PRESSRELEASE プレスリリース
感染症領域や眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤などの調査に加え
医療用医薬品の国内市場を総括分析
■医療用医薬品国内市場8兆8,899億円
~抗がん剤は伸びるも、生活習慣病領域などはジェネリック医薬品の影響を受け縮小~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、花粉の飛散量やインフルエンザなどの感染症の流行に左右されやすい感染症領域や眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤などの国内市場を調査した。その結果を「2018‐2019 医療用医薬品データブック No.6」にまとめた。
この調査では、感染症領域(6品目)、眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤(5品目)のほか抗アレルギー剤(点眼剤、外用剤は除く)・アレルゲン免疫療法剤、呼吸器疾患治療剤(4品目)、消毒剤(含嗽剤含む)、予防医療・ワクチン製剤市場を調査した。また、「2018‐2019 医療用医薬品データブック No.1」から今回までの調査結果をもとに医療用医薬品全体市場を総括分析した。
◆総括分析
■医療用医薬品の国内市場
※2018年と2019年の調査結果を合算しているため2018年見込は実績値+見込値、2019年予測は見込値+予測値
2018年の市場はジェネリック医薬品の台頭や薬価改定によって最大の規模である生活習慣病領域が縮小したことから2017年比1.5%減の8兆7,635億円が見込まれる。今後は抗がん剤および抗がん剤関連用剤が伸びるが、規模が大きい生活習慣病領域はじめ、その他の治療剤は横ばい、若しくは微減することから2026年は8兆8,899億円と予測される。
■疾患、薬剤領域別市場
※2018年と2019年の調査結果を合算しているため2018年見込は実績値+見込値、2019年予測は見込値+予測値
抗がん剤は免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大、細胞療法などの新薬の開発によって伸びが予想され、今後医療用医薬品市場をけん引していくとみられる。
今まで市場をけん引してきた生活習慣病領域は、ジェネリック医薬品や薬価改定の影響を受け縮小している。今後もジェネリック医薬品の普及や、大型化が期待される開発品が見当たらないため縮小が続くとみられる。
中枢神経領域はADHD治療剤など、伸びが期待できる薬剤もあるが、認知症治療剤や抗うつ剤などはジェネリック医薬品への切り替えや薬価改定の影響から縮小していることから、微減で推移していくとみられる。
その他循環器疾患治療剤は抗凝固剤や利尿剤の新製品がけん引し、拡大が予想される。
整形外科領域は関節リウマチ治療剤の生物学的製剤、骨粗鬆症治療剤を中心に伸びている。今後も関節リウマチ治療剤や骨粗鬆症治療剤が拡大をけん引していくとみられる。
◆調査結果の概要
■抗アレルギー剤(点眼剤、外用剤は除く)・アレルゲン免疫療法剤、呼吸器疾患治療剤、感染症領域、消毒剤(含嗽剤含む)、予防医療・ワクチン製剤、眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤の市場
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2019年見込 |
2018年比 |
2027年予測 |
2018年比 |
抗アレルギー剤(点眼剤、外用剤は除く)・アレルゲン免疫療法剤 |
1,633億円 |
101.1% |
1,601億円 |
99.1% |
呼吸器疾患治療剤 |
3,044億円 |
101.4% |
2,551億円 |
85.0% |
感染症領域 |
5,365億円 |
92.1% |
4,376億円 |
75.2% |
消毒剤(含嗽剤含む) |
133億円 |
98.5% |
120億円 |
88.9% |
予防医療・ワクチン製剤 |
2,380億円 |
100.6% |
2,541億円 |
107.4% |
眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤 |
3,242億円 |
100.3% |
3,073億円 |
95.1% |
抗アレルギー剤(点眼剤、外用剤は除く)・アレルゲン免疫療法剤はジェネリック医薬品への切り替えが進み市場が縮小していたが、2016年11月発売の「デザレックス」(杏林製薬)、「ビラノア」(大鵬薬品工業、Meiji Seika ファルマ)が実績を伸ばし、2018年に拡大に転じている。
呼吸器疾患治療剤はCOPD治療剤が適応拡大や新薬の登場、参入メーカーの注力度向上などにより伸びている。また、特発性肺線維症治療剤は2015年8月に「オフェブ」(日本ベーリンガーインゲルハイム)が発売され、2017年に指定難病の医療費助成制度が改善され、一部条件を満たすことで軽症患者も利用できるようになったことから、急激に伸びている。そのため市場は当面拡大が続くが、しかし、今後は市場の大半を占める喘息治療剤がジェネリック医薬品台頭の影響により大幅に縮小するとみられ、市場縮小が予想される。
感染症領域は抗生物質が政府の使用を制限する政策により、縮小している。今後も抗生物質の使用を制限する政策は進み縮小が続くとみられる。HIV治療剤は新薬が多く発売されており伸びているほか、患者数も今後増加が予想される。一方、HIV治療剤は生涯服用する必要があることから、服用回数を減らせる配合剤の需要がさらに増加するとみられる。
