マーケット情報


病理、遺伝子、細菌、POCの臨床検査市場を調査

−2023年市場予測−
病理検査 検査薬 105億円(2018年比23.5%増)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、採取した細胞や組織を観察し病変を診断する病理検査、ウイルスや微生物の遺伝子を検出することで感染の有無や治療薬の効果を判定する遺伝子検査、培養することで微生物の有無を判定する細菌検査といった検査室で行われる検査と、キットなどを用いて検査室以外でも行うことができるPOC(Point Of Care)検査の国内市場を調査・分析した。その結果を「2019 臨床検査市場 No.3 細菌・遺伝子・POC・病理検査・先端検査技術動向」にまとめた。

この調査では病理検査、遺伝子検査、細菌検査、POC検査の検査薬(抗体や培地・器具、キットなど含む)と検査装置の市場に加え、 クリニカルシーケンスやリキッドバイオプシーなどの先端検査技術の動向も捉えた。

◆調査結果の概要(検査薬)

1.病理検査の検査薬市場



病理検査の検査薬(免疫染色用抗体)市場は、がん患者の増加に伴う需要の高まりにより、拡大している。様々な抗がん剤が発売される中、治療薬の適性や治療効果を測定する需要も高まっており、コンパニオン・ダイアグノスティックス(特定の治療薬の投与可否を決定するための検査薬)としての需要も増加している。

がん患者の増加が予想される中、コンパニオン・ダイアグノスティックスの重要性もさらに高まると考えられる。また、新規抗がん剤の登場に併せて検査薬が展開されることも多く、今後も市場は拡大が予想される。

2.遺伝子検査の検査薬市場



遺伝子検査の検査薬市場は、肝炎、結核、性感染症など、主に感染症関連の検査項目で構成される。

2015年にC型肝炎を完治させる治療薬が発売されたことにより、その治療効果判定のための検査が急増し、市場は拡大した。しかし、2017年、2018年と治療患者数の減少により市場は縮小している。

遺伝子検査の各項目は全体的に普及してから長期経過したものが多く、今後はC型肝炎関連をはじめ横ばいのものが多くなるとみられる。2018年に加わった血液培養パネルや呼吸器パネルの検査のほか、HPV(ヒトパピローマウイルス:子宮頸がんの原因になると考えられているウイルス)が子宮がん検診の普及などにより増加するとみられ、緩やかな拡大が予想される。

3.細菌検査の検査薬市場

2018年
2023年予測
2018年比
市場規模
245億円
258億円
105.3%

細菌検査の検査薬(培地・器具など)市場は、手作業及び目視(マニュアル)による培養同定と感受性検査、装置(オート)による血液培養・抗酸菌培養検査と同定・感受性検査を対象とする。

培地は、保菌検査が細菌検査から遺伝子検査へ移行していることから、一部で減少もみられる。装置用消耗品は、手作業から装置への自動化の進展により需要が増加しており、特に血液培養検査で使用される培養ボトルが堅調である。

今後、市場は拡大が予想されるが、装置用消耗品は需要に飽和感が強く、保菌検査の遺伝子検査への移行による培地の縮小もあり、拡大幅は限定的とみられる。

4.POC検査の検査薬・検査キット市場

2018年
2023年予測
2018年比
市場規模
1,135億円
1,122億円
98.9%

POC検査の検査薬・検査キット市場は、尿試験紙、HCG・LH、便潜血、肝炎、呼吸器感染症、消化器感染症、糖尿病、心筋障害の関連項目、血糖自己測定などの簡便・迅速な検査キットを対象とする。

POC検査のほとんどの検査項目で普及が一巡し、需要は横ばいのものが多い。一方で、市場の40%弱を占める血糖自己測定用検査薬は、非インスリン依存型治療薬の台頭により減少し、市場の15%程度を占めるインフルエンザウイルス抗原迅速検査キットはほぼ全ての診療所に普及しており、流行に左右されない需要が形成されており安定している。今後も血糖自己測定用検査薬の縮小は続くとみられ、2023年には2018年比1.1%減が予測される。

なお、検査キットにおいては、近年複数の項目を測定できるキットや装置で判定するキットが増えており、高感度かつ簡便・短時間で検査が可能な製品などが増えていくとみられる。

◆調査結果の概要(検査装置)

病理検査、遺伝子検査、細菌検査、POC検査の検査装置は、普及が一巡し買い替え需要が中心のものが多い。そのため、今後の市場は横ばいから微減が予想されるが、デンシトメトリー装置は伸長するとみられる。

◆注目市場(検査装置)

デンシトメトリー装置

2018年
2023年予測
2018年比
市場規模
19億円
33億円
173.7%

イムノクロマト法の検査キットで使用される専用の検査装置を対象とする。検査キットの判定は目視で行うことが多いが、判定ラインが薄いなど判定が困難なケースも見られる。装置による読み取りによって正確な判定が可能となることから市場は拡大が続いている。

参入企業各社は、検査キットの差別化の一環としてデンシトメトリー装置を展開しており、現状インフルエンザ、A群β溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ、肺炎球菌などのキットの判定が可能となっている。

デンシトメトリー装置の主な納入先は内科や小児科の診療所である。診療所の施設数を考慮すれば潜在的な需要は非常に大きい。また、価格帯も数万円から数十万円と幅があるが、低価格製品については2年ほどで交換が必要となることから、継続的な需要も期待され、今後も拡大が予想される。

◆調査対象

病理検査 検査薬 免疫染色用抗体(免疫組織染色/遺伝子法)
検査装置 免疫染色装置(セミオート/フルオート)、術中リンパ節遺伝子検査装置
遺伝子検査 検査薬 遺伝子検査薬
検査装置 遺伝子検査装置(前処理/前処理・増幅/検出/オート)
細菌検査 検査薬(培地・器具など) 生培地、粉末培地、オート用培地(血液・抗酸菌培養/感受性/同定+感受性)、ガスパック、血液培養ボトル、感受性ディスク、簡易同定キット
検査装置 血液・抗酸菌培養装置、感受性装置、同定+感受性装置、同定装置
POC検査 検査薬・検査キット 尿検査薬、便潜血検査薬、簡易分析装置用検査薬、HCG簡易検査キット、LH簡易検査キット、HBs抗原・抗体簡易検査キット、HCV抗体簡易検査キット、マイコプラズマ抗原検査キット、PCT簡易検査キット、ロタウイルス抗原検査キット、A群β連鎖球菌ダイレクト検査キット、アデノウイルス抗原検査キット、RSV抗原検査キット、ヒトメタニューモウイルス検査キット、インフルエンザウイルス抗原迅速検査キット、ノロウイルス抗原検査キット、尿中アルブミン定性検査キット、肺炎球菌・レジオネラ簡易検査キット、心筋マーカー迅速検査キット、糖尿病専用測定装置用検査薬、CRP専用測定装置用検査薬、アレルギー簡易検査キット、血糖自己測定用検査薬、OTC検査キット
検査装置 尿検査装置、便潜血検査装置、簡易分析装置、デンシトメトリー装置、糖尿病専用測定装置、心筋マーカー迅速検査装置、CRP専用測定装置、血糖自己測定装置
先端検査技術 クリニカルシーケンス、リキッドバイオプシー(cfDNA、CTC、m-RNA)

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/04/18
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。