PRESSRELEASE プレスリリース
産業施設における工程別排熱ポテンシャル量739,389TJ(内直接加熱は343,046TJ)
消費エネルギーの電熱比電気:熱=13.8%(1,288,088TJ)86.2%(8,042,146TJ)
用途別エネルギー消費量電力では電気炉・加熱設備(25.7%)動力・搬送設備(21.2%)
熱では原料用(34.9%)、プロセス用直接加熱(24.7%)の構成比が大きい
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、製造業における省エネ対策の実状やその新たな方向性を捉えるために、産業施設の体系的なエネルギー情報が必要とされていることを受けて、主要製造業における業種別のエネルギー消費の実態を調査した。その結果を報告書「産業施設におけるエネルギー消費の実態総調査 2017」にまとめた。
省エネ対策が各業種で課題とされてはいるものの、現場のエネルギー管理担当者には省エネ対策の枯渇感が生じているのが実状である。また、設備動向に関しては、単なる最新設備への更新ではなく、排熱利用など高い技術力の求められる省エネへの取り組みが注目されている。
この報告書では、産業施設を20業種に分類しアンケート調査(確認ヒアリング含む)を実施し、エネルギーの利用用途・消費状況を細かく整理・分析し、業種ごとの燃料・電力・蒸気の使用状況を工程別に明らかにするとともに、排熱ポテンシャルを業種・工程レベルで詳細分析した。
業界別の省エネ対応と課題
食料品・飲料業界は、排熱利用への取り組み意欲が高い。特にパン・菓子、清涼飲料、酒類の3業種が積極的であり、蒸気の再利用など今後も排熱利用は増えるとみられる。一方、照明のLED化や断熱対策、空調の運用改善などの初歩的な取り組みは一段落している。また、東日本大震災以降に増加した自家発関連の取り組みなども落ち着きをみせている。
素材プラント業界は、省エネ対策の主軸として排熱利用および熱利用工程の補修・設備更新を進めているが、新規の省エネ対策への取り組みには苦戦している。一部の事業所ではIoT利用による省エネ対策が検討されているものの、本格的な導入には至っていない。
加工組立業界は、照明や空調による省エネ対策が課題とされている。特に一般機械は照明のLED化、電子部品は空調の運用改善などが進むとみられる。また、自動車は炉や燃料転換などによる省エネ対策の進展が予想される。
◆注目市場
産業施設における工程別排熱ポテンシャル量(2015年度)

排熱ポテンシャル量は739,389TJとなった。主要生産工程での蒸気(洗浄、乾燥、殺菌、反応・溶解、濃縮・蒸留、他生産工程)は28.3%を占めている。パルプ・紙・紙加工品の乾燥工程や、鉄鋼業の洗浄工程などの排熱量が大きい。直接加熱(プロセス用、非プロセス用)は46.4%を占めている。鉄鋼業でのプロセス用の排熱量が大きい。また、主要生産工程以外での蒸気による排熱は14.2%、他生産設備での直接加熱による排熱は11.1%を占めた。
食料品・飲料業界他では、蒸気由来の排熱が多い。飲料業界は、熱交換後の蒸気ドレンが排熱として発生するほか、工程で使用された温水も排熱として発生するため排熱の温度帯が広い。
素材プラント業界では、燃焼後の排ガスを予熱利用するとともに、投資回収が見込める場合には発電による回収を行っている。また、排ガスが多量に発生する場合、ガスホルダに貯蔵して利用する業種もある。
一方、蒸気については、高圧の蒸気が発電や加熱源として有効利用されている例もあるものの、低圧蒸気や温水は利用しきれていない。排熱利用は依然ニーズの高い省エネテーマであり、排熱輸送距離、汚れ対策、負荷変動の課題を克服しながら、低温排熱利用の取り組みが試行されている。
加工組立業界では、鋳鍛造熱処理工程の排ガスや洗浄乾燥工程の蒸気ドレン、各種工程の冷却排熱などの有効利用ニーズが高い。先進的な事業所では、熱交換によりボイラ給水の予熱や薬剤処理した後ボイラ給水に利用するなど、ボイラの効率的な利用に伴う排熱利用の広がりがみられる。
◆調査結果の概要
1.消費エネルギーの電熱比(2015年度)

