マーケット情報


電力関連システム・サービスの国内市場を調査


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、「電力小売全面自由化」によりさらなる市場競争の進展や、それに伴う新ビジネスの創出が期待される電力関連システム・サービスの市場を調査した。その結果を報告書「電力システム改革で動く設備・システム・サービス市場の全貌 2017年版」にまとめた。

この報告書では電力関連システム・サービス9市場を調査・分析した。また発電事業者の電源保有状況や業界別の発電所データなど設備状況をまとめると共に、電力自由化に関する消費者調査を行い、電力ビジネスを包括的に捉えた。

◆調査背景の概要

2016年4月より電力小売が全面自由化されたことで、電力と通信やガスをセット提供するサービスが開始されたり、再生可能エネルギーや地産地消型の電力を訴求ポイントとするなど、需要家の選択肢が広がっている。また同時に進められてきたガスシステム改革においても、2017年4月に都市ガス小売が全面自由化され、今後さらなる競争の活性化に向けた制度設計・ルール作りが進められている。2020年には、主に旧一般電気事業者が担っていた送配電と発電・小売部門を法的分離することで新規参入や新電力の平等性が確保されることから、新ビジネスの創出が期待される。

◆注目市場

容量アグリゲーションサービス



容量アグリゲーションサービスとは、電気事業者やガス事業者が需要家の広範囲に分散する再生可能エネルギー発電設備(太陽光発電、風力発電)、蓄電池、小規模自家発電装置、EMSやデマンドレスポンス(DR)など、エネルギーリソースを統合的に制御し、余剰電力・ネガワットを買い取るビジネスである。このような方法で複数のリソースを集約しエネルギーを集めて仮想的な一つの発電所の様な機能にする考え方をVPP(Virtual Power Plant)という。なお、市場は買い取った余剰電力・ネガワットの容量ベースとした。

省エネアグリゲーションサービスは、既に小売電気事業者により工場やオフィスなど自社顧客からネガワットの買い取りが始まっている。今後は小売電気事業者による他社顧客からのネガワット買い取りと、一般送配電事業者によるネガワット買い取りの制度設計が進められる。2017年度からは日本卸電力取引所にてネガワット取引が開始されており、一般送配電事業者による入札が行われているが、本格的なネガワット取引市場の立ち上がりは、VPP構築実証事業を通し、取引ルールの整備やネガワット取引の経済性確保などが行われた後となるため、2020年度度以降になるとみられる。

創エネアグリゲーションサービスは、DRベンダーが東日本大震災以降、災害などの緊急時に事業を安定化させるBCP(事業継続計画)の一環として提案したことで需要が増加した自家発電設備の有効活用を目指しており、市場は堅調に拡大するとみられる。また2016年度には大阪ガスが、2017年度からは東邦ガスと静岡ガスがそれぞれエネファームの余剰電力の買い取りを開始している。家庭需要家からの余剰電力買い取りに加えて、ガス会社はガスコジェネレーションシステムの所在を把握しているため、産業・業務需要家の親アグリゲーターとしても注目されている。

2.顧客料金管理システム(CIS)

2017年度見込
2020年度予測
導入数(累計)
172件
217件
システム保守料
66億円
74億円

小売電気事業者は需要家が使用した電気料金を管理する必要がある。CISは電力使用量を集約および管理し、顧客情報を基に電力料金を計算・請求するシステムである。

2017年度は電力小売全面自由化から1年が経過し、参入を様子見していた事業者が小売を開始したことで、CISの導入が増加している。また低圧向けCISを既に導入していた小売電気事業者が使いづらさを理由に新システムに入れ替えるなどの案件がみられた。気軽に拡張できる低価格なシステムが好まれており、クラウド(SaaS)を採用するユーザーが増加している。2018年度以降は新システムへの切り替え需要は落ち着くとみられる。新電力の登録者数は増加していくものの、純増数は減少するとみられ、CISの需要は伸び悩むとみられる。2020年度以降は新電力の統廃合が進み、また発送電分離を含む一連の電力システム改革の動きを受けて、システム移行が行われることからCISの需要が増加するとみられる。

◆電力自由化に関する消費者調査

2017年8月に、戸建および集合住宅(高圧一括受電ユーザーを含む)に住む電力ユーザーに対し電力自由化に関するインターネット調査を行った。

2016年4月以降、電気の購入先の変更の有無(n=10,000)



2016年4月以降、電気の購入先を変更したと回答したユーザーは、12.5%であった。集合住宅の一部では、高圧一括受電が電力小売全面自由化以前から先行して展開されていたため、変更した割合は戸建住宅が13.4%と、集合住宅の11.5%を上回った。

電気の購入先を変更した理由(n=1,246)

電気の購入先を変更したユーザー(12.5% 1,246件)からその理由を訪ねた結果、最も多かった回答は「電気料金が安いと感じたから」であり、全体の3割以上を占めた。その他にも「電気以外のサービスとのセット割引」や「ポイント付与」といった回答が多く、大多数が金銭面でのメリットが変更の動機となっている。

◆調査対象

サービス 電力小売サービス、高圧一括受電サービス、デマンドレスポンスサービス、容量アグリゲーションサービス、オンサイトエネルギーサービス、グリーン電力証書、需給管理システム、需給管理代行サービス、顧客料金管理システム(CIS)、蓄電システムレンタルサービス
業界別発電所データ整理 鉄鋼、非鉄金属材料、化学材料、セメント、製紙・パルプ、都市ガス、石油・LPガス、商社、重電・プラント、鉄道、自治体(都道府県)、公営ごみ焼却、住宅建築・建材、土木・建築・エンジニアリング、不動産、物流、通信、太陽電池、再生可能エネルギー発電(主に太陽光発電)、再生可能エネルギー発電(主に風力発電)、新電力、旧一般電気事業者&旧卸電気事業者(出資先系列企業、本体)

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/12/04
       
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