マーケット情報


さらなる水素の需要増加と安定供給を目指す技術開発が進む
水素燃料関連の国内市場を調査

−2030年度市場予測−
水素発電向け水素燃料 水素発電の本格稼働で2020年度以降、市場が拡大 1,008億円
商用水素ステーション新設件数 水素燃料の普及に向けて整備が本格化 115件(2016年度比8.8倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、FCVの普及や水素発電などの技術開発の進展に伴いさらなる需要増加が期待される水素燃料関連の国内市場を調査した。その結果を「2018年版 水素燃料関連市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、水素燃料と供給の際に使用される水素燃料関連設備機器13市場を調査・分析すると共に水素ステーションの新設件数を捉え、タイプ別、能力別に詳細を明らかにした。また水素の安定供給や環境負荷の少ない水素供給を目指して開発が進められている3つの関連技術動向を把握することで水素燃料関連市場の将来を展望した。

◆調査結果の概要

1.水素燃料関連設備機器の国内市場


2014年度から始まった商用の水素ステーション(ST)の先行整備は2017年度末で累計100箇所に到達するとみられ、水素燃料のさらなる普及と産業自立化に向けて官民一体となり戦略立案が進む。2020年の「東京五輪」に向けてSTの整備地域の拡大や、FCバスやFCFL(燃料電池フォークリフト)などのアプリケーションの導入が進むことで水素需要が増加する。長期的にはSTと水素発電の増加に伴い水素ステーション関連や水素利用関連が市場をけん引するとみられる。また大規模輸送技術の進展によるサプライチェーン構築が進むとみられ、水素輸送関連も拡大することから2030年度には2016年度比33.0倍の2,410億円が予測される。今後は再生可能エネルギーを利用するR水素など環境負荷を低減した水素燃料の活用も注目される。

2.水素ステーションの新設件数

商用STは2014年度より整備が進められており、2017年度末には累計で100箇所に到達するとみられる。FCVの普及に先行して整備が行われているが、整備・運営にかかるコスト回収が課題となり、2016〜2017年度の新設件数は2015年度の半数を下回る。2018年3月に自動車メーカー、ST事業者など11社が共同でSTの本格整備に向けた新会社を設立したことから、2018年度以降は新設件数が増加するとみられる。2030年度には新設件数が100件を超える。FCVの普及も本格化し、STの運営自立化が可能になるとみられる。

事業用STは公用車・社用車の充填設備として導入が進んでいる。環境省が再生可能エネルギー由来のST導入に補助金を出しているため、2020年度頃まで導入拡大が期待される。その後はFCFL向けが中心になるとみられ、導入台数に応じて事業用STの需要も増えるとみられる。

◆注目市場

1.水素燃料

2017年度見込
2030年度予測
2016年度比
水素燃料
5億円
1,446億円
723.0倍
(FCV向け)
3億円
373億円
186.5倍
(水素発電向け)
1億円
1,008億円

※FCV向け、水素発電向けは水素燃料の内数

水素燃料を利用する主要なアプリケーションとしてFCVに加えてFCバス、FCFLの導入が開始されており、現段階では限定的ではあるが今後採用が広がるとみられる。今後新たなアプリケーションの開発が進むことで水素需要のさらなる拡大が期待される。また水素需要の増加をけん引する技術として注目される水素発電は、2018年より水素発電プラントの実証運転が開始される。そのため、2020年度まではFCVなど輸送機器向けの水素需要が主体となるが、2020年度以降は水素発電プラントの運転が本格的に開始されることで水素発電向けの市場が急拡大するとみられる。2030年度には全体で2016年度比723.0倍の1,446億円が予測される。

2.水素発電システム

2017年度見込
2030年度予測
2016年度比
市場規模
4億円
450億円

水素を燃料とする発電システムで、燃料中に一定割合以上の水素を含み、水素の利用によって化石燃料の削減を目的とするものを対象とする。

神戸エリアに設置された水素発電プラントの実証運転が2018年より開始され、水素発電の本格的な運用に向けて準備が進められている。「東京五輪」が開催される2020年には水素供給と輸送を合わせた大型の実証運転が予定されている。また水素輸入の準備も進められており、各社水素化・脱水素化プラントの建設や液体水素輸送船の建造に着手している。水素関連プロジェクトが積極的に進められている川崎エリアでも2020年より水素混焼発電が開始されるとみられる。今後はCO2量削減のため事業用大規模発電所で水素発電の利用が拡大するとみられ、2030年度、市場は450億円に達すると予測される。資源エネルギー庁は水素発電の本格的な運用ができるよう計画を進めると発表している。

◆調査対象

水素燃料 水素燃料
水素燃料関連設備機器 水素輸送関連 輸送用容器、大規模水素輸送
水素ステーション関連 水素ステーション、水素コンプレッサ、蓄圧器、水素ディスペンサ、水素ステーション用水素センサ、水素ステーション用バルブ、水素発生装置(オンサイト)
小規模水素供給装置 小規模水素供給装置
水素利用関連 水素発電システム、.車載用水素センサ、車載用高圧容器
水素燃料関連技術 R水素・P2G関連技術、次世代水素製造技術、水素キャリア技術

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/03/23
       
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