マーケット情報


環境触媒・エネルギー触媒の世界市場を調査

−2030年世界市場予測(2017年比)−
環境触媒 2兆2,017億円(39.6%増) エネルギー触媒 2兆745億円(45.8%増)
MTO/MTPプロセス用、燃料電池用、アンモニア合成用などの伸びが大きい


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、輸送機器(ガソリン/ディーゼル車、船舶等)、工場・発電所、化学産業(水素、石油精製、その他化学等)、燃料電池、石炭化学/MTO、アンモニア合成などで使用され、環境規制強化への対応や次世代エネルギー技術の要として期待される環境・エネルギー触媒の世界市場について調査し、その結果を「環境・エネルギー触媒関連市場の現状と将来展望 2018」にまとめた。

この調査では環境触媒11品目、エネルギー触媒15品目、触媒材料9品目の市場動向、業界構造、要求特性、触媒方式・材料などについて現状を調査し、将来を予想した。※市場は内製使用分を除く

触媒とは化学反応において自身は変化せずに特定の反応を促進させる作用を持つ物質の総称である。環境触媒は環境の保全改善に有用な触媒で、世界的に排出ガス規制が強化されるなかで重要性が増している自動車用、二輪車用、建機用、船舶用触媒などがあげられる。エネルギー触媒は、化石燃料資源などをエネルギー形態にする触媒で、石油精製関連触媒や石油化学品製造用触媒などに加えて、次世代エネルギー技術で利用されるMTO/MTPプロセス用触媒、水素貯蔵用・製造用触媒、アンモニア合成用触媒などがあげられる。

◆調査結果の概要

1.環境触媒9品目・エネルギー触媒13品目の世界市場



2017年の市場は環境触媒が前年比5.1%増の1兆5,768億円、エネルギー触媒が同3.7%増の1兆4,232億円となった。

環境触媒では、自動車排出ガス規制に対応したガソリン車用触媒やディーゼル車用酸化触媒の構成比が高い。欧州では排出ガス規制のEURO6の進展により有害物質の排出基準値がさらに強化されている。日本や米国、中国、アジアでも規制強化が進んでいるため、従来触媒を高機能化したガソリン車用の三元触媒、ディーゼル車では酸化触媒、また、GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)や尿素SCRシステムなどで使用される高度な技術を採用した触媒の需要が伸びている。特に、SCR触媒はディーゼル車用の伸びに加えて建設機械や船舶でもシステム搭載が進んでおり需要増加が期待される。

エネルギー触媒では、石油化学製品製造用触媒が約50%を占めている。石油化学製品製造用触媒は中国、中東、アジア、北米など各地で需要が増えているため、今後も伸びるとみられる。また、製油所で用いられる接触分解用触媒(FCC触媒)などの石油精製関連触媒の需要が増えている。ほかには、市場規模は小さいものの、中国の需要が大部分のMTO/MTPプロセス用触媒、燃料電池電極用触媒や燃料電池改質用触媒なども伸びている。 今後、エネルギーの多様化により関連触媒の需要も変化が予想される。天然ガスや石炭、メタノール、水素などが石油代替エネルギー源として注目されており、FT合成用触媒、MTO/MTPプロセス用触媒、燃料電池電極用触媒、水素貯蔵用・製造用触媒、アンモニア合成用触媒などを中心に参入メーカーによる実証実験が進められている。

今後、多くの触媒の需要が増加するとみられ、2030年の市場は環境触媒が2017年比39.6%増の2兆2,017億円、エネルギー触媒が同45.8%増の2兆745億円に拡大すると予測される。

2.触媒材料8品目の世界市場

2017年
2030年予測
2017年比
市場規模
1兆2,367億円
1兆9,713億円
159.4%

触媒用に使用される ゼオライト(Y型/β/ZSM-5/SAPO等)、 酸化アルミニウム(アルミナ)、 酸化チタン(チタニア)、 酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ニッケル化合物、モリブデン化合物、プラチナ、パラジウムを対象とする。

2017年時点ではパラジウムが60%弱を占めている。パラジウムは、用途の大半を占めるガソリン車でプラチナからパラジウムへのシフトが進んでいるため、今後も伸びるとみられる。プラチナはガソリン車向けの需要が減少するものの、中長期的には燃料電池車向けでの使用増加が期待される。ゼオライトは接触分解用触媒向けで大きく伸びるとみられる。

