MARKET マーケット情報


国内の水素関連市場と海外動向を調査
―2030年度予測(2019年度比)―
■国内の水素関連市場 3,963億円(34.2倍)
~水素発電の本格導入や水素ステーションの整備が進み市場拡大~
●水素発電向け水素燃料市場 1,328億円
~大規模輸送技術の実用化により水素の輸入コストが低減、水素発電が本格化し急伸~
■主要7カ国の商用水素ステーション (累計ベース) 4,726箇所(11.9倍)
  ~現在、日本はトップクラスの設置数。2030年度は米国、中国が増加し過半数を占める~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、水素アプリケーションの普及拡大と水素サプライチェーンの確立が進むことでさらに導入・活用が広がる国内の水素関連市場を調査した。その結果を「2020年版 水素利用市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、水素燃料と水素利用や水素輸送・供給で使用される関連設備・機器の市場の現状を分析し、将来を展望した。また、主要7カ国の水素ステーションやFCモビリティ(FCV、FCバス、FCトラック)の普及状況など海外動向も捉えた。

◆調査結果の概要

■国内の水素関連市場

2019年度

2030年度予測

2019年度比

116億円

3,963億円

34.2倍

水素関連市場は「水素燃料」、大規模水素輸送を対象とする「水素輸送」、水素ステーション(ST)やR水素・P2Gシステムなどを対象とする「水素供給」、水素発電システムと車載関連機器(車載用高圧容器 、車載用水素センサー)を対象とする「水素利用」の各市場を捉えた。

地球温暖化対策として水素の活用が重視されており、水素アプリケーションの普及拡大と水素サプライチェーンの確立が進められている。2019年度の市場は水素供給が大半を占め、水素インフラ整備が進んだ。水素STの建設は、政府が掲げる「2020年度160箇所」を目標に着実に進められているが、新型コロナウイルス感染症の影響による建設工事や手続きの遅れにより、一部では2021年度に持ち越す案件もみられる。一方で、水素製造設備FH2Rが完成したほか、世界初のMCH(メチルシクロヘキサン)輸入水素による発電が2020年5月に実現するなど水素燃料の活用拡大に向けた準備が進められている。2030年度頃になると液化水素、MCHなどの大規模輸送技術の実用化により水素の輸入コストが低減し水素発電の導入が本格化することから、市場は急拡大が予想される。また、FCVの量産化による本格普及やそれに伴う水素STの自立運営化により水素燃料のさらなる活用が期待される。

◆注目市場

●水素燃料(水素ガス)

 

2019年度

2030年度予測

2019年度比

全 体

7億円

1,771億円

253.0倍

 

水素発電向け

僅少

1,328億円

-

 

FCV向け

4億円

204億円

51.0倍

 

FCバス向け

2億円

34億円

17.0倍

※水素発電向け、FCV向け、FCバス向けは全体の内数

現状は、FCV向けを中心としたFCモビリティ向けが市場の大半を占める。2020年度は水素アプリケーションではトヨタ自動車から新型FCVの発売が予定され、FCバスの整備も首都圏を中心に進んでいる。また、水素サプライチェーンの確立に向け、ブルネイで製造された水素による発電実証が開始されたほか、オーストラリアから液化水素の輸入が2020年度内に開始されるとみられる。

2030年度以降、大規模輸送技術の実用化により水素の輸入コストが低減し、水素発電の本格導入が開始されるため、水素発電向けが急伸するとみられる。水素発電向けは2025年度に240億円、2030年度に1,328億円が予測される。

●商用水素ステーション

2019年度

2030年度予測

2019年度比

19箇所

95箇所

5.0倍

61億円

257億円

4.2倍

FCVやFCバス、FCトラックの水素充填に利用可能な商用水素STを対象とした。

政府が掲げる「2020年度160箇所」の目標達成に向け整備が進められており、2019年度は19箇所が新設され、累計で132箇所となった。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により不透明な状況が続いており、中には、施工の遅れで完工が年度内にできず2021年度に持ち越される案件があることから、2020年度は新設24箇所、累計で156箇所にとどまるとみられる。

この内、本格的なFCバス充填に対応した水素STについては、2017年3月に国内初となる「イワタニ水素ステーション 東京有明」が開所した。これに伴い、2018年3月に量産型FCバス「SORA」の販売が開始され、FCバス対応水素STが増加しており、2020年度中には累計で8箇所になるとみられる。FCバスは、東京五輪に向け東京都を中心に整備が進められており、東京都以外でも、神奈川県、愛知県、福島県などで既設の水素STを活用したFCバスの運行が開始されている。

【主要7カ国の商用水素ステーションの普及状況(累計ベース)】

 

2019年度

2030年度予測

日本

132箇所

626箇所

米国

43箇所

1,300箇所

ドイツ

83箇所

600箇所

フランス

19箇所

400箇所

英国

16箇所

300箇所

中国

70箇所

1,000箇所

韓国

34箇所

500箇所

合 計

397箇所

4,726箇所

日本は2019年度に132箇所となり、世界でトップクラスの設置数となった。米国はカリフォルニア州を中心に整備が進められ、2030年度には1,300箇所に到達するとみられる。ドイツでは主要都市に分散して設置が進み、FCVをはじめとしたFCモビリティの普及に応じて増加している。フランスはパリ、英国はロンドンに設置が集中している。中国では整備が急激に進んでおり、2030年度には1,000箇所になるとみられる。韓国は規制緩和により公共庁舎での整備が進んでおり、そのほか高速道路内での整備を強化している。2030年度には主要7カ国合計で、商用水素STは2019年度比11.9倍の4,726箇所になると予測され、世界で普及拡大が進むとみられる。

●小型水素ステーション

2019年度

2030年度予測

2019年度比

8件

85件

10.6倍

10億円

83億円

8.3倍

FCV(公用車・社用車)やFCフォークリフト(FCFL)への水素充填を目的として事業所に設置される水素供給設備を対象とする。

FCV用は本田技研工業が展開する「SHS」が需要の大半を占める。商用水素STの整備が遅れている地方自治体・官公庁などで導入されてきたが、全国的に商用水素STの整備が進められているため、小型水素STの導入は減少している。一方、FCごみ収集車両の実証が開始されており、今後は特殊・産業車両向けでの需要が増加するとみられる。

FCFL用は2016年にFCFLの販売が開始されて以降、導入が増加している。2019年度は4件のFCFL小型水素STが新設された。2020年度は補助金要件変更により導入コストが上がっているほか、新型コロナウイルス感染症の影響により新規投資計画に遅れがみられるが、環境意識や作業効率化の観点からFCFLの導入に関心を持つ企業は増加している。FCFLの普及に向け、運用台数の多い大口需要家を中心に導入が進められている。

◆調査対象

水素燃料

・水素ガス

 

 

水素輸送

・大規模水素輸送

 

 

水素供給

・商用水素ステーション

・蓄圧器

・水素バルブ

・小型水素ステーション

・液化水素貯槽

・オンサイト水素発生装置

・緊急用水素供給設備

・水素ディスペンサー

・R水素・P2G システム

・水素コンプレッサー

・水素ST用水素センサー

・水素発生装置(再エネ)

水素利用

・車載用高圧容器

・水素ガスタービン発電

 

・車載用水素センサー

・FC水素発電

 

その他

・アンモニア発電

・次世代水素製造

 

・次世代水素キャリア

・次世代発電システム

 


2020/09/02
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。