PRESSRELEASE プレスリリース

第19085号

喫茶、ファミリーレストラン、各国料理店などの外食市場を調査
タピオカドリンク人気で伸びるティースタンド・カフェなどが注目
―2019年市場見込―
●コーヒーショップ高価格型3,415億円低価格型1,028億円
~上位チェーンの新規出店やメニュー展開により高価格型が伸びをけん引~
●ティースタンド・カフェ249億円(2018年比49.1%増)
~若年層を中心としたタピオカドリンクの人気により拡大が続く~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、コーヒーショップやティースタンド・カフェが好調な喫茶、店舗数の増加で伸びているエスニック料理、業態によって好不調がみられるファミリーレストラン(FR)など国内の外食産業市場について調査し、その結果を「外食産業マーケティング便覧 2019 No.2」にまとめた。

この調査では、料飲店、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場の8カテゴリー73業態の市場について現状を調査し、将来を予想した。

なお、ファストフード(FF)、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、交通機関、レジャー施設、給食の6カテゴリー65業態の市場については9月3日に調査結果を発表している。

◆注目市場

●コーヒーショップ(高価格型、低価格型)

コーヒーショップは、セルフサービスの店舗を対象とする。CVSカウンターコーヒーをはじめとした他業態との競争が激化しているものの、上位チェーンの価格改定や、季節のドリンクメニューやフードメニューの拡充により客単価が上昇しており、2019年は高価格型を中心に市場は拡大するとみられる。また、SNS映えするドリンクの開発などにより既存店が好調なことも市場拡大に寄与している。

高価格型は、客単価400円以上の店舗を対象とする。各チェーンが全国出店を強化するとともに、商業施設や高速道路SA・PAなどに出店が広がったことや、「ブルーボトルコーヒー」の日本進出などの影響で質の高いシングルオリジンのコーヒーを提供する店舗が増えたことにより、市場は拡大を続けている。

2018年は上位チェーンの店舗数増加や、ほうじ茶やチョコミントをはじめとしたフレーバードリンクの好調などのプラス要因があったものの、全体としては新規出店ペースが前年より落ちたため、市場の伸びは2017年比2.8%増とやや鈍化した。2019年は上位チェーンの新規出店や、女性をターゲットにした新商品の投入など各チェーンがメニュー展開に注力していることによって、2018年比3.2%増の3,415億円が見込まれる。

付加価値の高いメニューや店舗の空間作り、季節限定のメニュー展開などで他業態との差別化を図っており、今後も市場拡大が続くと予想される。

低価格型は、客単価400円未満の店舗を対象とする。

2018年は上位チェーンを中心に好調であったものの、一部チェーンの店舗数削減による影響で、市場は2017年並みにとどまった。2019年は大型連休や働き方改革などの影響でオフィス街の営業日・時間が減少したため既存店は厳しい状況となっているが、上位チェーンの積極的な新規出店などにより2018年比0.8%増の1,028億円が見込まれる。

気軽に利用できる価格帯であるため、ビジネスマンなどを中心としたヘビーユーザーに支えられ安定した需要を獲得している一方、CVSカウンターコーヒーやFFなど手軽に淹れたてコーヒーを購入できる店舗の増加による競合が激化しており、ドリンクのフレーバー展開やフードメニューなどによる差別化が必要となっている。

●ティースタンド・カフェ

2018年

2019年見込

2018年比

167億円

249億円

149.1%

スタンド形式で、日本茶や中国茶などのティードリンクを販売している店舗を対象とする。台湾上位チェーンの日本進出がメディアに取り上げられ認知度が高まったことや、SNS映えするドリンクとしてタピオカドリンクが若年層を中心に注目されていることにより、市場は急拡大している。

2018年は若年層を中心としたタピオカドリンクの人気や、大手チェーンの出店増により2017年比54.6%増の167億円となった。2019年も上位チェーンを中心に出店増加が続いており、2018年比150店舗以上の増加となり、市場は同49.1%増の249億円が見込まれる。

