PRESSRELEASE プレスリリース

第17085号

ポストFITへのシフトを探る太陽光、導入再加速を図るバイオマス/風力の最新市場動向
再生可能エネルギー発電関連の国内市場を調査
−国内市場−
FIT関連発電システムは2025年度予測で1兆2,061億円
再生可能エネルギー発電システムの累計導入量は2025年度で1億654万kWに拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、FIT買取価格の変動などにより縮小が続く一方で関連サービスの需要が増加する太陽光をはじめ、輸入材の活用で市場が大きく拡大するバイオマス、系統状況次第で大きな伸びが期待される風力など、大きな動きがみられる再生可能エネルギー発電関連の国内市場について調査した。その結果を報告書「FIT・再生可能エネルギー発電関連システム・サービス市場/参入企業実態調査 2017」にまとめた。

この報告書では、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の発電システム/関連機器の市場について、現状を調査し、将来を予想した。また、単年の発電システム導入に関する市場が縮小する一方で、今後の市場拡大が予想されるメンテナンスや監視などの関連サービスの動向についても捉えた。

◆調査結果の概要

1.FIT関連発電システムの国内市場

※系統接続案件分で施工費などを含むシステム設置金額を対象とした。FITを利用していないシステムは含まない。

2017年度のFIT関連発電システムの新規導入市場は2兆894億円が見込まれる。太陽光が8割を占めているが、その他(風力、バイオマス、水力、地熱)の割合が前年度より増えている。今後、これまで中心を占めてきた太陽光の市場縮小により、2025年度の市場は2017年度の6割弱へ縮小するとみられる。

太陽光市場は、2014年度をピークに縮小している。2016年度は特に500〜2,000kW未満の出力帯の減少が大きかった。2017年度は認定失効を回避したみなし認定案件の導入が進んでいる。運転開始までの猶予期間が住宅用で1年間、産業用で3年間であるため、2019年度まではみなし認定案件の導入が進むとみられる。当面はみなし認定案件の導入が下支えするものの、2019年度に買取価格24円/kWhへの引き下げが決定されているなどの要因により、2025年度の市場は2016年度比で7割以上の縮小が予想される。買取価格の引き下げと機器コストの低下により、これまでの売電収益モデルから自家消費による光熱費削減へのマインド変化の影響で、10kW未満を中心に自家消費モデルが増加し、その市場は2025年度には2,600億円規模になると予想される。

風力市場は、20kW以上の大型でFIT施行直後に設備認定を受けた案件が稼動したことにより、2016年度は大幅に拡大した。20kW以上の大型システムは風況のよい北海道、東北、九州の電力会社による無制限出力制御以前の契約済案件が今後随時導入されるとみられる。2017年4月から風力発電更新時の買取価格が18円/kWhに引き下げられたために更新計画の中止・延期が相次ぎ、2017年度に一時的に縮小が見込まれるが、2018年度以降は新規開発済案件の導入が続くため再び拡大に転ずるとみられる。20kW未満の小型システムは、機器の製品ラインアップの拡充や参入プレイヤーの増加により、今後も好調が続くとみられる。2017年度は買取価格がFIT開始当初と同じ55円/kWhに据え置かれていることもあり、前年度比30%以上の伸びが予想される。しかし、2019年度以降は買取価格が低下するため市場は縮小するとみられる。

洋上風力は2020年度に初の商用ウィンドファームが運転開始するとみられ、以降は大幅な伸びが期待される。バイオマス市場は、FIT開始当初の一般木質・農作物残さや未利用木質を燃料とするシステムの大型案件が稼働したため、2016年度の市場は堅調だった。一般木質・農作物残さは、FIT開始直後に計画された大型案件が稼働したことから2016年度に大きく伸びた。一般的に未利用木質との混焼を行っているが、未利用木質の調達が難しくなったことから輸入材(一般木質に分類)を代替燃料として活用することが増えている。また、2017年10月申請分より一般木質・農作物残さの買取価格が21円/kWhに引き下げられることから、2017年度は認定の駆け込み需要が発生している。そのため、2020年度に導入のピークを迎えるとみられ、その後は縮小が予想される。

メタン発酵ガスは2016年度に下水処理場向けの竣工がピークを迎えたため大きく伸びたが、2017年度以降は当面市場は縮小するとみられる。未利用木質は2017年度までは堅調であるが、確保可能な集材圏が小規模化してきているため以降の市場拡大は困難とみられる。

