PRESSRELEASE プレスリリース
糖尿病、高血圧症、痛風・高尿酸血症、脂質異常症、肥満など
生活習慣病領域の治療剤市場を調査
注目市場:糖尿病治療剤 4,492億円(8.1%減)
治療患者数増加もジェネリック医薬品の侵食が進み2022年(5,262億円)をピークに市場縮小
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、多くの患者数を誇る糖尿病治療剤をはじめとした生活習慣病領域の国内市場を調査した。その結果を「2018-2019 医療用医薬品データブック No.1 生活習慣病・循環器・血液領域編」にまとめた。
今回の調査では、生活習慣病領域(6品目)のほか、患者数の増加で伸長する抗凝固剤・ヘパリン製剤をはじめとするその他循環器疾患治療剤(8品目)、薬価が高い新薬の普及が進み伸長する血友病治療剤をはじめとする血液疾患領域(5品目)の市場を調査した。なお医療用医薬品の国内市場調査は2018年から2019年にかけ、薬効領域別に6回に分けて調査する。
◆注目市場
1.糖尿病治療剤(生活習慣病領域)
糖尿病治療剤は、患者の増加に合わせて市場拡大してきた。副作用が少なく、血糖コントロールがしやすいDPP-4阻害剤の登場や、発売当初は副作用に関する懸念から高齢者には慎重投与とされていたSGLT2阻害剤が、「SGLT2阻害剤の適正使用に関するレコメンデーション」にて、「75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群のある場合には慎重に投薬する」と具体化されたことから処方対象が広がり、市場拡大につながっている。今後は、2022年ごろまでDPP-4阻害剤やSGLT2阻害剤がけん引し、市場は拡大するが、それ以降はジェネリック医薬品の侵食が進み縮小が予想される。
2.血友病治療剤(血液疾患領域)
2018年見込 |
2017年比 |
2026年予測 |
2017年比 |
|
市場規模 |
683億円 |
109.3% |
932億円 |
149.1% |
血友病治療剤は、高齢化の進展、定期補充療法による使用量の増加、インヒビター治療剤の使用量の増加、高品質な薬剤の普及などによって市場は拡大している。また、半減期延長型遺伝子組換え製剤の登場により、定期補充療法を行うケースが増加していることも市場拡大に寄与している。今後は、既存薬と比べ薬価の高い「ヘムライブラ」(中外製薬)を中心とした新薬の比率が高まっていくとみられ、市場拡大が予想される。
3.抗凝固剤・ヘパリン製剤(その他循環器疾患治療剤)
2018年見込 |
2017年比 |
2026年予測 |
2017年比 |
|
市場規模 |
2,061億円 |
106.7% |
2,636億円 |
136.5% |
2011年以降、「ブラザキサ」(日本ベーリンガーインゲルハイム)などDOAC(直接経口抗凝固剤)が発売されたことで市場は拡大を続けている。2013年2月の「エリキュース」(ファイザー)発売以降、新製品の発売はないものの、OD錠(口腔内崩壊錠)をはじめとした剤形追加や「リクシアナ」(第一三共)の適応拡大など参入各社の継続的な注力によって2018年も拡大が続くと見込まれる。今後は、高齢者の増加に伴い、心房細動患者や動脈硬化症患者、脳卒中など既往患者が増加していくとみられ、DOACを中心に拡大が予想される。
◆調査結果の概要
生活習慣病領域、その他循環器疾患治療剤、血液疾患領域の市場
生活習慣病領域は、高血圧症治療剤、糖尿病治療剤、糖尿病合併症治療剤、脂質異常症治療剤、痛風・高尿酸血症治療剤、肥満治療剤を対象とする。
市場は、ジェネリック医薬品の台頭により縮小が続いており、2018年は1兆3,746億円(2017年比91.8%)が見込まれる。今後は、糖尿病治療剤は2022年ごろまで配合剤を含むDPP-4阻害剤やSGLT2阻害剤が、また、脂質異常症治療剤は抗PCSK9抗体製剤が伸びると予想される。しかし、ジェネリック医薬品の侵食が続くことで市場は縮小するとみられ、2026年は1兆1,498億円(同76.8%)と予測される。
その他循環器疾患治療剤は、抗凝固剤・ヘパリン製剤、抗血小板剤・末梢血管拡張剤(腰部脊柱管狭窄症を含む)、心不全治療剤、不整脈治療剤、狭心症治療剤、肺高血圧症治療剤、利尿剤、脳卒中治療剤を対象とする(利尿剤はその他循環器疾患治療剤市場(合計値)から除いている)。
市場は、抗血小板剤・末梢血管拡張剤(腰部脊柱管狭窄症を含む)がジェネリック医薬品の影響を受け縮小し、2018年は5,935億円(2017年比98.9%)が見込まれる。今後は、抗凝固剤・ヘパリン製剤におけるDOAC(直接経口凝固剤)の伸長や、心不全治療剤「サムスカ」(大塚製薬)が肝硬変や希少疾患の常染色体優位の多発性のう胞腎の適応としても処方されることで伸長が予想され、2026年の市場は6,511億円(同108.5%)と予測される。
血液疾患領域は、鉄剤、血友病治療剤、その他の血液製剤・止血剤、播種性血管内凝固症候群治療剤、血液難病疾患治療剤(発作性夜間ヘモグロビン尿症治療剤、血小板減少症治療剤)を対象とする。
市場は、その他の血液製剤・止血剤が大半を占め、安定して拡大しており、2018年は3,473億円(2017年比101.6%)が見込まれる。今後は、血友病治療剤で初の抗体医薬「ヘムライブラ」(中外製薬)の伸長や血液難病疾患治療剤では、「ソリリス」(アレクシオンファーマ)の伸長、開発が進められている新製品の発売が予想され、2026年の市場は、3,749億円(同109.7%)と予測される。
◆調査対象
生活習慣病領域 | 高血圧症治療剤、糖尿病治療剤、糖尿病合併症治療剤、脂質異常症治療剤、痛風・高尿酸血症治療剤、肥満治療剤 |
その他循環器疾患治療剤 | 抗凝固剤・ヘパリン製剤、抗血小板剤・末梢血管拡張剤(腰部脊柱管狭窄症を含む)、心不全治療剤、不整脈治療剤、狭心症治療剤、肺高血圧症治療剤、利尿剤、脳卒中治療剤 |
血液疾患領域 | 鉄剤、血友病治療剤、その他の血液製剤・止血剤、播種性血管内凝固症候群治療剤、血液難病疾患治療剤(発作性夜間ヘモグロビン尿症治療剤、血小板減少症治療剤) |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。