、ターゲット層拡大のため、セキュリティに不安を感じる潜在需要の掘り起こしや、高齢者、単身世帯向けサービスの充実が求められる。また、IoT対応、住宅ネットワーク化への対応が必要となっているが、ユーザーによる操作性、複雑になりがちな機能に対する対応策が必要となっている。

高齢者向けの見守り、安否確認、徘徊対策サービスとともに、健康管理、介護、心のケアなどを含めた総合的なサービスの提供、様々なユーザーニーズに対応できる提供サービスの多様化、IT関連企業や通信事業者が提供する住宅IoTプラットフォームに対する駆けつけサービスの提供が進むと予想される。

◆調査対象

家庭向け機器/サービス ホームセキュリティユニット、ホームセキュリティサービス、住宅情報盤、テレビドアホン、防犯ロック、登下校見守りサービス、緊急通報サービス、高齢者在室安否確認サービス、位置情報検索サービス
災害・防災関連機器/サービス 火災用受信機、火災用感知器、ガス漏れ警報器、住宅用火災警報器、被災者安否確認サービス
監視カメラシステム 監視カメラ、画像録画装置、映像総合管理ソフトウェア、画像伝送装置、家庭用見守りカメラ
イベント監視/通報関連機器 侵入センサ、警備用ロボット/ドローン関連サービス
自動車 カーセキュリティシステム

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/11/02
       
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