熱消費の割合が圧倒的に多く86.2%を占めた。石油製品・石炭製品や鉄鋼業、有機化学は熱の割合が90%を超えている。石油製品・石炭製品では原料用、鉄鋼業ではプロセス用直接加熱や原料用、有機化学は原料用が大きなウエイトを占める。
電力消費は13.8%となった。東日本大震災前までは加熱炉など工場設備で電化が進行していたが、震災後の節電要請などの影響で電力消費量は減少している。系統電力からの購入電力の消費量が減少している一方、震災以降は自家発電による電力が増加しており2015年度は電力消費のうち自家発電が26.2%を占めた。
業種別では、電子部品・デバイス・電子回路は工程自動化のための動力設備での電力消費が多いため、電力の割合が75%を超えている。他にも一般機械器具やプラスチック製品、輸送用機械器具(自動車)、ゴム製品は電力の割合が50%を超えている。
2.用途別消費エネルギー量:用途別の燃料消費量(2015年度)

用途別では、原料用が38.6%を占める。有機化学や石油製品・石炭製品、鉄鋼業での消費が中心である。鉄鋼業の原料用は主に石炭およびコークスが使用される。次いでプロセス用直接加熱が24.7%を占める。鉄鋼業でコークス炉、高炉など、製鉄工場の加熱設備の燃料消費量が大きいことが要因である。
他生産設備は、石油製品・石炭製品や鉄鋼業、窯業・土石製品などで消費量が大きい。自家発電はパルプ・紙・紙加工品、鉄鋼業、石油製品・石炭製品、プラスチック製品などでの消費量が大きい。中でもパルプ・紙・紙加工品の消費量が最も大きく、パルプ製造過程で発生する黒液の燃料使用、また廃材などのバイオマス燃料の利用が多いことが要因である。発電設備が大きいため、新電力(PPS)用電源としての使用もみられる。
3.用途別エネルギー消費量:機器別の電力消費量(2015年度)

機器別の電力消費量では、電気炉・加熱設備(331,088TJ)や動力・搬送設備(272,757TJ)の構成比が大きい。コンプレッサやポンプ・ファンが続く。対象とした20業種の中で電力消費量が多いのは、鉄鋼業、パルプ・紙・紙加工品、有機化学、輸送用機械器具(自動車)、プラスチック製品などである。それらの業種を機器別にみると、鉄鋼業は電気炉・加熱設備が80%以上を占めている。鋳造の溶解電気炉、鍛造・圧延の加熱炉など、多数の電気加熱設備を所有している。
パルプ・紙・紙加工品は生産ライン用モーターなどの動力・搬送設備が60%弱を占めている。有機化学はポンプ・ファンが多く、輸送用機械器具(自動車)は動力・搬送設備やコンプレッサ、プラスチック製品は他生産設備の占める割合が高い。
◆調査対象
| 食料品・飲料業界他 | 食料品製造業 | 食料品(食材加工品)、食料品(調理品(中食))、食料品(調味料)、食料品(パン・菓子) |
| 飲料・たばこ・飼料製造業 | 飲料・たばこ・飼料(清涼飲料)、飲料・たばこ・飼料(酒類) | |
| 繊維工業 | 繊維工業 | |
| 素材プラント業界 | パルプ・紙・紙加工品製造業 | パルプ・紙・紙加工品 |
| 化学工業 | 無機化学工業製品、有機化学工業製品、医薬品 | |
| 石油製品・石炭製品製造業 | 石油製品・石炭製品 | |
| プラスチック製品製造業 | プラスチック製品 | |
| ゴム製品製造業 | ゴム製品 | |
| 窯業・土石製品製造業 | 窯業・土石製品 | |
| 鉄鋼業 | 鉄鋼業 | |
| 非鉄金属製品製造業 | 非鉄金属製品 | |
| 加工組立業界 | 一般機械器具製造業 | 一般機械器具 |
| 電子部品・デバイス・電子回路製造業 | 電子部品・デバイス・電子回路 | |
| 輸送用機械器具製造業 | 輸送用機械器具(自動車・同付属品) | |
| その他の製造業 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
