マーケット情報


工作機械とその周辺ツールの市場を調査

-2022年世界市場予測(2016年比)-
金属3Dプリンタは海外市場を中心に拡大 2016年比3.2倍の1,595億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2017年に入り中国をはじめとした設備投資の拡大、円安、補助金継続などを背景に需要が急増している工作機械とその周辺ツールの世界市場を調査した。その結果を「メタルプロセッシング・インダストリー関連市場の全貌 2018」にまとめた。

この調査では、工作機械として切削・特殊加工機8品目、成形機7品目、接合装置4品目、工作機械の周辺ツールとして自動化・デジタル化ツール5品目、保全系ツール3品目を取り上げ、地域別の販売動向や技術動向、ソリューション展開状況などを分析し、世界市場の動向と将来を予想した。

◆注目市場(世界市場)

1.金属3Dプリンタ



金属3Dプリンタは従来の切削技術だけでは不可能な複雑な形状の構造物や一体形の造形物を成形することができるなどのメリットから注目されている。特に最近は焼結能力が飛躍的に、成形物の品質が大幅に向上している。現状では量産対応は難しいものの、一品モノの製造、少量多品種生産用金型などとして利用されている。需要は自動車や航空機、医療機器などの特殊仕様部品の製造、コンフォーマルクーリング構造金型用途などで多い。チタンやインコネル、銅など、粉末金属材料の多様化も進んでいる。

世界市場は海外メーカーが主体となっており、近年は2016年こそ落ち込んだものの、海外市場を中心に拡大している。欧州や米国を中心に、研究開発用途から自動車関連や航空・宇宙関連分野などでの部品製造用途まで採用が進みつつある。また、日本ではまだ少ないが、大学などのアカデミック利用や防衛関連での採用も多い。シンガポールをはじめ、国からの補助金で製品普及を促す政策もみられるなど、海外市場は引き続き拡大が期待される。

一方、日本では研究開発用途で大手企業を中心に採用は進んでいるものの、金型もしくは部品製造用途までは進んでいない。そのため市場はまだ小規模で、成長も鈍いことから日本メーカーでは海外市場に注力するところもみられる。今後は企業内の研究開発用途にとどまらず、アカデミック利用や防衛関連など、産学官連携による幅広い分野間での研究開発を促すことが日本市場拡大には必要となってくる。

2.マシニングセンタ

2017年見込
2016年比
2022年予測
2016年比
市場規模
1兆0,040億円
115.7%
1兆5,431億円
177.8%

マシニングセンタはATC(オートツールチェンジャー)機能を標準で備え、フライス加工、穴あけ、中ぐり、研削などを、工作物の移し換え無しで加工出来る装置である。特に最近のアプリケーションは少品種大量生産から多品種中小量生産への流れが強まっていることから、工作物の移し換えの手間を省けるマシニングセンタの需要が急速に高まっている。

2016年は世界的に需要が減退し、市場は前年比マイナスとなったが、年後半から需要は復調に向かい、2017年はスマートフォン部品関連を中心とした電子デバイス・半導体分野で伸び、自動車関連分野なども順調で、市場は拡大している。地域別にみると中国をはじめ、東南アジアなどで需要が伸びている。

今後も中国や東南アジアなどの自動車関連や電子デバイス・半導体分野で需要が期待される。ハイエンドユーザー向けでは日本や欧米メーカーが実績を伸ばしているが、ミドルレンジ以下のユーザー向けでは中国や韓国、台湾のメーカーが徐々に実績を伸ばしている。特に中国メーカーは豊富な資金力で欧州メーカーを相次いで買収し、急速に事業体制を強化している。これら中国メーカーと協業を始める日本メーカーもみられるなど、今後、中国メーカーを中心とする展開が活発化していくとみられる。

3.射出成形機

2017年見込
2016年比
2022年予測
2016年比
市場規模
7,840億円
117.2%
1兆2,100億円
180.9%

射出成形機はプラスチックなどの加工機であり、加熱したプラスチックを金型に押し込み、型に充填して成形する装置である。複雑な形状の部品を高速で大量に製造することができるため、雑貨や容器などの日用品から自動車部品の製造まで採用されている。

世界市場は海外市場が主体となっており、自動車部品の成形品や電気・電子部品向けが大きな割合を占めている。2016年は世界的に景気が低迷したことや、主要な需要地であるアジアの経済成長が鈍化したことにより縮小した。2017年は中国や北米を中心に需要が回復しており、特に中国ではスマートフォン部品関連向けが好調である。また、中国では2017年から環境規制が強化され旧式設備の入れ替え需要が発生しており、少なくとも5年程度はその需要が中国市場をけん引するとみられる。中期的には、日本市場は微増にとどまるが、世界市場は中国や北米を中心に大きく拡大すると予想される。日本では高付加価値製品のニーズが高まっており、ハイエンドな電動機や複合成形が可能な製品による競争力の確保が必須となる。

世界市場の大半は中国とアジア向けであり、米州や欧州市場での展開が遅れている。欧州では現地メーカーが強く、プラスチック機械の統括団体であるユーロマップによる標準規格も海外メーカーの参入障壁となっている。日本メーカーはユーロマップ対応を進めていく方針である。

