MARKET マーケット情報
国内外食産業市場調査(1)
プレミアムハンバーガー72億円話題性の高さや高品質高付加価値で需要を獲得し拡大
とんかつ・かつ丼444億円手頃な価格で楽しめ、認知度向上により利用数増加
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、他社との差別化が求められている国内14分野138業態の外食産業市場を調査・分析し、その結果を3回に分けて報告書にまとめる。第1回目となる今回は、ファストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食の6分野67業態の市場についての調査結果を報告書 「外食産業マーケティング便覧 2016 No.1」にまとめた。
なお、料飲店、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場の8分野71業態の市場調査結果を「外食産業マーケティング便覧 2016 No.2」に、No.1とNo.2の調査結果の総括分析に、注目外食企業の事例研究、海外における外食産業の動向、外食産業エリアマップなどを加え「外食産業マーケティング便覧 2016 No.3」にまとめる。
◆調査結果の概要
2015年 |
2014年比 |
2016年見込 |
2015年比 |
|
ファストフード |
2兆9,453億円 |
99.6% |
3兆0,458億円 |
103.4% |
テイクアウト |
6兆9,934億円 |
102.7% |
7兆1,624億円 |
102.4% |
ホームデリバリー ・ケータリング |
1兆1,851億円 |
100.4% |
1兆1,893億円 |
100.4% |
交通機関 |
1,005億円 |
103.6% |
1,025億円 |
102.0% |
レジャー施設 |
9,850億円 |
99.7% |
9,810億円 |
99.6% |
給食 |
3兆9,180億円 |
100.2% |
3兆9,219億円 |
100.1% |
1.ファストフード市場
2015年に牛丼が「すき家」の深夜営業再開や、上位チェーンの“ちょい飲み”需要獲得により回復したものの、ハンバーガーの縮小がさらに進んだことで、前年割れとなった。2016年はハンバーガーが回復に向かうとみられ、前年比3.4%増の3兆458億円が見込まれる。
2.テイクアウト市場
2015年に「セブン‐イレブン」や「ローソン」がカウンタードーナツの導入を進めるなど、CVSテイクアウトフードの好調がけん引し、拡大した。2016年は2013年以降急速に拡大してきたポップコーン専門店がブームの一巡で横ばいが見込まれるなど、伸びがやや鈍化するとみられる。
3.ホームデリバリー・ケータリング市場
2015年に「ドミノ・ピザ」が出店強化やテイクアウト需要を獲得したことで宅配ピザが好調となったことや、高齢者人口の増加に伴って利用者が増えたことで病者・高齢者食宅配が微増となった。宅配スタッフ確保が年々困難さを増す中、2016年もこれらの業態がけん引し、市場は拡大が見込まれる。
4.交通機関市場
2015年に機内食や客船食堂など、多くの業態がインバウンド需要により伸び、拡大した。近年減少が続いていた列車内食は北陸新幹線の長野‐金沢間の開業やレジャー需要の増加もあり好調となった。2016年も引き続きインバウンド需要などを追い風に、市場は拡大が見込まれる。
5.レジャー施設市場
2015年に好天に恵まれたことで、屋外型施設であるゴルフ場やレジャーランドなどが好調となったが、不採算店舗を整理する動きが強まったカラオケボックスなどや、深刻な雪不足から営業日数が減ったスキー場はマイナスとなり、縮小した。2016年も引き続き屋内型施設での不採算店舗の整理が進み、市場は縮小が見込まれる。
6.給食市場
2015年に苦戦の続く産業給食や学校給食などが縮小したものの、高齢者福祉施設給食が利用者や施設数の増加を背景に好調となり、微増となった。2016年も高齢者人口増加に加え、介護サービス需要の高まりにより、引き続き拡大すると見込まれる。
◆注目される業態
1.プレミアムハンバーガー 【ファストフード】
2015年 |
2014年比 |
2016年見込 |
2015年比 |
|
市場規模 |
58億円 |
123.4% |
72億円 |
124.1% |
客単価1,000円以上1,500円未満のチェーン・店舗を対象とした。2015年は11月にアメリカで急成長を遂げている「シェイクシャック」がオープンしマスコミに取り上げられたことや、10月にフレッシュネスが「クラウンハウス」、11月にはモースフードサービスが「モスクラシック」をオープンさせるなど、ハンバーガー大手チェーンの参入も活発となり、市場は前年比23.4%増の58億円となった。
