PRESSRELEASE プレスリリース

第19051号

住宅設備・建材100品目の国内市場を調査
−2030年度予測(2017年度比)−
住宅設備・建材の国内市場5兆4,175億円(91.1%)
2020年度以降、新設住宅着工戸数の減少が顕著になるとみられ、市場は縮小に転じる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、ZEHの普及促進や高齢化社会に対応する製品開発が進む住宅設備・建材の国内市場を調査した。その結果を「2019年版 住設建材マーケティング便覧」にまとめた。

この調査では住宅設備46品目、建材54品目の計100品目の市場を調査・分析した。次世代住宅開発のコンセプトとなる「ウェルフェア/気候変動対策」「Connected Home関連設備」といった分野についても新たに捉え、住宅設備・建材市場の将来を展望した。

◆査結果の概要

住宅設備・建材の国内市場



新設住宅着工戸数は、2017年度から減少に転じているものの、戸建住宅が微増しており、それに伴い住宅設備、建材共に伸長している。2019年10月に予定されている消費増税に伴う駆け込み需要の増加が期待されているが、影響は軽微なものにとどまるとみられる。東京五輪が開催される2020年度以降は、新設住宅着工戸数の減少が顕著になるとみられ、住宅設備、建材共に市場は縮小に転じると予想される。

住宅設備は水廻り設備、水廻り関連設備機器、電気設備、空調設備、マンション共有部設備などの分野で市場が縮小していくとみられるが、ZEHや家庭用燃料電池、家庭用蓄電システムの本格的な普及が進むことで創エネ・省エネ分野で市場が拡大するとみられる。

建材はリフォーム、リノベーション市場の開拓が進むものの新設住宅着工戸数に影響を受ける品目が多いため、今後中長期的に市場は縮小していくとみられる。ZEHの普及に伴い、高断熱窓や高性能な断熱材、震災対策として、軽量な金属建材などは伸長が期待できる。

1.水廻り設備

2018年度見込
2030年度予測
2017年度比
市場規模
1兆0,728億円
8,402億円
77.3%

キッチン、洗面化粧台、浴室ユニット、温水洗浄便座、一体型温水洗浄便座、水栓金具を対象とする。水廻り設備はリフォーム向けが中心の市場となっている。2018年度はリフォーム市場が停滞したのに加え、新設住宅着工戸数の減少もあり、全ての品目が縮小している。2019年度は10月の消費増税の影響は小規模にとどまるとみられ、実施予定の次世代住宅ポイントも清掃性の高いトイレなどが対象となっており成長要因になるとみられる。今後、リフォーム、リノベーション需要が市場拡大のポイントとなるが、既築向けでの大幅な伸びは難しいとみられる。

2.木質系内装材

2018年度見込
2030年度予測
2017年度比
市場規模
7,518億円
5,610億円
75.3%

フローリング材、室内ドア、階段ユニット、造作材、収納部材を対象とする。木質系内装材は新築向けが主体の市場で、新設住宅着工戸数の影響を受けやすい。2017年度の市場は縮小したが、2018年度は台風の影響で一部のメーカーの生産に影響が出たものの、微増している。2019年度も市場拡大は続くが、2020年度以降は新設住宅着工戸数の減少により縮小が予想される。国産材の活用が積極的に推奨されており、今後も採用が進むとみられる。

3.外部建具

2018年度見込
2030年度予測
2017年度比
市場規模
6,874億円
5,111億円
74.5%

住宅用アルミサッシ、樹脂サッシ、窓シャッター、横引き雨戸、ガレージシャッター、複層ガラス、玄関ドア(戸建住宅用/低層アパート用)、集合住宅用スチールドア、天窓(トップライト)を対象とする。外部建具はサッシ、玄関ドア、シャッターなど新築向けが主体となる品目が多く、2018、2019年度と市場は微増したが、2020年度以降縮小するとみられる。一方、住宅用アルミサッシにおいて、アルミと樹脂を使った複合サッシや樹脂サッシなどの高機能窓は、一般のアルミサッシから切り替えが進んでおり、特に普及価格帯のラインアップが充実した複合サッシの需要が増加している。