4.次世代NC

2017年見込
2016年比
2022年予測
2016年比
市場規模
675億円
125.0%
1,062億円
196.7%

次世代NCはNC(Numerical Control:サーボ機構と連動した軸制御による加工を事前にパラメータ処理することで自動化する)装置にIoT対応など付加価値機能をサポートできる情報系OSや機能を付加した装置である。スマートファクトリーを実現する上で必要となるエッジ側の情報端末としての機能を持たせ、ネットワーク化により上位システムからの設備の稼働状況・加工プログラム・工具・生産スケジュールなどの情報を一括管理・分析することが可能である。また、高解像度CCDカメラやマイク、スピーカーを搭載し、インターネットを介した様々なアプリケーションと連動する機種もある。今後はネットワークを介して遠隔からリアルタイムに装置の管理が可能となることで、工作機械メーカーのメンテナンスサービスの効率化、予兆保全サービスなどのビジネスに繋がる可能性がある。

次世代NCは新品販売時に工作機械とセットで販売されるケースが大半であり、ヤマザキマザック、DMG森精機、オークマなど、IoT利用によるスマートファクトリービジネスを推進する大手メーカーが特に開発に注力しており、自社の工作機械の新品販売時には概ね標準装備している。今のところ外販は少ないが、既設ユーザーの囲い込みで、レトロフィットを含めた既設装置への外販で普及が進む可能性も高い。ただし、ユーザー側はIoTを積極的に利用するために導入しているというよりも、将来的なIoT化に向けてまずは標準装備で所有しておくというケースが多い。

次世代NCは日本や欧米で多いハイエンドユーザーでは受け入れられ易いが、ボリュームゾーンであるミドルレンジユーザー以下を開拓するには、今後次世代NCの必要性を啓発していくことが重要である。また、ハイエンドユーザーに対しても次世代NC導入のメリットや付加価値などを明確化する必要がある。

◆調査結果の概要

工作機械・周辺ツールの世界市場



これまで好調を続けてきた工作機械・周辺ツールの世界市場は、2016年に設備投資が一服しマイナス成長となったものの、2017年には中国の電子デバイス・半導体分野や、欧米や日本などの自動車関連分野を中心に設備投資が拡大しプラス成長が見込まれる。プラス成長は2018年以降も続き、特に海外市場を中心に拡大していくとみられる。日本メーカーの世界市場における存在感は強く、高精密加工や機能複合化、IoT対応といった製品差別化によるハイエンドユーザー向けのビジネス展開を継続することで、今後も存在感を高めていくとみられる。一方、中国や韓国、台湾など、アジアメーカーの台頭も徐々に脅威となっている。

切削・特殊加工機では高機能化や機能複合化が進んでおり、他の工作機械へのユーザーのシフトや機能面での競合が多くなってきている。複合加工機はハイエンドユーザーをターゲットに複合化した製品で伸ばす一方、マシニングセンタやNC旋盤などは、ミドルレンジ以下のユーザーに拡販して伸ばしていかざるを得ない状況となっている。ただし、これらの層では中国や韓国など、アジアメーカーの台頭もあり、単一機能では機能面で差が無くなってきていることから、競合は激しくなっていくとみられる。レーザー技術が進展する金属3Dプリンタの機能を複合化させていくなどの動きもあり、当面は複合化技術による製品差別化が続く可能性が高い。

成形機では類似製品との競合や海外メーカーとの価格競争など、市場環境が厳しくなりつつある。プレス機械は特定の用途を除き、サーボプレス機が主流となりつつある。また、射出成形機は中国メーカーの台頭によりアジアの市場環境が厳しく、欧州ではユーロマップなどの地域規格や地場メーカーが強いこともあり、日本メーカーが苦戦している。

接合装置ではアーク溶接装置や抵抗スポット溶接装置のロボット化の流れが加速している。また、レーザー溶接装置やプラズマ溶接装置はほかの溶接装置との棲み分けや、価格競争の激化が懸念される。接合ニーズも日々変化していることから、新用途の開拓やほかの溶接装置との明確な差別化戦略が求められる。

自動化・デジタル化ツールでは搬送・ハンドリング用ロボットでスカラロボットを中心に価格の下落が続いており、ロボット単体ではなく、トータルシステムとしての販売による収益性の確保やロボット化が遅れているユーザーに対する提案が求められる。自動画像測定器は新規アプリケーションが期待できる製品であり、見込みユーザーに対する測定の啓発や効率化のための高速測定の提案が求められる。次世代NCは日本や欧米のハイエンドユーザーでは比較的受け入れられ易いが、ボリュームゾーンであるミドルレンジ以下のユーザーに必要とされるまでには時間がかかるとみられる。エッジコンピューティングデバイスはAI機能や画像処理認識、音声認識など、多様なデータ学習をさせていくエッジリッチの方向性もみられるが、データ処理の負担が大きい分、そのメリットである高レスポンス性が損なわれていく可能性が懸念される。

保全系ツールでは市場が立ち上がっているのは設備稼働監視ソフトウェアのみで、遠隔メンテナンス作業支援システムや予兆保全サービスは2018年以降立ち上がると予想される。全般的に保全サービスに対するユーザーのコスト意識、情報漏えいといったセキュリティ性への懸念などが大きな課題であり、これらをどのように払拭していくかが大きなポイントとなる。

◆調査対象

切削・特殊加工機 マシニングセンタ、NC旋盤、複合加工機、NC研削盤、NC放電加工機、金属3Dプリンタ、電子ビーム加工機、高速ミーリング加工機
成形機 板金レーザー加工機、サーボプレス機、機械式プレス機、液圧式プレス機、射出成形機、押出成形機、ダイカストマシン
接合装置 アーク溶接装置、レーザー溶接装置、プラズマ溶接装置、抵抗スポット溶接装置
自動化・デジタル化ツール 搬送・ハンドリング用ロボット、自動画像測定器、次世代NC、産業機械系CAD/CAM、エッジコンピューティングデバイス
保全系ツール 設備稼働監視ソフトウェア、遠隔メンテナンス作業支援システム、予兆保全サービス

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/01/26
       
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