2016年は「カールスジュニア」のオープンによってさらに注目が集まっており、話題性の高さやプレミアム感が消費者の支持を受けており、前年比に24.1%増の72億円が見込まれる。
2.とんかつ・かつ丼 【ファストフード】
2015年 |
2014年比 |
2016年見込 |
2015年比 |
|
市場規模 |
381億円 |
121.3% |
444億円 |
116.5% |
客単価400円以上1,500円未満のチェーン・店舗を対象とした。2015年は「かつや」「松乃家」を中心とした上位チェーンによる出店増などで市場は拡大した。また、手頃な価格でとんかつ・かつ丼を楽しめるということで、主婦層などのテイクアウト需要獲得につながった。
2016年は上位チェーンによる出店が続く見通しであるほか、既存店舗でも利用客数の増加も期待される。また、6月にはすかいらーくが「とんから亭」を、7月にはサガミチェーンが「かつたに」をオープンさせるなど、活発な展開が続いており、市場は前年比16.5%増の444億円が見込まれる。
3.ポップコーン専門店 【テイクアウト】
2015年 |
2014年比 |
2016年見込 |
2015年比 |
|
市場規模 |
32億円 |
110.3% |
32億円 |
100.0% |
ポップコーン専門店はマスコミに取り上げられたことで2013年、2014年と、各店に行列ができる大きなブームとなった。2015年は原宿などの大都市の店舗は依然として行列ができるなど活況を呈しているものの、2015年後半から徐々にブームが落ち着き始め、市場は前年比10.3%増の32億円となった。
2016年は上位チェーンの「ヒルバレー」「ギャレットポップコーンショップス」が積極的に出店しているものの、集客力の低下により閉店するチェーンも見られるなど、ブームが収束に向かっており、市場は横ばいが見込まれる。
◆その他主な業態
2015年 |
2014年比 |
2016年見込 |
2015年比 |
|
ハンバーガー |
5,468億円 |
90.0% |
5,968億円 |
109.1% |
牛丼 |
3,658億円 |
103.2% |
3,684億円 |
100.7% |
回転ずし |
5,777億円 |
103.3% |
6,043億円 |
104.6% |
ハンバーガーは「マクドナルド」が回復の兆しが見え始めたことと、「モスバーガー」が“健康訴求”で需要獲得につなげ、2016年は9.1%増の5,968億円が見込まれる。牛丼は客単価の上昇に落ち着きがみられ、2016年は微増が見込まれる。回転ずしは低価格であり、家族3世代で食事ができるなど、消費者のニーズを的確に捉えており、今後も市場は拡大が見込まれる。
◆調査対象
ファストフード | 1.ハンバーガー、2.プレミアムハンバーガー、3.チキン、4.ドーナツ、5.サンドイッチ、6.クレープ、7.アイスクリーム、8.フローズンヨーグルト、9.ギョーザ、10.ラーメン、11.カレーショップ、12.ステーキ、13.立ち食い・セルフ式そばうどん、14.クイックパスタ・ピザ、15.回転ずし、16.牛丼、17.天丼・天ぷら、18.海鮮丼、19.とんかつ・かつ丼、20.定食チェーン、21.スープカフェ |
テイクアウト | 1.テイクアウト弁当、2.デリカショップ、3.百貨店デリカ、4.その他デリカ、5.おにぎり、6.テイクアウトずし、7.ベーカリーショップ、8.量販店デリカ、9.CVSテイクアウトフード、10.CVSカウンターFF、11.スイーツ店、12.百貨店スイーツ店、13.シュークリーム専門店、14.ポップコーン専門店、15.たこ焼き・お好み焼き類、16.たい焼き専門店 |
ホームデリバリー・ケータリング | 1.宅配ピザ、2.宅配ずし、3.宅配中華料理、4.宅配釜飯、5.FR宅配、6.FF宅配、7.病者・高齢者食宅配、8.仕出し弁当・ケータリング |
交通機関 | 1.駅構内飲食店、2.列車内食、3.機内食、4.有料道路SA・PA、5.客船食堂 |
レジャー施設 | 1.ゴルフ場、2.スキー場、3.健康ランド・スーパー銭湯、4.レジャーランド、5.野球場、6.映画館・シネコン、7.フードテーマパーク、8.ギャンブル場、9.カラオケボックス、10.複合カフェ |
給食 | 1.産業給食、2.学校給食、3.病院給食、4.高齢者福祉施設給食、5.有料老人ホーム給食、6.幼稚園・保育所給食、7.学生食堂 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。