マーケット情報


自動車用の伸びに期待 機能性コンパウンドの世界市場を調査

−2021年市場予測(2016年比)−
PPSコンパウンド 13.6万トン(29.5%増)、ABS 885万トン(13.5%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、樹脂にガラス繊維や難燃剤などを混練し物性を向上させたことで幅広い分野で使用される機能性コンパウンドの世界市場を調査した。その調査結果を報告書「2018 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」にまとめた。

この報告書では、汎用樹脂コンパウンド5品目、汎用エンプラコンパウンド7品目、スーパーエンプラコンパウンド7品目の計19品目の機能性コンパウンドと、添加剤・フィラー2品目、合計21品目の市場を調査・分析し、将来を予測した。なお、前回版(「2016年 コンパウンド市場の展望と世界戦略」)よりも、スーパーエンプラコンパウンドの品目を拡充しており、新たにPA46コンパウンド、PEAKコンパウンド、PTFEコンパウンドなどを対象とした。また、経営統合や事業売却など事業の合理化が一段と進み、顔ぶれにも変化が現れている樹脂・コンパウンドメーカー57社の動向も整理した。

◆注目市場

1.PPコンパウンド(汎用樹脂コンパウンド)

2017年のPPコンパウンド市場は549万トンが見込まれる。自動車用が需要の中心であり、世界の自動車生産台数の増加とともに今後も拡大が予想され、2021年には636万トンが予測される。日欧米の自動車メーカーに追随するかたちで、中国自動車メーカーもPPコンパウンドの採用を進めている。現状、インドではバンパーなどで低コストな鉄を使用するケースも多くPPコンパウンドの採用が他のエリアよりも少ないが、今後切り替わることで市場拡大が期待される。なお、日本では国内における自動車生産台数の大幅な増加は期待できないことから、日系PPコンパウンドメーカーは生産設備増設の動きをみせないものの、直近では自動車部品用が好調なため需給が逼迫しつつある。

2.ABS(汎用樹脂コンパウンド)

2017年のABS市場は801万トンが見込まれる。ABSは機能を付加しやすい樹脂であることから、耐熱、透明、難燃をはじめとして、耐候性、つや消し、帯電防止など多岐にわたる高機能化が図られている。用途は日用品や家電・OA機器、自動車など幅広く、透明ABSは家電・OA機器や一般機器のほか、医療器具(ダイアライザーや医療用チューブなど)でも使用される。また、自動車用の需要増加により、耐熱、アロイ、めっきなどの高機能ABSが伸びている。この他、プラスチック部品を組み合わせた際の接触面のこすれによるきしみ音を低減する高機能ABSも注目される。自動車用の需要増加に加え、様々な用途での中国をはじめとするアジアでの需要の伸びもあり、2021年には885万トンが予測される。

3.PBTコンパウンド(汎用エンプラコンパウンド)

2017年のPBTコンパウンド市場は105万トンが見込まれる。コネクタやスイッチ、ハウジングなど電気・電子部品に使用され、特に自動車の電装品であるワイヤーハーネスやECUケースなどの需要が伸びている。また、近年ではスマートフォンの筐体用材料としてPPSコンパウンドから着色時の発色がよいPBTコンパウンドへのシフトが進んでいる。コネクタや自動車の電装品は使用点数や搭載台数の増加もあり、今後も伸びが予想されるが、部品の小型化や薄肉化も進んでいることから、PBTコンパウンドの伸びは鈍化し、2021年には119万トンが予測される。

4.PPSコンパウンド(スーパーエンプラコンパウンド)

2017年のPPSコンパウンド市場は11.1万トンが見込まれる。自動車用が中心で、HVインバータ、パワーモジュール部品、エンジンルーム周辺など、耐熱性が求められる場所での使用が多い。また、電装品は複数のセンサーを組み込んだモジュール化が進んでおり、部品の大型化によりPPSコンパウンドの使用量が増加している。自動車用の拡大が続いており、2021年には13.6万トンが予測される。メーカー各社が生産能力を増強しているが、生産効率のよい樹脂ではないことから、規模の効果がでにくい面がある。また、アジアでは価格下落が続いていることから、メーカーが収益を確保するためには持続的な販売拡大が必須となっている。

◆調査結果の概要

1.機能性コンパウンド世界市場

機能性コンパウンドの世界市場は2016年に3,000万トンを突破した。中国やインドなどの需要増加や自動車用の好調により2021年には2016年比14.5%増の3,481万トンが予測される。市場の80%以上を占める汎用樹脂コンパウンドは、最も高いウェイトのPVCコンパウンドが中国の成長鈍化により低迷している。一方、PPコンパウンドとABSが自動車生産台数の増加により伸びている。汎用エンプラコンパウンドは、自動車用がけん引しており、m-PPEやPOMコンパウンドは需給が逼迫している。市場は2021年に500万トンを超えると予想される。スーパーエンプラコンパウンドは、最も高いウェイトのPPSが環境対応車の増加などにより拡大している。一方、メーカー間の競争激化により価格は下落している。

2.エリア別動向

日本は需要が横ばいである。日系メーカーは自動車用の注力をさらに高めており、欧州における生産拠点やテクニカルセンターの構築など、より多方面の事業展開を進めている。最大の需要国である中国は2021年に1,500万トン超えが予測される。しかし、伸びは鈍化しつつあり、中国メーカーは海外展開を強化している。その他アジアは自動車やインフラ用がけん引しており、2021年には 2016年比20.9%増と中国に匹敵する伸びが予測される。特にインドの需要が増加するとみられる。欧州は経済低迷の底から脱したものの需要は微増にとどまるとみられる。北米は自動車向けが徐々にメキシコへシフトするが需要は底堅く、2021年には欧州の需要を上回ると予想される。その他(中南米や中東)は自動車や電気製品の生産が欧米からシフトしているため、需要が増加するとみられる。

◆調査対象

汎用樹脂コンパウンド 機能性コンパウンド、添加剤・フィラー市場、PPコンパウンド、PEコンパウンド、PVCコンパウンド、PSコンパウンド、ABS
汎用エンプラコンパウンド PCコンパウンド、PA6コンパウンド、PA66コンパウンド、POMコンパウンド、m-PPE、PBTコンパウンド、GF-PET
スーパーエンプラコンパウンド PPSコンパウンド、LCPコンパウンド、PA6Tコンパウンド、PA9Tコンパウンド、PA46コンパウンド、PEAKコンパウンド、PTFEコンパウンド
添加剤・フィラー ガラス繊維、難燃剤
企業事例 日系樹脂メーカー13社、日系コンパウンドメーカー15社、
中国系・台湾系メーカー7社、韓国系メーカー6社
米国系メーカー4社、欧州系メーカー7社、その他メーカー5社

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/11/22
       
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