◆次世代コンセプト市場

1.ウェルフェア/気候変動対策

2018年度見込
2030年度予測
2017年度比
市場規模
761億円
1,071億円
145.3%

腰掛便座(ポータブルトイレ)、水洗ポータブルトイレ、介護用電動ベッド、日射調整フィルム、遮熱塗料を対象とする。ウェルフェア関連は、高齢者人口の増加と在宅介護、高齢者施設向けの需要が増加していることで、近年堅調に市場が拡大している。気候変動対策関連では、遮熱塗料は、既築向けが中心となっているため、新設住宅着工数の減少による影響を受けにくく、今後も安定した市場推移が期待される。日射調整フィルムは東日本大震災後の節電や、省エネ対策として需要が増加したが、近年は代替としてLow-E複層ガラスなどが優先的に採用されており、2020年度以降は減少するとみられる。

2.Connected Home 関連設備機器/セキュリティ設備

2018年度見込
2030年度予測
2017年度比
市場規模
1,959億円
1,916億円
98.4%

HEMS、電力スマートメーター、電気錠、テレビドアホン、住宅情報盤、家庭用見守りカメラ、住宅用火災警報器、ガス漏れ警報器を対象とする。

代表的な製品であるHEMSは、スマートハウス化を目指す大手ハウスメーカー向けが中心となっていたが、近年は中小ビルダーにおける採用が増加している。電力スマートメーターは電力会社による2023年度末を目途とした導入計画に基づいて採用が進められている。2024年度以降は新築住宅向け、既築からのリプレース需要により、堅調に市場が拡大するとみられる。

セキュリティ設備機器は、テレビドアホン、住宅情報盤、住宅用火災警報器、ガス漏れ警報器において主にリプレース需要が中心となっている。家庭用見守りカメラは低価格化の進展と共に、ペットや子供の見守り用途を中心に普及が進んでいる。

◆調査対象

1.住宅設備

水廻り設備 キッチン、洗面化粧台、浴室ユニット、温水洗浄便座、一体型温水洗浄便器、水栓金具
水廻り関連設備機器 ビルトインコンロ(ガス)、ビルトインコンロ(IHクッキングヒーター)、据置型コンロ、ガス給湯器、電気給湯器、石油給湯器、ハイブリッド給湯器、レンジフード、ビルトイン型食器洗浄乾燥機、浄水器、ディスポーザー、生ごみ処理機、ガス式浴室暖房乾燥機、電気式浴室暖房乾燥機
創エネ・省エネ 住宅用太陽光発電システム、家庭用燃料電池、家庭用蓄電システム、太陽熱利用システム
Connected Home関連設備機器/セキュリティ設備 HEMS、電力スマートメーター、電気錠、インターホン向けIoTシステム、テレビドアホン、住宅情報盤、家庭用見守りカメラ、住宅用火災警報器、ガス漏れ警報器
電気設備 住宅用照明器具、住宅用分電盤、感震ブレーカー、トラッキング防止コンセント
空調設備 ルームエアコン、換気設備、ガス温水式床暖房、ヒートポンプ式床暖房、全館空調システム
マンション共有部設備 自転車置場、エレベーター、自動ドア

2.建材

木質系内装材 フローリング材、室内ドア、階段ユニット、造作材、収納部材
非木質系内装材 ブラインド、クッションフロア、壁クロス、化学畳表、内装建材用化粧シート、石膏ボード、粘着剤付化粧フィルム、住宅用天井材
断熱材 硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、押出法ポリスチレン、グラスウール、ロックウール
外部建具 住宅用アルミサッシ、樹脂サッシ、窓シャッター、横引き雨戸、ガレージシャッター、複層ガラス、玄関ドア(戸建住宅用/低層アパート用)、集合住宅用スチールドア、天窓(トップライト)
外装材 窯業系サイディング材、金属系サイディング材、樹脂系サイディング材、外装タイル、ALC
屋根材・雨樋 薄板平板瓦(新生瓦)、粘土瓦、金属屋根材、塩ビ雨樋、金属雨樋、雨水タンク
エクステリア 門扉、フェンス、機能門柱、カーポート、ウッドデッキ、バルコニーユニット、屋外物干金物、屋内物干金物、スチールガレージ、戸建住宅向け宅配ボックス、鋼製物置
ウェルフェア/気候変動対策 腰掛便座(ポータブルトイレ)、水洗ポータブルトイレ、介護用電動ベッド、日射調整フィルム、遮熱塗料

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/07/18
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