PRESSRELEASE プレスリリース

第16011号

広域医療連携システムや地域包括ケアシステム、電子お薬手帳など
医療情報システムの国内市場を調査
−2025年市場(2014年比)−
医療情報システムの国内市場4,952億円(36.9%増)、クラウド型電子カルテ195億円(10.8倍)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医療施設内や医療施設外において医療従事者や患者が医療情報を取り扱う際に利用される医療情報システムの国内市場を調査した。

その結果を報告書「2016年 医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.1 医療IT・医療情報プラットフォーム編」にまとめた。この報告書では広域医療連携システム関連29品目、地域包括ケアシステム関連6品目、電子お薬手帳関連4品目について、各施設における導入率やシステムのクラウド化率に着目しながら市場の現状を分析し、将来を予測した。(医療情報システムで収集したビッグデータを利用した、具体的なビジネス展開については 「No.2 医療ビッグデータビジネス編」でまとめる。

2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略」では、2020年までの5年間を集中取組期間として医療分野におけるIT化を推進する方針が示されている。各種の政策方針においても医療情報システムに蓄積・集約された医療ビッグデータを活用し、医療の効率化だけでなく、研究やヘルスケアビジネスにも利活用する方向性が示されるなど、今後医療情報システムおよび医療ビッグデータを活用したビジネスの拡大が期待される。

◆調査結果の概要

医療情報システムの国内市場

2015年見込
2025年予測
2014年比
広域医療連携システム関連
3,242億円
4,288億円
134.8%
地域包括ケアシステム関連
117億円
254億円
2.4倍
電子お薬手帳関連
320億円
410億円
125.0%
合 計
3,679億円
4,952億円
136.9%

広域医療連携システム関連は、都道府府県を単位とする三次医療圏および複数の市町村を単位とする二次医療圏の連携に関連する医療連携システムや電子カルテ、院内基幹システムなど主に病院および診療所に導入される医療情報システムを対象とした。

医療連携(広域・地域・救急)システムは、蓄積した医療情報の共有化を目的としたシステムである。市場規模は2014年時点で150億円程度といまだ小規模であるが、参入企業は自社のシステムが導入されることで、導入医療圏の医療情報システムで優位性を得られるため注力している。クラウド化も2025年までには大きく進展するとみられる。医療情報システムの中核となる電子カルテは、政府が400床以上の一般病院への普及率を2020年までに90%以上にする目標を掲げており、今後の伸びが期待される。また、クラウド型の導入も増えるとみられる。医療画像や検査支援の分野はコスト削減のためペーパーレス化やIT化が進み、医療用画像管理システム(PACS)をはじめ各システムの導入が進んでいる。今後も画像や検査値などの情報共有が進展することで、各システムの需要が高まるとみられる。

地域包括ケアシステム関連は、地域包括ケアシステムや関連するシステムのうち、主に介護や予防を目的とした医療情報システムを対象とした。

厚生労働省の推進が後押しとなり、地域包括ケアシステム/多職種連携システムは地域包括支援センターを中心に導入が進んでいる。遠隔診療システム/サービスは法整備が徐々に進んでおり、診療報酬の加算が実現すれば導入が急増するとみられる。訪問診療支援システムは訪問診療を行う病院・診療所・歯科医院、また在宅患者の増加により、効率的な訪問が求められているため需要が増えている。訪問看護/看護ステーションシステムは既に導入が進んでいるが、既存システムのバージョンアップや医療・介護保険の改定時にメンテナンスの必要性が発生するため伸びている。今後は主流となっているクラウド型の普及がさらに進むとみられる。遠隔看視/在宅医療向け緊急通報システムは一部の先進的な医療施設や地域での導入にとどまっていたが、近年は自治体による一括導入が進んでいる。福祉施設向けナースコールシステムは潜在需要が大きく施設数も増加しているため、今後の伸びが期待される。

電子お薬手帳関連は、クラウド化が進んでいる分野である。電子お薬手帳は患者個人の薬歴データを管理するシステムとして、大幅な伸びが予想される。電子薬歴システムは調剤薬局向けレセプトコンピュータとの一体型が多いが、今後はメンテナンスが容易な単体型が増加するとみられる。訪問薬剤管理指導支援システムは、在宅患者の増加により、操作性やカスタマイズ性の高い製品の需要増加が予想される。