◆注目市場

1.ディーゼル車用触媒(SCR触媒)【環境触媒】

2017年
2030年予測
2017年比
市場規模
1,440億円
5,799億円
4.0倍

ディーゼル車の尿素SCRシステムに搭載されるSCR触媒を対象とする。

ディーゼル車の普及率が高い欧州が需要の中心であり70%弱を占めている(2017年・数量ベース)。トラック、バスだけでなく一部の乗用車にも尿素SCRシステムが搭載されており、特にドイツの自動車メーカーが積極的である。排出ガス規制がさらに強化されたEURO6の開始に伴い、尿素SCRシステム搭載の乗用車は増えるとみられ、当面は欧州の需要が市場の拡大をけん引すると予想される。ただし、今後欧州では特定都市へのディーゼル車乗り入れ禁止措置が取られるため、中長期的には需要は縮小するとみられる。一方、トラック・バスの生産台数は中国やインドを中心に増えており、今後予想される各国の排出ガス規制強化に伴い、それらの国では需要増加が期待される。

日本は大型トラック、バスでの尿素SCRシステム搭載が中心である。日本のトラック、バスの生産台数は中長期的に減少するが、排出ガス規制は強化され尿素SCRシステム搭載車の割合が高まるため、市場は緩やかな拡大が予想される。

また、SCR触媒は従来バナジウム系が主流であったが日本、欧州、北米では性能に優れるゼオライト系が主流となっており、価格が上昇している。また、中国やインドでも規制の強化とともにゼオライト系への切り替えが進んでおり、市場拡大に寄与すると予想される。

2.アンモニア合成用触媒(高圧/低圧)【エネルギー触媒】

2017年
2030年予測
2017年比
市場規模
50億円
75億円
150.0%

アンモニア合成で用いられる触媒を対象とする。

現状、肥料用途のアンモニア合成の需要が中心である。需要の大きい中国は成熟市場に差し掛かっているが、ロシアやインド、中央アジア、東南アジア、アフリカなどで伸びている。今後、新興国の新設プラント向けを中心に市場拡大が期待される。また、最大のアンモニア輸入国であった米国では低価格なシェールガス開発により、プラントの新設が相次いでおり需要が増えている。

一方、肥料用途だけでなく、水素キャリア(水素を低コストで効率よく輸送、貯蔵する物質)やCO2フリー燃料としてアンモニアが注目されており、それに伴い今後アンモニア合成用触媒の需要増加が期待される。水素キャリアとしてアンモニアを活用する研究は米国やイギリスの学術機関などで活発であり、風力発電でCO2フリーのアンモニア合成を行う具体的な実証プロジェクトが開始されている。

日本は工業用途の需要が中心であるが、国内生産の停止とそれに伴う輸入への切り替えなどの要因により市場は小規模に留まっている。ただし、水素キャリアやCO2フリー燃料としてのアンモニアへの期待から、近年は低温低圧プロセスの開発が盛んになっている。2014年にSIP戦略的イノベーション創造プログラム採択、2017年にグリーンアンモニアコンソーシアム設立など、CO2フリー燃料としてのアンモニアバリューチェーン形成に向けた機運が高まっており、アンモニア合成用触媒需要の増加が期待される。

◆調査対象(※は世界市場に含まない)

環境触媒 ガソリン車用触媒(三元触媒)、ディーゼル車用触媒(酸化触媒)、ディーゼル車用触媒(SCR触媒)、自動二輪車用触媒、建設機械用触媒(SCR触媒)、船舶用触媒(SCR触媒)、排煙脱硝用触媒(発電所向け)、排煙脱硝用触媒(その他向け)、水処理用触媒(COD処理/NH3処理)※、光触媒用酸化チタン※、人工光合成用触媒(H2O分解/CO2還元)
エネルギー触媒 水素化脱硫用触媒、接触改質用触媒、接触分解用触媒(FCC触媒)、水素化分解用触媒(固定床/沸騰床/スラリー床)、FT合成用触媒(GTL/CTL)、石油化学製品製造用触媒(酸化触媒等)、高分子重合用触媒、油脂加工・医薬・食品製造用触媒※、MTO/MTPプロセス用触媒、燃料電池電極用触媒(PEFC)、燃料電池電極用触媒(SOFC)、燃料電池改質用触媒、水素貯蔵用触媒(水素化/脱水素)※、水素製造用触媒(オンサイト/オフサイト)、アンモニア合成用触媒(高圧/低圧)
触媒材料 ゼオライト (Y型/β/ZSM-5/SAPO等)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ニッケル化合物、モリブデン化合物、プラチナ、パラジウム、ヘテロポリ酸※

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/10/11
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。