マーケット情報


ECにおける食品・産直品、生活雑貨、アパレルの伸びが大きい
通販・EC(物販)の国内市場を調査

−2019年市場予測(2017年見込比)−
EC(物販) 8兆8,537億円(13.5%増) スマートフォン利用が大きく伸びる
通販(物販) 10兆7,833億円(10.9%増) ECは大きく伸びるが、カタログ、ラジオなどは縮小


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、利便性の高さや取り扱い品目数の多さにより他通販業態からの需要流入が進むEC(e-コマース:電子商取引)がけん引して拡大を続ける一方、再配達や人手不足といった配送に関連する問題が顕在化し配送サービスの見直しなどの課題が浮上している国内の通販市場(BtoCの物販)を調査、分析し、その結果を「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2018」にまとめた。

この調査では国内通販市場を、EC、カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販、その他の通販形態別、食品・産直品、健康食品・医薬品、ビューティ他、生活雑貨、アパレル、家電製品・パソコン、書籍・ソフト、その他の商品カテゴリー別に分析し、主要通販企業の事例分析とあわせて、今後の通販市場の方向性を明らかにした。また、通販市場の拡大をけん引している仮想ショッピングモールについても詳細に分析した。

◆調査結果の概要

1.EC(物販)国内市場における注目商品カテゴリー



2011年から2017年までの伸び率を商品カテゴリー別にみると、食品・産直品、生活雑貨、アパレルの高さが目立つ。

食品・産直品や生活雑貨は、生鮮食品などを取り扱う「Amazonフレッシュ」のサービス開始など、日常使いの品目に特化したサービス展開や取り扱い品目の拡充により堅調な伸びが予想される。食品・産直品は、オムニチャネル化を進めている流通大手がネットスーパーを中心に実績を伸ばしており、市場拡大をけん引している。今後も市場は拡大が続き、2019年に1兆2,755億円が予測される。

生活雑貨は、ECサイトでの取り扱いが多く、ユーザーのまとめ買いが進んでいることなどから利便性の高いECの利用が増えている。特に購入頻度の高い消耗品については定期購入が推奨されるなど、都度買いの手間が省けるため需要が増えている。今後も大幅な伸びが期待され、2019年の市場は9,592億円が予測される。

アパレルは、ファッションECサイトが好調に推移している。また、店舗販売がメインのファッションブランド、ファストファッションがECに注力していることも伸びを後押ししており、2017年以降も伸びが続くとみられる。化粧品や美容・健康関連器具などと同様に女性ユーザーが多く、参入企業によるショッピングアプリのリリースや「LINE」の公式アカウント開設、コミュニケーション施策の実施などスマートフォンユーザー向けの取り組みが積極的に実施されている。2019年の市場は1兆8,563億円が予測される。

家電製品・パソコンは、メーカーや家電量販店を中心にサービス面の拡充による実店舗からの需要流入や、ECによる購入が多いAIスピーカーの発売などによる需要喚起などもあって伸びている。

書籍・ソフトは、電子書籍や音楽/映像配信サービスの台頭もあり伸長率は鈍化しているものの、書店やCD販売店による自社ECサイトへの送客や、配信サービスとECサイト間の相互送客を実施する中で、配信サービス対象外商品の需要の刈り取りが進められている。

2.EC(物販)国内市場



2016年は、楽天によるケンコーコムや爽快ドラッグの完全子会社化をはじめとした市場再編の動きにより競争が激化したものの、インターネットやモバイル端末の普及により中高年、シニア層の需要流入が進んだため、EC市場は前年比7.5%増の7兆2,343億円となった。

2017年は、「Amazonフレッシュ」をはじめとした新規サービスの開始や、実店舗運営企業によるオムニチャネル戦略の推進、新たな仮想ショッピングモールの運営開始といった話題に恵まれたこともあり、EC市場は前年比7.8%増の7兆7,991億円が見込まれる。また、2017年にはイケア・ジャパンが「IKEAオンラインストア」を開設するなど、流通企業のECサイトへの注力度が高まっている。近年は中高年〜シニア層でもインターネット利用やモバイル端末の普及が進んでおり、これらの世代の取り込みの進展も市場拡大を後押しするとみられる。2019年の市場は8兆8,537億円が予測される。