消毒剤(含嗽剤含む)はインフルエンザの流行などに左右されやすく、近年大きな流行がなかったことから縮小している。一般用医薬品などの医療用規格以外の製品へ需要が流れていることもあり、今後も縮小するとみられる。
予防医療・ワクチン製剤は厚生労働省のワクチンの定期接種の実施要領によって、大きく左右される。定期接種の対象者の拡大、任意接種の定期接種化により、今後の拡大が期待される。(定期接種の増加はないとして市場予測を行った。)
眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤は、黄斑変性症治療剤や抗アレルギー点眼剤、アレルギー性鼻炎治療の点鼻剤を中心に伸びており、その他治療剤の減少分を補い、市場は拡大している。今後は加齢黄斑変性症での新規VEGF阻害剤の発売が控えている一方で、バイオシミラーの登場も考えられ、市場は横ばいから微減での推移が予想される。
◆注目市場
■特発性肺線維症治療剤
2019年見込 |
2018年比 |
2027年予測 |
2018年比 |
262億円 |
109.2% |
238億円 |
99.2% |
「ピレスパ」(塩野義製薬)が発売されたことにより市場が立ち上がり、2015年8月には「オフェブ」(日本ベーリンガーインゲルハイム)が発売され、市場は拡大を続けている。「オフェブ」は「ピレスパ」の約10倍と高薬価である。2017年に指定難病の医療費助成制度が改善され、一部条件を満たすことで軽症患者も処方可能になったことが市場の拡大に寄与している。今後は患者数の増加が予想されることから、当面は市場拡大が続くとみられる。しかし、将来的には「ピレスパ」や「オフェブ」のジェネリック医薬品が発売されるとみられることから、市場は縮小すると予想される。
■HIV治療剤
2019年見込 |
2018年比 |
2027年予測 |
2018年比 |
617億円 |
110.8% |
896億円 |
160.9% |
HIV治療剤は新製品の発売が続いており、多くが複数の成分を含有する配合剤である。これまで多くの医薬品を服用しなければならかったが、配合剤の登場により服用する医薬品の種類・数を抑えられるようになってきた。今後も効果の高さや錠剤の小型化、服薬数量および服薬回数の少なさを訴求した配合剤の開発が進むと予想される。
■黄斑変性症治療剤
2019年見込 |
2018年比 |
2027年予測 |
2018年比 |
800億円 |
101.9% |
747億円 |
95.2% |
黄斑変性症治療剤はVEGF阻害剤での治療が中心である。2009年に「ルセンティス」(ノバルティス ファーマ)、2012年に「アイリーア」(バイエル薬品、参天製薬)が発売され、市場は活性化し拡大を続けている。今後は2020年頃に新製品の発売が予想されるが、「ルセンティス」の特許切れにより2021年以降バイオシミラーが発売されるとみられ、「アイリーア」も2022年頃に特許切れが予想されるため、バイオシミラーの台頭により市場は徐々に縮小していくとみられる。
◆調査対象
■医療用医薬品市場調査シリーズ
No.6 |
抗アレルギー剤(点眼剤、外用剤は除く)・アレルゲン免疫療法剤 |
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呼吸器疾患 治療剤 |
喘息治療剤、COPD治療剤、特発性肺線維症治療剤、その他呼吸器疾患治療剤 |
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感染症領域 |
抗生物質、HIV治療剤、インフルエンザウイルス治療剤、 抗ヘルペスウイルス剤(疼痛除く)・抗RSウイルス剤、抗真菌剤、肝炎ウイルス剤 |
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消毒剤(含嗽剤含む) |
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予防医療・ワクチン製剤 |
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眼科・耳鼻咽喉科疾患治療剤 |
緑内障治療剤、角結膜上皮障害治療剤・ドライアイ治療剤、黄斑変性症治療剤、 その他眼科疾患治療剤(ぶどう膜炎等)、点鼻・点耳剤 |
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No.5 (19年9月6日発表) |
抗がん剤(15品目)、抗がん剤関連用剤(4品目) |
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No.4 (19年6月18日発表) |
産婦人科領域(5品目)、消化器科疾患治療剤(8品目)、腎疾患治療剤(8品目)、 泌尿器科領域(4品目) |
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No.3 (19年2月8日発表) |
皮膚科領域(9品目)、整形外科領域(5品目)、免疫抑制剤(2品目)、 甲状腺機能障害治療剤、栄養補助剤・輸液製剤、希少疾患領域(7品目) |
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No.2 (18年11月20日発表) |
中枢神経領域(11品目)、疼痛治療剤(6品目)、多発性硬化症治療剤、 ヒト成長ホルモン、体内診断薬 |
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No.1 (18年8月3日発表) |
生活習慣病領域(6品目)、その他循環器疾患治療剤(8品目)、 血液疾患領域(5品目) |