◆注目市場

1.クラウド型電子カルテ

2015年見込
2025年予測
2014年比
市場規模
19億円
195億円
10.8倍

SaaS・ASP型の電子カルテを対象とする。イニシャルやメンテナンスなどのコストが削減できるため、特に一般診療所の新規開業時の導入が増えている。

一般診療所と一般病院の導入が多く、2025年にはそれぞれ導入率は20%を超えると予想され、導入施設の増加により市場拡大が期待される。今後は在宅医療専門クリニックの開設要件が緩和されることから、在宅医療関連の機能が充実した製品の需要が増加するとみられる。また、医療連携や多職種連携が進むことで情報共有に関する基礎システムとしての需要の高まりも予想される。現在はオンプレミス型を中心に展開している参入企業が、今後はクラウド型を主力製品に転換するケースも想定され、市場の伸びを後押しすると予想される。

2.電子お薬手帳

2015年見込
2025年予測
2014年比
市場規模
10億円
94億円
11.8倍

電子化されたお薬手帳を対象とする。患者が所持するスマートフォンなどのモバイル端末にダウンロードして用いるタイプやカード端末、診察券システム一体型、医療施設で用いられる専用のノートパソコンやタブレット端末などがある。

現状は参入企業や電子お薬手帳に対応した調剤薬局の増加により、エンドユーザーである患者が負担なく利用できるビジネスモデルを確立しつつある段階である。調剤薬局の導入が大半であり、今後はチェーン薬局や地域医療への取り組みが強い地域での導入が進むとみられる。厚生労働省が普及を促進しており、将来的には保険点数の付与なども行われるとみられ、ほぼ全ての調剤薬局に導入が予想される。調剤薬局で電子お薬手帳を利用した患者の囲い込みや、集積したビッグデータの活用などによる新たなビジネス展開も期待される。

3.地域包括ケアシステム/多職種連携システム

2015年見込
2025年予測
2014年比
市場規模
20億円
50億円
2.9倍

同一地域内で、中核病院や診療所、介護施設などの患者を取り巻く様々な施設で所有する患者情報を、ITを活用して共有し、在宅医療の支援や地域全体での医療の効率化を図るシステムを対象とする。中でも、高齢者を取り巻く基幹病院や診療所、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどの複数の事業所において診療情報や患者の容態、介護のニーズなどを共有し効率化するシステムが注目される。

2000年代後半より地域包括支援センターの設置が進み、同一地域内にある各種施設の連携体制の整備が徐々に重視されるようになったことで、同システムの注目度も年々高まり、2014年から2015年にかけて参入企業が一気に増加した。政府による推奨および補助金の支給、診療報酬の改定などの後押しもあり、市場は堅調に拡大している。厚生労働省の推進もあり、他の地域の状況に鑑みて導入を検討する行政機関や医師会などが年々増加していることもあり、急速に導入は増加すると予想される。また、システムのクラウド化も2025年には一般化するとみられる。

◆調査対象

広域医療連携
システム関連
1.広域医療連携システム、2.地域医療連携システム、3.救急医療連携システム、4.病院向け電子カルテ、5.診療所向け電子カルテ、6.精神科向け電子カルテ、7.歯科向け電子カルテ、8.クラウド型電子カルテ、9.レセプトコンピュータ、10.オーダリングシステム、11.電子処方箋システム、12.診療情報管理システム/医療用ドキュメントソリューション、13.診療/検査予約システム、14.医療用画像管理システム (PACS)、15.類似症例画像検索システム 16.放射線情報システム(RIS)、17.3D画像診断支援ワークステーション 、18.放射線部門検像システム、19.遠隔病理診断システム、20.遠隔放射線画像診断サービス、21.循環器部門システム(Cardiology PACS)、22.内視鏡検査支援システム、23.病理検査支援システム、24.検体検査支援システム、25.院内ナースコールシステム、26.看護支援システム、27.院内リハビリ管理システム、28.多機能ベッドサイド端末システム、29.健康診断/予防医療支援システム
地域包括
ケアシステム関連
1.地域包括ケアシステム/多職種連携システム、2.遠隔診療システム/サービス、3.訪問診療支援システム、4.訪問看護/看護ステーション支援システム、5.遠隔看視/在宅医療向け緊急通報システム、 6.福祉施設向けナースコールシステム
電子お薬手帳関連 1.電子お薬手帳、2.調剤薬局向けレセプトコンピュータ、3.電子薬歴システム、4.訪問薬剤管理指導支援システム

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/02/03
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。