PRESSRELEASE プレスリリース

第17086号

断熱・遮熱・蓄熱材の国内市場を調査
−2023年予測(2016年比)−
断熱・遮熱・蓄熱材市場:8,246億円(14.9%増)
省エネ気運の高まり、新規用途の開拓により市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、省エネ向上、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けて、注目される断熱材、遮熱材市場、GDPガイドラインの更新で採用拡大が期待される蓄熱材の国内市場を調査した。その結果を報告書「断熱・遮熱・蓄熱市場の現状と将来展望 2017」にまとめた。

この報告書では、断熱材(13品目)、遮熱材(5品目)、蓄熱材(2品目)の市場を住宅、非住宅、自動車・機器・システムなどの用途分野に分け採用状況や使用量を分析した。

◆調査結果の概要

1.断熱・遮熱・蓄熱材の国内市場

2016年の断熱・遮熱・蓄熱材市場は7,178億円となった。住宅分野向け、非住宅分野向けで市場の70%強を占めており建築用途の需要が市場をけん引している。建築用途では、断熱材や遮熱材を中心にZEHの普及や2020年までに予定されている改正省エネ基準/建築物省エネ法への適合義務を背景に今後も安定的に需要が拡大していくとみられる。しかし、2020年以降は新築住宅の着工戸数が減少に転じ、断熱材は横ばい、遮熱材は微増が予想される。

蓄熱材は、既存用途の需要は縮小しているものの、パッシブ蓄熱建材や定温輸送用蓄冷剤といった比較的新しい用途の需要が増加していることから、市場は拡大すると予想される。蓄熱材は未利用熱エネルギーや再生可能エネルギーの効率的な利用における熱ソリューション材料として注目度が高く、今後も活発な研究開発が進むと予想され、同時に新規用途の増加も期待される。

2.用途分野別市場

2016年
2023年予測
2016年比
住宅分野
4,377億円
5,047億円
115.3%
非住宅分野
922億円
960億円
104.1%
自動車分野
205億円
216億円
105.4%
その他分野
1,674億円
2,023億円
120.8%
合 計
7,178億円
8,246億円
114.9%

2016年の住宅分野市場は4,377億円となった。2020年の改正省エネ基準/建築物省エネ法の適合義務化に向け、断熱・遮熱材は安定した伸びが予想される。蓄熱材については2020年以降にパッシブ蓄熱建材としての採用が広がりをみせ、大きく伸びるとみられる。

非住宅分野の2016年の市場は、922億円となった。住宅分野同様に改正省エネ基準/建築物省エネ法への適合義務化に向け需要拡大が予想される。また2020年の東京五輪に向けても局地的ではあるが需要拡大が期待される。

自動車分野の2016年の市場は、205億円となった。車の電装化や省エネ・快適性の向上を目的に熱対策にかかわるニーズが増加している。

その他分野の2016年の市場は、1,674億円となった。断熱材市場の構成比が高い。特にビーズ法ポリスチレンフォームの比率が高いが、伸長率はカーボンファイバーや真空断熱材、フュームドシリカなどが高くなる。真空断熱材やフュームドシリカは採用先の増加による伸びが期待される。

◆注目市場

1.セラミックファイバー(断熱材)

2016年
2023年予測
2016年比
市場規模
538億円
791億円
147.0%

市場は従来、耐火物用途で使用されるRCF(リフラクトリーセラミックファイバー)を中心に構成されていたが、2015年11月に、RCFが特定化学物質障害予防規則の特別管理物質に含まれたことでAES(アルカリアースシリケート)やPCW(アルミナファイバー)への切り替えが進んだ。

2016年の市場は、538億円となった。形態別にみるとRCFは、AESやPCWへの切り替えが進んだことで縮小した。AESは2016年、RCFの代替需要により大きく伸びた。今後、伸びは落ち着いていくものの、メーカー各社におけるラインアップ拡充により、引き続き伸長していくとみられる。PCWは、RCFからの切り替えが緩やかに進んでいる。代替需要は2019年から2022年頃に一巡するとみられ、その後は耐火物用途における需要の維持・拡大が課題になるとみられる。

2.遮熱フィルム(遮熱材)

2016年
2023年予測
2016年比
市場規模
103億円
151億円
144.6%

2016年の市場は103億円となった。非住宅や自動車用途において好調だったことが拡大要因となった。

非住宅用途では、遮熱フィルムに対する補助金が支給されている学校を中心に需要が好調である。今後も学校、ホテル、病院における販路拡大が期待される。

自動車用途では、従来のリアサイドウインドウに加え、フロントサイドウインドウやフロントウインドウを中心に採用部位が増加している。今後、日本市場における自動車販売台数は減少していくとみられるが、遮熱フィルムの需要は毎年10%前後の伸長が予想される。

住宅用途では、集合住宅における空室率の改善を目的に室内のメンテナンスや住空間の整備の一環で遮熱/低放射フィルムを貼る機会が増加している。今後はメーカーによる販売促進の強化や建築物省エネ法、ZEH推進に伴う消費者意識の変化により中長期的に市場は成長していくとみられる。

その他用途では、鉄道車両窓で、車内環境の向上を目的に遮熱性と断熱性を兼ね備えた製品の採用が増加している。今後も冷暖房効率の向上や日射遮蔽などの点で室内環境の向上を目的に採用が進むと考えられ、安定した市場成長が期待される。

3.潜熱蓄熱材(蓄熱材)

2016年
2023年予測
2016年比
市場規模
11億円
43億円
3.9倍

2016年の市場は11億円となった。定温輸送資材向けが好調で市場は拡大した。近年、市場をけん引してきた自動車のエボパレータ用途やキャニスター用途は新たな採用モデルが拡大せず、2016年をピークに縮小していくとみられる。

今後は、医薬品の定温輸送資材向けやパッシブ蓄熱建材が市場をけん引していくとみられる。医薬品の定温輸送資材向けは、2019年にガイドライン化が想定される医薬品の適正流通基準(Good Distribution Practice : GDP)における温度管理の厳格化に伴って伸長するとみられる。また、パッシブ蓄熱建材では、2016年に「蓄熱建材コンソーシアム」が設立され、JIS化による製品性能評価方法の統一化が図られている。これにより消費者への性能訴求力が強まるとみられ伸長が期待される。

◆調査対象

断熱材 硬質ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、セラミックファイバー、カーボンファイバー、真空断熱材、フュームドシリカ(非晶質シリカ)、けい酸カルシウム
遮熱材 遮熱フィルム、高機能ガラス(複層ガラス/Low-E ガラス)、遮熱ガラスコーティング剤、遮熱塗料、高機能サッシ(樹脂サッシ・複合サッシ)
蓄熱材 潜熱蓄熱材、吸着材(ゼオライト・シリカゲル・ハスクレイ)
用途分野 住宅(戸建住宅・集合住宅)、非住宅建築物、自動車、家庭用燃料電池用貯湯タンク、ヒートポンプ式給湯器用貯湯タンク、家庭用冷蔵庫、自動販売機、冷凍・冷蔵ショーケース、エアコン、工業炉、定温輸送資材(蓄熱剤・保冷剤、定温ボックス・器材)、吸着式冷凍機、蓄熱式暖房機、蓄熱式床暖房、蓄熱式空調、蓄熱式蒸気発生器、蓄熱コンテナ

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/09/12
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