水力市場は、FIT制度開始以降に計画された事業のうち、1,000kWクラス以上のリードタイムの長い案件が運転開始を迎えるとともに、200〜1,000kW未満のシステムや農業用水向けの高圧案件の導入が進む200kW未満のマイクロ水力も堅調だったことから、2016年度の市場は1,000億円を突破した。2017年度に1,000〜5,000kWで買取価格27円/kWhの新区分が設定されたことにより、2020年度頃からリパワリングを中心としたMWクラスの建設計画の顕在化が期待される。また、小水力(200〜1,000kW未満)発電機メーカーが大型化を志向することも予想され、2020年度以降は1,000〜3,000kW未満の伸びが市場拡大をけん引するとみられる。

地熱市場は、2017年3月に出力5MW超と国内最大級の滝上バイナリー発電所が運転開始されるなど、バイナリー発電を中心に堅調な伸びが予想される。2019年度は水蒸気発電プラントの運転開始が予定されているため、市場は当面のピークとなる576億円が予測される。2020年度以降は補助金を利用した案件の増加が期待される。

2.再生可能エネルギー発電システムの累計導入量

※2012年6月末の数値は経済産業省公表値を元に推定した。太陽光、風力、バイオマス発電システムは非FIT導入量を含む。

FIT開始前の2012年6月末では、FIT対象となる各種発電システムの累計導入量は約2,000万kWで、水力が全体の5割弱を占めた。FIT開始後は計画から運転開始までの期間が短く設備投資の費用対効果が高い太陽光を中心に導入量が急増した。2017年度末の累計導入量は約6,500万kWが見込まれ、7割超を太陽光が占めるとみられる。

経済産業省は2015年に2030年度における再生可能エネルギーの導入目標を公表している※。太陽光は2020年度にはおおむね達成するとみられ、2025年度末には導入目標を上回る8,000万kWが予想される。風力とバイオマスは2025年度末で導入目標の80%超が導入され、2030年度の導入目標は達成が予想される。水力は2025年度末で80%超を達成するが、更新によるFIT認定が多いため2030年度の導入目標の達成は困難とみられる。地熱は2025年度末で導入見込量の約45%と低く、新たな政策的支援が求められる。
※太陽光6,400、風力1,000、バイオマス602〜728、水力4,847〜4,931、地熱140〜155(単位:万kW)

◆注目市場

1.太陽光発電システム関連サービス

2016年度
2025年度予測
2016年度比
市場規模
1,958億円
3,729億円
190.4%

太陽光発電設備リース、屋根貸しサービス、太陽光発電遠隔監視サービス、太陽光発電メンテナンスサービス、太陽光発電保険サービスを対象とする。

システムの新設案件は減少が予想されるが、今後は累積した既設システムを対象とした関連サービスの伸びが予想される。特に遠隔監視サービス、メンテナンスサービスの需要増加が期待される。

遠隔監視サービスは、2017年4月の改正FIT法で、事業計画認定の条件として点検、保守、発電量の適切な計測や報告など安全性の確保や発電能力の維持を促す項目が追加されたことにより、これまで採用が少なかった低圧分野を中心に採用率の上昇が期待され、需要増加が予想される。

メンテナンスサービスも、改正FIT法施行での点検や保守などの項目追加により需要が高まっている。現状は、設備機器主体の保守管理(メンテナンス)が中心であるが、今後は太陽光発電所の環境全般に対する運営管理(オペレーション)業務が主体となるとみられる。将来的には、パネルの発電機能低下箇所や故障箇所を赤外線サーモグラフィとマルチコプター(ドローン)を用いて短時間で一次検出するパネル診断サービス、サイト環境やパネルの傾斜角度によって太陽電池パネル表面に堆積する汚れによる発電効率の低下を回復させるパネル洗浄サービス、作業員が搭乗するカート型草刈機あるいはAI機能搭載で無人で作業を行う自動草刈機による草刈サービスなどが需要を獲得するとみられる。

◆調査対象

太陽光 【関連機器】 太陽光発電パネル、パワーコンディショナ、高圧/特別高圧送受変電設備、太陽光発電併設蓄電池
【関連サービス】 太陽光発電設備リース、屋根貸しサービス、太陽光発電遠隔監視サービス、太陽光発電メンテナンスサービス、太陽光発電保険サービス
風力 【関連機器】 大型陸上風力発電機、小型風力発電機、洋上風力発電機
バイオマス 【関連機器】バイオガス発電機、バイオマス直接燃焼ボイラ、廃棄物発電機、木質バイオマスガス化発電装置
水力 【関連機器】 水力発電機
地熱 【関連機器】 水蒸気発電プラント ・バイナリー発電機

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/09/07
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。