マーケット情報


IT導入により医療業務の効率化、情報の有効利用が進展
医療情報システムの国内市場を調査

−2025年市場予測(2016年比)−
クラウド型電子カルテ 46億円(2.3倍)
オンライン診療(遠隔診療)システム/サービス 42億円(10.5倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医療のIT化および医療情報の有効利用に向けてさらなる導入が期待される医療情報システムの国内市場を調査した。その結果を「2018年 医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.1」にまとめた。この調査では医療情報のプラットフォームとなる広域医療連携システム関連27市場、地域包括ケアシステム関連4市場、電子お薬手帳・調剤薬局関連3市場の計34市場を調査・分析した。またシステムの連携・接続および業務間のシームレス化が市場におよぼす影響などを包括的に捉え、将来を展望した。続く次の調査ではこれらのシステムに集約・蓄積された医療情報を活用したビッグデータビジネスに関する44市場を調査し、No.1の調査結果を踏まえて総合分析をする。

高齢化や労働人口が減少する中で、より有効な医療データの活用を目指し、個人情報に関する法律の改正など準備が進められてきた。また2017年6月に内閣府が示すロードマップでは戦略の一つとして健康寿命の延伸が掲げられ、健康・医療・介護分野における具体的な施策として、データ利活用基盤の構築、オンライン診療・AIなどのITやゲノム情報を活用した医療の確立などが挙げられた。これを踏まえて2018年には「次世代医療基盤法」の施行が予定されているなどITを活用した医療情報活用基盤の整備が進んでいる。

◆注目市場

1.クラウド型電子カルテ

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
23億円
46億円
2.3倍

クラウド利用により初期費用が抑えられる低コストを訴求した製品が登場し、2010年代に本格的に市場が立ち上がった。2011年に発生した東日本大震災以降はデータの外部保存によるリスク管理の観点から、クラウド化によるコスト以外のメリットも認知されている。導入は診療所や中小病院を中心に進んでいる。診療所では初期費用面に加えて、在宅医療や医療連携に特化したシステムが多いため、機能面でも採用されるケースが多い。中小病院でも地域連携システムへの参加や業務の効率化などから電子カルテの導入が検討されており、初期費用が抑えられるクラウド型への関心が高い。

2.オンライン診療(遠隔診療)システム/サービス

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
6億円
42億円
10.5倍

医師、歯科医師が医療施設外の遠隔患者に対してオンラインで行う保険診療を支援するシステム/サービスを対象とする。

オンライン診療は以前、離島やへき地などの遠隔地への診察や問診などに限られていたが、2015年8月に厚生労働省が「情報通信機器を用いた診療(いわゆる遠隔診療)について」を通知したことで遠隔医療の定義が明確になり、都市部でも診療が可能となった。また2018年4月にオンライン診療に関わる診療報酬が新設される後押しも予定されていることから、オンライン診療を開始する医療施設が増加し、市場は拡大していくとみられる。

3.遠隔看視/在宅医療向けモニタリングシステム

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
58億円
73億円
130.4%

個人宅のパソコンや携帯電話、カメラや生体センサー、その他専用端末などを通じて、高齢者や疾病者の安否確認やバイタルモニタリングなど日々の健康相談や看護ケアを目的としたシステムを対象とする。

単身高齢者世帯の増加や介護者の人手不足などから需要が増えている。自治体の補助金による後押しを受けて導入数は増加しており、市場は拡大していくとみられる。IoTデバイスの普及に伴い、家庭にセンサーを設置するシステムも増加しており、様々な形でサービスが展開されている。今後も高齢者や在宅医療件数の増加、介護者不足からさらに需要は増加し、市場は拡大するとみられる。

4.地域包括ケアシステム/多職種連携システム

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
27億円
80億円
3.5倍

地域包括ケアシステムの中でも、ITを活用し中核病院、診療所、訪問看護ステーション、地域包括医療センター、調剤薬局、自治体などが患者の診療情報や訪問時の様子などをシームレスに共有する多職種連携システムを対象とする。

地域包括ケアシステムの構築に向けて地域包括支援センターが増加していることから需要が増えているものの、初期費用や運用コスト、インフラ設備の整備などの問題から導入はまだ少ない。今後高齢化の進展や在宅医療件数の増加などに伴いニーズがさらに高まるため市場拡大が予想されるが、コスト面、インフラ設備の整備などの問題解決が不可欠である。

◆調査結果の概要

医療情報システムの国内市場



医療情報システムの国内市場を広域医療連携システム関連、地域包括ケアシステム関連、電子お薬手帳・調剤薬局関連の3カテゴリーに分けて捉えた。最も市場規模が大きいのが電子カルテなど主に病院や診療所に導入される医療情報システムを中心とした広域医療連携システム関連市場で、全体市場の90%以上を占める。 

地域包括ケアシステム関連市場では、地域包括支援センターが増加していることから地域包括ケアシステム/多職種連携システムの導入が増加しており、市場をけん引するとみられる。2025年には2016年比2.3倍の195億円が予測される。

電子お薬手帳・調剤薬局関連は主力の調剤薬局向けレセプトコンピュータにおいて調剤監査システムや電子薬歴システムなどの機能と一体化した付加価値の高い製品の普及が進んでいる。今後は一体化した製品の需要が一巡し、システム単価が下がるものの数量ベースでは伸長し、市場は微増で推移するとみられる。2025年は2016年比10.8%増の379億円が予測される。

◆調査対象

広域医療連携システム関連 広域医療連携システム、地域医療連携システム、.医用画像連携システム、病院向け電子カルテ、診療所向け電子カルテ、精神科向け電子カルテ、産婦人科向け電子カルテ、糖尿病特化型電子カルテ、ゲノム医療対応電子カルテ、歯科診療所向け電子カルテ、クラウド型電子カルテ、レセプトコンピュータ、オーダリングシステム、電子処方箋システム、.診療/検査予約システム、医療用画像管理システム(PACS)、放射線情報システム(RIS)、3D画像診断支援ワークステーション、放射線部門検像システム、循環器部門システム(Cardiology PACS)、病理検査支援システム、.遠隔病理診断システム、生理検査システム、検体検査支援システム、手術部門システム、病院向け医薬品情報管理システム、診療情報管理システム・医療用ドキュメントソリューション
地域包括ケアシステム関連 地域包括ケアシステム/多職種連携システム、オンライン診療(遠隔診療)システム/サービス、遠隔看視/在宅医療向けモニタリングシステム、電子クリティカルパス(電子パス)
電子お薬手帳・調剤薬局関連 電子お薬手帳、調剤薬局向けレセプトコンピュータ、電子薬歴システム(訪問薬剤管理指導支援・在宅医療業務システム含む)

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/03/08
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。