マーケット情報


民間企業による医療ビッグデータビジネスが本格化
医療ビッグデータビジネスの国内市場を調査

−2025年市場予測−
医療関連業界向け医療ビッグデータ分析 170億円(2016年比3.9倍)
AI搭載型医療画像診断支援システム 30億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医療のIT化および医療情報の有効利用に向けてさらなる導入が期待される医療情報システムの国内市場を調査した。今回の調査は前回調査対象とした医療プラットフォームに集約・蓄積されたビッグデータを活用するためのシステム・サービス36市場を調査し、前回の調査結果を踏まえて総合分析をした。その結果を「2018年 医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.2」にまとめた。

今後高齢者がますます増加することで医療、介護を始めとした社会保障制度の見直しが求められており、それに向けて医療の質を維持・向上させながら、効率化を図ることで医療費の抑制が目標として掲げられている。その中で、関連ビジネスに注目が集まっている。政府は法改正を含め様々な施策を打ち出しており、それに伴い医療ITの普及が進んでいる。広域医療連携システム、地域包括ケアシステム、電子お薬手帳システムといった情報連携の核となるシステムを軸に医療情報プラットフォームの形成が進んでいる。また診療データの電子化により情報の集積が進み、民間企業による医療ビッグデータビジネスが本格化している。

◆注目市場

1.医療関連業界向け医療ビッグデータ分析

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
51億円
170億円
3.9倍

製薬企業や生損保企業、医療機器企業、研究機関など医療関連企業に対し、レセプトデータやDPCデータ、カルテデータなどの医療データから個人情報を外した二次的な統計データやそれらの分析結果を提供するサービスを対象とする。

調剤薬局のレセプトデータは製薬企業を中心に活用されており、近年は保険者(健康保険組合など)のレセプトデータや病院のDPCデータの活用が広がり、市場が拡大している。今後はカルテデータの活用も進み、また製薬以外の企業のマーケティングにも活用の幅が広がることで、さらに市場は伸長するとみられる。

2.保険者向けデータ分析

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
137億円
270億円
2.3倍

保険者に対し、保険者のレセプトデータや検査データなどを分析・解析するサービスを対象とする。分析されたデータは健康改善や保険者の事業の長期安定化などに活用される。

市場は厚生労働省によるデータヘルス計画に基づき、本格的に立ち上がった。経済産業省による健康経営優良法人認定制度など政策に基づく取り組みもみられ、健康経営に積極的に取り組む企業などからの関心が高まっている。新規参入企業も増加しており、市場は堅調に拡大するとみられる。

3.プレシジョン・メディシン

2017年見込
2025年予測
2016年比
市場規模
200億円

プレシジョン・メディシンとは患者や疾患組織の遺伝子情報と、論文データや各種エビデンス、添付文章情報などの医療ビッグデータから総合的に最適な治療法を分析・選択する治療法である。現在は臨床研究や自由診療での利用にとどまっている。遺伝子解析により最適な治療の選択が可能となり、効率的かつ質の高い医療の実現が期待できるため、2030年には市場は300億円に達すると予測される。

4.AI搭載型ビッグデータ活用治療・診断システム

2017年見込
2025年予測
AI搭載型疼痛診療支援システム
0.3億円
AI搭載型精神科向け診断支援システム
0.1億円
0.3億円
AI搭載型医療画像診断支援システム
30億円

AI搭載型疼痛診療支援システムは慢性疼痛の治療の際にAIを活用することで早期改善、または予防するための適切な治療を支援するシステムを対象とする。2018年3月時点では研究段階であり市場は立ち上がっていない。痛みの度合いは患者の主観によって異なり、検査値などによる評価が困難である。客観的なデータが提示され、診断を支援するため疼痛治療の効率化を実現するとして期待されている。

AI搭載型精神科向け診断支援システムは精神科向け電子カルテの情報や、診察時の患者の状態をAIによって分析することで精神疾患の診断を支援するシステムを対象とする。2016年に精神科向け電子カルテ解析システムがリリースされ市場が立ち上がった。うつ病などの精神疾患患者は今後も増加するとみられ、それに伴い市場は拡大するとみられる。

AI搭載型医療画像診断支援システムは、現在、製品化されているシステムはなく、様々な企業や医療機関を中心に開発が進められている。2020年頃から市場が立ち上がるとみられる。放射線専門医や病理専門医が大幅に不足しているため、AIによる画像診断支援システムの需要は高く、市場は将来的に成長が期待される。

◆調査結果の概要

医療ビッグデータビジネスの国内市場



医療ビッグデータビジネスの国内市場を創薬支援関連、医療ビッグデータ分析関連、医薬品開発支援関連、ビッグデータ活用治療・診断システム関連、遠隔/IoT活用治療・診断システム関連、医療向けプロモーション支援関連、介護・福祉支援関連、医療向け個人情報管理システム関連の8カテゴリーに分けて捉えた。最も市場規模が大きいのがビッグデータ活用治療・診断システム関連で、特にテーラーメイド医療(個別化医療)は高薬価の医薬品の取り扱いが多く、市場を押し上げている。市場は堅調に拡大していき、2025年にピークを迎える。

医薬品開発支援関連は全ての品目で伸長しており、今後も拡大するとみられる。2016年時点で最も大きい市場は臨床試験で被験者から収集するデータなどを管理するEDCシステムである。EDCシステムはCROを通じて製薬企業や大学の臨床試験で用いられ、ほとんどの製薬企業で採用されている。今後最も高い伸び率が予想されるのが電子的原データ収集システム(eSource)で、まだ導入施設は限られているものの、今後普及が進むとみられる。

◆調査対象

創薬支援関連 インシリコ創薬・創薬支援システム
医療ビッグデータ分析関連

医療関連業界向け医療ビッグデータ分析、病院向けDPCデータウェアハウス・病院経営分析サービス、保険者向けデータ分析、健康管理サービス、体質遺伝子検査サービス

医薬品開発支援関連 臨床試験支援システム、EDCシステム、電子的原データ収集システム(eSource)、被験者日誌システム(ePRO) 、.リモートSDVシステム、安全性情報管理システム、製造販売後調査支援システム
ビッグデータ活用治療・診断システム関連 プレシジョン・メディシン、.テーラーメイド医療(個別化医療)、自動問診システム、AI搭載型疼痛診療支援システム、AI搭載型精神科向け診断支援システム、AI搭載型医療画像診断支援システム、麻酔情報記録システム
遠隔/IoT活用治療・診断システム関連 連続血圧測定システム(ABPM)、持続血糖測定装置(CGM)、デジタルセンサー搭載型薬剤(デジタルメディスン) 、遠隔・IoT服薬管理システム
医療向けプロモーション支援関連 医療向けe−プロモーション、ドクター向けポータルサイト、.ドクター向けSNS、Web講演会サービス、製薬企業向け営業支援システム、ディテール支援システム、医師・薬剤師データベース
介護・福祉支援関連 AI搭載型ケアプラン作成システム、.徘徊管理/転倒防止システム、排尿予知システム、介護ロボット(装着型)
医療向け個人情報管理システム関連 患者向け診療情報閲覧システム

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/05/24
       
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