一方、配送業者からEC事業者への要請による即日/翌日配送サービスの縮小や送料引き上げの動きが広がるなどサービスの見直しを迫られており、今後のEC市場拡大のための課題も浮き彫りになっている。

受注形態別にみると、PCの構成比が高く2016年時点で60.5%を占めている。構成比は縮小しつつあるもののPCの利用は多いため、2019年でも55.0%を占めるとみられる。

大きく伸びているのがスマートフォンで、2016年時点の構成比は30%を超えている。実店舗で商品を確認し店頭からECサイト経由で発注する購買プロセスの定着や、隙間時間に発注が可能という手軽さからPCからの需要シフトが進んでいる。参入企業はアプリのリリースに注力しており、プッシュ通知などを通じたユーザーとのコミュニケーション施策やクーポン配布、アプリ限定のセール企画などの取り組みを進めている。

タブレットPCは2015年頃から端末の普及が一段落しているものの、タブレットPC向けにECサイトを最適化する企業が増えており、スマートフォンと同様に発注が手軽なため利用が増えている。

3.通販(物販)国内市場



通販市場は、他形態からの需要シフトが続くECの伸びが市場拡大をけん引しており、2017年は前年比6.1%増の9兆7,234億円が見込まれる。今後も市場は拡大が続き、2019年の市場は10兆7,833億円が予測される。ECへの需要シフトにより、その他の形態はテレビ通販が微増のほかは縮小しており、企業によってはテレビ通販やラジオ通販を広告宣伝としての位置付けとするケースも増えている。

ECは、特に仮想ショッピングモールが取り扱い品目の拡充や顧客サービスの充実化を進めることで大きく伸びている。積極的な出店店舗の誘致により取り扱う商品カテゴリーを拡充していることから、上位3モールを中心に集約が進んでいる。受注形態別では、スマートフォン利用が、大手EC企業や流通企業を中心にアプリのリリースや機能強化によるユーザー取り込みが進んでいることにより急増している。

カタログ通販は、シニア層に定着した通販形態であるものの、主要プレイヤーである総合通販企業が近年EC化を進めていることに加え、収益性改善を目的としたカタログの発行頻度/部数の削減や種類の見直しを行っており縮小が続いている。

テレビ通販は、若年層のテレビ離れもあり新規需要の獲得が困難な状況にあり、ECへのシフトも進んでいるため、テストマーケティングや広告宣伝としての性格が強まっている。しかし、健康食品・医薬品などの専門通販企業の注力や、参入企業がオムニチャネルの一つとしてテレビ通販に注力していることから、今後も微増が予想される。

ラジオ通販は、インターネット聴取サービスの利用が増加しているものの各年代でラジオ離れが進んでおり、主要購買層である40代以上のユーザーでもEC利用が増えているため縮小が続くとみられる。

◆調査対象

1.通販形態別

通販形態
分  類
カタログ通販 総合通販、百貨店系通販、専門通販
テレビ通販 テレビ通販専門局、番組型ホームショッピング、インフォマーシャル、スポット広告型テレビ通販
ラジオ通販 ラジオ通販(ラジオ放送局運営型、番組枠買取型)
EC 仮想ショッピングモール、総合・百貨店系通販、専門通販(自社サイトでの運営)、GMS・量販店宅配(ネットスーパー)
その他 各社の通販事業に含まれる頒布会、催事販売などを含む

2.商品カテゴリー別

分 類
品 目
食品・産直品 加工食品、菓子類、酒類、飲料、自然食、水産物、農産物など
健康食品・医薬品 健康食品、シリーズサプリメント、医薬品など
ビューティ他 化粧品、美容器具、健康器具など
生活雑貨 家庭用品、トイレタリー(化粧品を除く)、食器、台所用品など
アパレル 婦人服、紳士服、子供服、ベビー服、服飾雑貨、宝飾品、スポーツウェアなど
家電製品・パソコン パソコン本体、パソコン周辺機器、パソコンソフト、家電類など
書籍・ソフト 書籍、雑誌、音楽・映像ソフトなど
その他 家具・収納、インテリア、寝具、ホビー関連グッズ、玩具、スポーツ用品、文具、カー用品、ペット関連グッズなど

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/02/19
       
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