MARKET マーケット情報


データセンタービジネス市場の調査を実施 ハイパースケールデータセンターの需要増加などに注目

2023年予測(2018年見込比)
データセンターサービスの国内市場 2兆9,464億円(37.6%増)
IaaS/PaaS(共有型/専有型)の伸びが市場拡大をけん引
ハイパースケールデータセンターのラック供給量 83,070ラック(2.7倍)
メガクラウドサービス利用拡大に伴い需要増加が続く

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、メガクラウドベンダーが提供するクラウドサービスの利用拡大や、それに伴うハイパースケールデータセンター(ハイパースケールDC)の需要増加などにより拡大を続けるデータセンタービジネスの国内市場を調査し、その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2019年版(上下巻)」にまとめた。
 「上巻:市場編」ではデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品16品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。「下巻:ベンダー戦略/ユーザー実態編」ではデータセンター事業者の動向を整理し、Webアンケートによるユーザー調査を行った。

調査結果の概要
データセンターサービスの国内市場
データセンタービジネス市場調査総覧 2019年版(上下巻):データセンターサービス国内市場グラフ
 2018年の市場は2兆1,408億円が見込まれる。依然としてハウジングの構成比が大きいが、市場拡大をけん引するのはIaaS/PaaS(共有型/専有型)である。今後もIaaS/PaaSの伸びが拡大をけん引し、2023年には2兆9,464億円が予測される。
 IaaS/PaaS(共有型/専有型)は、グローバルで展開する外資系メガクラウドベンダーのサービスが中心である。ハイパースケールDCを利用したメガクラウドベンダーの日本拠点開設や増強が進んでいることにより、2019年はハウジングの市場規模を上回る5,639億円が予測される。
 共有型が90%以上を占めており、従来のWeb系システムのプラットフォームとしての需要だけでなく、近年は多様なシステム基盤としての利用も増えている。メガクラウドベンダーの日本拠点の増加により、国内でのデータ所有が必須である金融や官公庁、地方自治体などの利用も増えており、ユーザーは多種多様な業種、規模に広がっている。また、IoTやAI、RPAなどのデジタルトランスフォーメーション関連システムにおいても、クラウドベースのプラットフォームやシステム開発が広がっていることも市場拡大につながっている。専有型も、利用機器の高パフォーマンスを求めるユーザーの需要が増えている。
 ハウジングやホスティングはIaaS/PaaSへの移行などを要因に伸びは低調である。
 しかし、ハウジングは、依然として大手企業のシステムを中心に根強い需要があり、今後も既存ユーザーのシステム拡張やネットワークトラフィックの増大に伴う通信機器のハウジング利用などが予想される。また、2018年に発生した北海道胆振東部地震での広範囲な停電発生を受けて、データセンターを活用したシステム運用が見直されているため、オンプレミスからハウジングへの移行も期待される。
 ホスティング(基本/アウトソーシング)は、基本サービスはIaaS/PaaSへ移行が進んでいる。一方、アウトソーシングサービスはメインフレームやオフコン関連の需要が縮小しているものの、プライベートクラウド利用では安定した需要がみられる。
 その他には、通信回線サービスや共同利用、SaaS/DaaSなどが含まれる。共同利用は金融に加え地方自治体での利用も増えており、今後も微増ではあるが伸びが予想される。また、SaaSは情報系システムに加え、中堅、中小企業ではERPなどの基幹系システムのSaaSへの移行が進み伸びている。また、働き方改革を推進する目的でSaaS型グループウェアやビジネスチャットなどのコラボレーションツールや、DaaSの需要が増えている。
データセンターサービスの地域別市場
 2018年見込2023年予測
関東1兆5,177億円2兆825億円
関西3,450億円5,599億円
その他地域2,781億円3,041億円
合計2兆1,408億円2兆9,464億円
 データセンター施設の立地地域別にデータセンターサービス市場を分類した。
 関東の構成比が最も高い。関東は、国内の主要企業や主要データセンターが密集し、成長著しいメガクラウドベンダーのサービス拠点も集中している。また、企業数の多い東京都を中心に、企業所在地の近隣データセンターを利用したいというニーズを受けて、ハウジングも根強い需要がみられる。東京都や千葉県で新設データセンターが複数建設されるなど、今後も市場拡大をけん引していくとみられる。
 関西では、金融業をはじめとする大手企業のバックアップシステム向けにハウジングやホスティングを提供するサービスが好調である。また、メガクラウドベンダーが西日本のサービス拠点として、関西拠点を設けるケースが増加しており、今後もこの傾向は続くとみられる。
 その他地域も、関西と同様バックアップシステム向けにハウジングやホスティングを提供するサービスが中心である。ただし、その他地域では、近年バックアップ関連ニーズが低調なため、IoT関連での利用など新たな需要の取り込みが求められる。
注目市場
ハイパースケールDCのラック供給量 ラック数
2018年見込2023年予測
31,070ラック83,070ラック
 ハイパースケールDCとは、大口需要家であるメガクラウドベンダーなどの事業者向けのデータセンターである。一般的なデータセンターよりも床面積が広大であり、搭載ラック数も非常に多く、1ラック当たりの平均提供電力量も大きい(8kVA以上が多い)。
 大量のIT機器を利用するメガクラウドベンダーを中心に利用が進み、開設件数が近年増加している。メガクラウドベンダーの提供するクラウドサービスの利用が増えるに伴い、ハイパースケールDCの需要も堅調に増えている。最近ではメガクラウドベンダーだけでなく、動画や音声コンテンツなどを提供する大手Webコンテンツ事業者による利用も増えている。また、クラウドサービスの基盤を置くデータセンターと利用ユーザー間のネットワーク通信距離を短くするためや、「EU一般データ保護規則」※を契機として利用者データは利用者がいる国のデータセンターで管理する方向で進んでおり、クラウドサービスの基盤が国内のデータセンターに置かれる傾向が強まっていることもハイパースケールDCの伸びの要因となっている。  これらの状況を受けて、ハイパースケールDCに参入するデータセンター事業者も増えていることも、データセンターサービス市場活況化の要因の一つとなっている。
 今後、ハイパースケールDCの搭載ラック数は、年によっては10,000ラック以上の増加が予想され、2023年には83,070ラックが予測される。現在、関東や関西を中心に構築されているが、それらの地域では広大かつ災害リスクに強く大容量の電力が兼ね備わった場所は多くないため、今後は地方で構築される可能性もある。
「EU一般データ保護規則」は、EU内のあらゆる個人情報の保護を強化し統合することを意図している。これをきっかけとして、利用者データは利用者の所在地域のデータセンターで管理し、他地域のデータセンターでは管理しない方針が進んでいる。それにより、グローバルでITサービスを提供する企業は各国地域にデータセンターを置くようになり、日本でサービスを展開する事業者も日本国内でデータセンターを調達する傾向にある。
内容の詳細につきましては『データセンタービジネス市場調査総覧 2019年版 上巻』をご覧ください。
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