MARKET マーケット情報


自動車・電装、情報通信機器分野などで次世代(SiCやGaN)の需要増加が期待される
パワー半導体の世界市場を調査
−パワー半導体2030年市場予測(2018年比)−
SiC4,230億円(10.8倍)、GaN1,085億円(60.3倍)、Si4兆2,567億円(45.1%増)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、自動車・電装分野を中心に需要増加が期待されるパワー半導体について、現状の主軸であるSiをはじめ、量産化が期待される次世代、次々世代のSiC、GaN、酸化ガリウム系などの世界市場を調査した。その結果を「2019年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、次世代、次々世代を含めたパワー半導体16品目に加え、パワー半導体構成部材17品目とパワー半導体製造装置21品目、さらにパワーエレクトロニクス機器30品目の市場について現状を分析し、将来を予測した。

対象としたパワー半導体市場は堅調に拡大しており、2018年の合計は3兆円弱となった。2018年後半より中国の市況悪化の影響から産業分野などでは需要はやや低調であるが、中・長期的には自動車の電動化に伴い自動車・電装分野の需要増加が期待される。また、電力損失低減により効率化を図るため、情報通信機器分野や電鉄車両分野でも採用機運が高まっている。

◆調査結果の概要

1.次世代(SiC、GaN)、次々世代(酸化ガリウム系)パワー半導体の世界市場



1)SiCパワー半導体

市場は中国や欧州を中心に拡大しており、2018年は2017年比41.8%増の390億円となった。現状はSiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)が7割を占め、情報通信機器分野を中心に需要が増えている。6インチウェハー投入の動きにより低コスト化が進んでおり、さらなる伸びが予想される。また、SiC-FET(フィールド・エフェクト・トランジスタ)は自動車・電装分野を中心に大きく伸びている。

2022年頃から海外自動車メーカーが駆動用インバータモジュールにSiCパワー半導体を採用予定であり、自動車・電装分野の需要増加が期待される。特に欧州や中国で需要が先行し、大型商用車や高級車から採用が広がり、2025年頃からは大衆車での採用が予想される。現状は駆動用インバータモジュールやオンボードチャージャー、DC-DCコンバータ向けでSiパワー半導体が採用されているが、SiCパワー半導体への置き換えるも増えるとみられる。また、電鉄車両分野では新型高速車両で需要が増えており、産業分野では溶接機械など大電力用途への搭載やデバイスの低価格化に伴う採用増加が予想される。

2)GaNパワー半導体

市場の立ち上がりが遅れているものの、今後の高耐圧化などによって自動車・電装分野などを中心に幅広く採用されるとみられる。SiCパワー半導体と比較すると当面は市場拡大のペースは緩やかであり、参入メーカー各社は2022年以降の本格的な需要増加を想定している。

GaNパワー半導体は高速スイッチング性能に強みがあるため、情報通信機器分野での基地局向け電源や仮想通貨取引で利用されるマイニング用のサーバー電源向けの需要増加が期待される。また、自動車・電装分野ではEV向けのワイヤレス給電、高周波パルス電源回路を搭載した工作機械や医療機器で需要増加が予想される。民生機器分野は高級オーディオ、ワイヤレス給電システム、ACアダプタ向けが有望である。

GaNパワー半導体を搭載する際にユーザー側で回路設計を変更する必要があることが、普及の阻害要因の一つとなっている。しかし、制御回路をIC化したパッケージ製品の開発が進んでいることから、今後は採用増が期待される。量産による低価格化や高耐圧化が進むことで採用アプリケーションが拡大するとみられる。

3.酸化ガリウム系パワー半導体

主要メーカーによるSBDの量産化が予定されている2019年に市場は本格的に立ち上がるとみられる。また、2020年頃にはFETのサンプル出荷が予定され、その後実用化が進むとみられる。量産開始当初は民生機器分野などの電源向けでの採用が予想される。当初は600V・10A製品の展開が予定されているが、以降は電流値の向上により産業分野への用途拡大が期待される。

2.Siパワー半導体の世界市場

2018年
2030年予測
2018年比
市場規模
2兆9,342億円
4兆2,567億円
145.1%

市場は堅調に拡大しており、2018年は2017年比7.5%増の2兆9,342億円となった。規模の大きいパワーICやトランジスタの需要が堅調だったのに加え、パワーモジュール(IGBTモジュール、インテリジェントパワーモジュール)は10%以上の伸びを維持している。

2018年後半から中国市況が悪化しており産業分野などでの需要が低調なため2019年以降は伸びが鈍化するものの、自動車・電装分野での需要増加が市場拡大をけん引するとみられ、2030年には2018年比45.1%増の4兆2,567億円が予測される。

3.パワー半導体構成部材の世界市場 ※GaNウェハーは除く

2018年
2030年予測
2018年比
市場規模
2,087億円
5,771億円
2.8倍

パワー半導体市場の拡大に伴い、構成部材の需要も増加している。今後も自動車の電動化などによるパワー半導体市場の拡大が続くため、構成部材市場も拡大が予想される。伸びが大きいのはSiCウェハーである。海外を中心に需要が増加しており、主要メーカーが生産能力の増強を図っているものの、需給がひっ迫した状況が続いている。

中・長期的にはSiCパワー半導体構成部材の需要増加が期待される。2020年頃からSiCパワー半導体の駆動用インバータモジュールへの搭載が予想され、サンプル評価が進められているシンタリング接合材や封止材料、金属放熱基板、セラミック基板(窒化ケイ素基板など)の需要増加が予想される。

◆調査対象

パワーデバイス 整流ダイオード、SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)、FRD(ファースト・リカバリー・ダイオード)、バイポーラパワートランジスタ、低耐圧パワーMOSFET、高耐圧パワーMOSFET、IGBTディスクリート、サイリスタ・トライアック、IGBTモジュール、インテリジェントパワーモジュール、パワーIC、SiC-SBD、SiC-FET、GaNパワーデバイス、酸化ガリウム系パワーデバイス、ダイヤモンド系パワーデバイス
パワーデバイス構成部材 SiCウェハー、GaNウェハー、酸化ガリウムウェハー、半導体レジスト、バッファーコート膜、CMPパッド、CMPスラリー、ダイボンディングペースト、はんだ、シンタリング接合材、リードフレーム用条材、ボンディングワイヤ、封止材料、セラミック基板、金属放熱基板、放熱シート、放熱グリース
パワーデバイス製造装置 エピ膜成長装置、GaN向けMOCVD、CMP装置、プラズマCVD、コータ/デベロッパ、露光装置、イオン注入装置、熱処理装置、レーザーアニール装置、ドライエッチング装置、スパッタリング装置、バックグラインダ、ダイシング装置、ダイボンダ、ワイヤボンダ、モールディング装置、ウェハー外観検査装置、チップ外観検査装置、セラミック基板検査装置、ハンドラ、電気テスタ装置
パワーエレクトロニクス機器 冷蔵庫、洗濯機、ルームエアコン、IHクッキングヒーター、炊飯器、電子レンジ、LED照明器具、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末、液晶テレビ、サーバー、UPS(中・大容量)、xEV駆動用インバータ、xEV用DC‐DCコンバータ、ステアリング制御システム、ADAS/自動運転システム、ボディ統合制御システム、車載用充電器、急速充電スタンド、普通充電スタンド、ワイヤレス給電システム、鉄道車両、太陽光発電用パワーコンディショナ、風力発電システム、家庭用燃料電池、電力貯蔵システム(需要家設置)、汎用インバータ、サーボアンプ、スポット溶接ロボット

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/06/05
       
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