PRESSRELEASE プレスリリース
一般用医薬品の国内市場を調査
皮膚治療薬186億円(6.9%増)、排卵日検査薬19億円(90.0%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、一般用医薬品17カテゴリー74品目の市場を調査している。第一回目は、ドリンク剤・ミニドリンク剤、疲労対策、女性関連、フットケア、美容関連用薬、肩こり・関節痛関連、小児用薬、その他外用薬、環境衛生用薬の9カテゴリー35品目の調査結果を報告書「一般用医薬品データブック 2017 No.1」にまとめた。
◆注目市場
1.皮膚治療薬(その他外用薬)
2016年 |
2017年見込 |
2016年比 |
|
市場規模 |
174億円 |
186億円 |
106.9% |
皮膚治療薬は、近年、特定の部位や使用シーンに対応した製品提案により市場が拡大している。デリケートゾーンの痒みに対応した小林製薬「フェミニーナ」や、頭皮湿疹に焦点を当てたロート製薬「メンソレータム メディクイックH」や池田模範堂「ムヒ HD」が好調で、市場を活性化させている。
2016年は尿かぶれやあせも、おむつかぶれなど多様なシーンでの使用や、顔・首すじなどの顔のまわりに使用できる製品の発売もあってニーズの広がりが見られ、市場は前年比6.7%増の174億円となった。2017年に入ってからも積極的な製品投入は続いており、また各社が皮膚疾患に対する適切な治療の啓発や薬剤の使い分けの提案を進めていることから、今後も安定した市場成長が期待される。
2.排卵日検査薬(女性関連)
2016年 |
2017年見込 |
2016年比 |
|
市場規模 |
10億円 |
19億円 |
190.0% |
排卵日検査薬は、2009年に薬剤師による対面販売が義務化されたことから取り扱いができなくなった薬店やドラッグストアがあらわれ、市場が大幅に縮小した。参入各社は既存品のリニューアルやラインアップの追加などに取り組んだものの長くは続かず、一方で売上規模が小さいことを理由に販売を中止する薬店やドラッグストアもあらわれるなど、市場は低迷を続けている。
2016年に規制緩和により医療用医薬品から一般用医薬品への転用が可能となったことから、2016年末から2017年にかけてロート製薬をはじめ、新規参入の武田コンシューマーヘルスケア、アラクスが相次いで一般用医薬品規格の新製品を発売し、販売を強化した。そのため、2017年の市場は2016年比90.0%増の19億円が見込まれる。今後は、広告活動も可能となったことで参入各社による広告展開が活発化していくとみられ市場拡大が予想される。
◆カテゴリー別主要品目市場
1.ドリンク剤・ミニドリンク剤
2016年 |
2017年見込 |
2016年比 |
|
ドリンク剤 |
59億円 |
58億円 |
98.3% |
ミニドリンク剤 |
361億円 |
365億円 |
101.1% |
合 計 |
420億円 |
423億円 |
100.7% |
ドリンク剤は、若者のドリンク剤離れや新規ユーザーの開拓に苦戦している企業も多く、縮小が続いている。2016年は、参入各社において実績回復に向けた製品コンセプトの見直しや新たな施策など前向きな取り組みが行われた年でもあり、前年と比較すると市場縮小は小幅となった。今後も市場縮小が続くと予想される。
ミニドリンク剤は、2013年以降景気回復の兆候が見え始めたことから高価格帯の製品が好調である。2016年は、高価格帯製品の伸びに落ち着きがみられたものの、効果や機能性の高さを謳った製品が積極的に投入され好調だった。しかし、価格の点からも若年層の需要開拓が進みにくく、メインユーザーである団塊世代が一線を退くことで需要の減退が懸念される。今後は市場拡大が続くものの、一時的な販促強化による実績拡大だけではなく、CVSをはじめ競争が激しいチャネルでの絶対的なポジションの確立、また次世代のミニドリンク剤ユーザーを育成していくことが更なる市場拡大へ向けての鍵になるとみられる。
2.美容関連用薬
2016年 |
2017年見込 |
2016年比 |
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美容関連用薬 |
461億円 |
464億円 |
100.7% |
(ビタミンB2主薬製剤) |
86億円 |
87億円 |
101.2% |
(しみ改善薬) |
167億円 |
169億円 |
101.2% |
※ビタミンB2主薬製剤、しみ改善薬は美容関連用薬の内数
ビタミンB2主薬製剤は、ニキビ、肌あれ、口内炎などに対する効能を訴求する製品を中心としている。主に女性の悩みに対応した製品が展開されており、市場は近年横ばいで推移しているものの堅実に需要を獲得している。2016年は、幅広い購買層を想定した販促強化を行ったエーザイや「ハイチオールBクリア」を発売したエスエス製薬が実績を伸ばし、市場の拡大に繋がった。今後は微増が予想される。
しみ改善薬は、2015年にアジア圏を中心とした訪日外国人の需要を受け、市場は大きく拡大した。2016年もインバウンド需要は続いているものの、2015年に比べ大きく減少したことから、市場は前年割れとなった。しかし、参入企業の注力度は依然として高く、今後も積極的なプロモーション活動が続けば市場の成長が期待できる。
3.肩こり・関節痛関連
2016年 |
2017年見込 |
2016年比 |
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肩こり・関節痛関連 |
813億円 |
833億円 |
102.5% |
(外用消炎鎮痛剤) |
472億円 |
485億円 |
102.8% |
※外用消炎鎮痛剤は、肩こり・関節痛関連の内数
外用消炎鎮痛剤は、サリチル酸配合の硬膏を中心に市場が形成された。ジクロフェナクナトリウム製剤の伸長やインバウンド需要の獲得により、市場は2014年以降好調に拡大している。2015年は、上位企業による積極的なプロモーション活動とインバウンド需要の取り込みによって市場は拡大した。2016年は、上位企業が引き続き好調だったことに加え、新規スイッチOTC「ロキソニン S」(第一三共ヘルスケア)の登場により市場は拡大した。今後は、高齢者人口の増加に伴い需要が増加するとみられており、市場の拡大が期待される。
◆調査対象
ドリンク剤・ミニドリンク剤 | ドリンク剤、ミニドリンク剤 |
疲労対策 | 滋養強壮剤(強精剤含)、薬用酒、強肝解毒栄養剤、ビタミンB1主薬製剤、総合ビタミン剤 |
女性関連 | カルシウム剤、造血剤、膣カンジダ治療薬、女性保健薬、月経前症候群治療薬、妊娠診断薬・排卵日検査薬 |
フットケア | 水虫薬、イボ・ウオノメ薬、足のむくみ改善薬 |
美容関連用薬 | ビタミンB2主薬製剤、ニキビ用薬、しみ改善薬、ビタミンE主薬製剤(ビタミンEC主薬製剤含)、あかぎれ用薬、乾燥皮膚用薬 |
肩こり・関節痛関連 | 外用消炎鎮痛剤、関節痛治療薬、ビタミンB1B6B12主薬製剤 |
小児用薬 | 鎮暈剤、小児五疳薬 |
その他外用薬 | 鎮痒剤、救急絆創膏、外用殺菌消毒剤、口唇ヘルペス治療薬、皮膚治療薬、育毛剤 |
環境衛生用薬 | 殺虫剤、消毒剤 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。