PRESSRELEASE プレスリリース

第15097号

画像センシング技術を応用した機器とそのアプリケーションの世界市場を調査
−2020年予測(2014年比)−
ビル・建物分野監視システムなどで画像処理や顔認証化が進展9,878億円(2.7倍)
交通・ITS分野セキュリティ、防犯関連システムとして監視の高度化により成長935億円(2.3倍)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、画像センシング技術を応用したカメラなどの機器(単体機器)5品目と、スマートシティ/スマートコミュニティを支えるビル・建物、交通・ITS、鉄道、物流など8分野においてそれらの機器を採用した注目システム(アプリケーション)24品目の世界市場を調査・分析した。その結果を報告書「スマートシティを支える画像センシング応用市場の実態と将来展望 2015」にまとめた。

◆調査結果の概要

画像センシング技術応用市場は単体機器、アプリケーションともに2020年にかけて堅調に拡大するとみられる。アプリケーションでは特にビル・建物、交通・ITS分野で高い伸長が期待される。

画像センシング技術応用機器/アプリケーションの世界市場

2014年
2015年見込
2020年予測
2014年比
単体機器
1兆3,850億円
1兆5,650億円
2兆6,148億円
188.8%
アプリケーション※
6,267億円
7,727億円
1兆3,582億円
2.2倍
  ビル・建物分野
3,718億円
4,981億円
9,878億円
2.7倍
交通・ITS分野
414億円
519億円
935億円
2.3倍
鉄道分野
126億円
131億円
190億円
150.8%
物流分野
891億円
937億円
1,205億円
135.2%
店舗分野
149億円
170億円
254億円
170.5%
公共分野
740億円
736億円
787億円
106.4%
航空・宇宙分野
38億円
45億円
67億円
176.3%
医療分野
192億円
206億円
266億円
138.5%

※アプリケーション8分野合計

1.単体機器

単体機器は、セキュリティカメラ、交通監視用カメラ、内視鏡、術野カメラ、書画カメラの5品目を対象とした。市場は、世界的な防犯意識の高まりによりセキュリティカメラがけん引し、拡大するとみられる。セキュリティカメラ市場は低価格なIPカメラ(ネットワークカメラ)がアプリケーション開拓を進め市場が急拡大しており、今後新興国でも需要が拡大するとみられる。交通監視用カメラもIPカメラの低価格化が監視箇所や監視対象の増加に繋がり拡大している市場の一つである。医療分野で利用される内視鏡や術野カメラは先進国のほか、新興国でも市場拡大が続くとみられる。

2.アプリケーション

(1)ビル・建物分野

対象としたアプリケーション市場の中で最も市場規模が大きい。これまでの監視は目視や録画により行われ、事後の対処や証拠として画像が使われるケースが多かったが、今後群衆の異常行動の検出、顔認識技術による不審者検出や高度な入退室管理など、犯罪の予知・防止の需要で高い伸びが期待される。

(2)交通・ITS分野

事故防止、渋滞防止以外にセキュリティ用途に採用され、市場が拡大している。IPカメラの低価格化により、設置箇所が大幅に増加しており、また産業用ライセンサカメラの応用も見られ、2020年には2014年比2.3倍の935億円になるとみられる。

(3)鉄道分野

安全強化から採用が活発化している。特に自動車用ドライブレコーダーと同機能を備えたトレインレコーダーは欧州、北米、日本などにおいて設置義務化がされたことで、普及期に入っており、市場をけん引している。今後、鉄道車両にはレール検査システムなど様々なカメラシステムの搭載が進み、市場は拡大するとみられる。

(4)物流分野

小口配送が増加したことで自動化ニーズが高まり、バーコードリーダー、物流向けロボットビジョンとも高い伸びを示している。バーコードリーダーは国内では流通業界を中心に普及が進み、通販市場の急拡大に伴い需要が拡大している。物流向けロボットビジョンは世界的なネット通販の増加に伴い、各国で物流拠点の整備が進んでいることから採用が増加している。

(5)店舗分野

セキュリティ以外にマーケティングやサイネージ用途に採用されており、市場が拡大している。世界的なネット通販の増加に対し、店舗側ではいかに顧客を取り込んでいくかが課題となっており、そのマーケティングに人数や性別、年齢、人の動きを認識できる人流計測システムの採用増加が期待される。

(6)公共分野

国内市場はほぼ成熟しており、更新需要が中心であるため、当面は横ばいで推移し、長期的には緩やかに減少するとみられる。海外市場は水道施設映像監視システムと発電所映像監視システムが堅調に拡大するとみられる。新興国では浄水場などの水処理場のセキュリティ監視が非常に厳しく、侵入監視用途を中心に水道施設映像監視システムの需要が増加するとみられる。

(7)航空・宇宙分野

航空・宇宙関連技術の民間転用が先行している北米で市場が立ち上がり、現在は各国公的機関向けなどで採用が進んでいる。アジアを中心に広がりを見せているが、今後はアフリカ、中南米などへの波及が予想され、市場の拡大が期待される。

(8)医療分野

患部可視化システムと病理画像解析システムが市場立ち上がりから間もないものの、性能の向上やコストダウンが今後進むことで市場の拡大が期待される。手術映像記録/配信システムは従来、大学病院など大規模病院で学生や研修医の教育用に採用されるケースが大半だったが、近年は医療訴訟対策に採用するケースが増加しており中小規模病院へ広がっている。

◆調査対象

単体機器 セキュリティカメラ、交通監視用カメラ、内視鏡、術野カメラ、書画カメラ
アプリケーション ビル・建物分野 監視システム(画像処理利用)、顔認証入退室管理システム、建築物診断システム
交通ITS分野 安全確認システム(歩行者、交差点)、ナンバー読取システム、交通流監視システム、道路維持管理システム(画像処理利用)
鉄道分野 トレインレコーダー、転落検知システム、レール検査システム
物流分野 バーコードリーダー、物流向けロボットビジョン
店舗分野 オブジェクト認識スキャナ、人流計測システム、顔認識サイネージシステム
公共分野 水道施設映像監視システム、発電所映像監視システム、焼却施設映像監視システム、文字認識システム
航空・宇宙分野 航空・衛星画像解析システム
医療分野 患部可視化システム、病理画像解析システム、手術映像記録/配信システム、医用バーコードシステム

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2015/10/27
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。