上位チェーンの店舗数増加に加え個人経営の店舗も増えており、一過性の流行としてではなく日常的に利用するユーザーの増加によって、今後も市場拡大が期待される。また、コーヒーショップでは若年層を中心に甘いドリンクが人気メニューとなっているケースもみられるため、“コーヒーは苦手だがコーヒーショップを利用している層"の流入も期待される。

●東南アジア料理

2018年

2019年見込

2018年比

710億円

727億円

102.4%

1990年前半にチェーン展開が本格化したことで、多店舗化が進み市場は拡大した。2000年代にはタイやマレーシアで就業経験のある日本人による“屋台風"の小規模店舗や、カオマンガイやタイスキなどのメニューに特化した専門店が増加した。以降も、エスニックブームやパクチーブームを受けて店舗数は増加している。

2018年は一部チェーンが苦戦したものの、上位チェーンが店舗数の増加により実績を伸ばしたことで、市場は拡大した。2019年は麻辣や花山椒を料理に使用する“しびれブーム"を受けて注目されており、2018年比2.4%増の727億円が見込まれる。

“しびれブーム"により若い世代を中心に注目されているほか、東南アジアへの旅行者増加による認知度上昇に伴う新規ユーザーの獲得や、SNS映えのするメニュー展開により若年層や女性需要の獲得も期待される。

◆調査結果の概要

 

2018年

2019年見込

2018年比

料飲店

5兆3,550億円

5兆2,819億円

98.6%

ファミリーレストラン

1兆3,083億円

1兆3,022億円

99.5%

喫茶

1兆4,504億円

1兆4,646億円

101.0%

西洋料理

8,628億円

8,760億円

101.5%

日本料理

2兆6,209億円

2兆6,076億円

99.5%

東洋料理

1兆4,131億円

1兆4,178億円

100.3%

エスニック料理

1,419億円

1,449億円

102.1%

宿泊宴会場

3兆8,526億円

3兆8,640億円

100.3%

料飲店は、市場の8割強を占める居酒屋・炉端焼とスナック・クラブ・パブがマイナスで推移しているため、縮小している。会社員の飲み会や宴会、接待需要が減少、FRやCVSとの競合など市場を取り巻く環境は厳しく、縮小が続くとみられる。

ファミリーレストランは、イタリアFRやチャンポンFRは上位チェーンが堅調に伸びているが、中高価格型FRや和食FRなどがFFとの競合激化で苦戦しており、市場は縮小している。

喫茶は、喫茶店・コーヒー専門店は個人店を中心に店舗数が減少しているが、ロードサイド型の店舗はフードメニューに注力することでFRから需要を獲得し好調である。コーヒーショップは、多くのチェーンが季節のドリンクや、若年層をターゲットとしたメニューやフードメニューに注力したことで伸びている。また、若年層を中心に流行しているタピオカドリンクを提供する店舗を含むティースタンド・カフェは、台湾上位チェーンの参入や店舗数の増加に伴い、急激に伸びている。

西洋料理は、フランス料理やイタリア料理が他業態との競合や法人需要の減少により苦戦しているが、ステーキ・ハンバーグレストランが肉料理人気や上位チェーンの新規出店により伸びており、市場は拡大している。

日本料理は、そば・うどんやすし、てんぷらなどはFRやFF、中食惣菜への需要流出が続いており、売上低迷や後継者不足などの要因で個人店の撤退が増えている。一方、とんかつやすきやき・しゃぶしゃぶは肉消費拡大を背景に堅調であり、特に、すきやき・しゃぶしゃぶは食べ放題プランが支持され幅広い客層を取り込み、参入チェーンも積極的に新規出店を進めていることにより好調である。

東洋料理は、焼肉料理はテーブルオーダーバイキングの好調やインバウンド需要の獲得により堅調に推移している。また、若年層や女性には韓国料理や点心料理が人気であり、アルコール需要の減少によって客単価は低下しているものの、客数の増加により今後の市場拡大が期待される。

エスニック料理は、訪日・在日外国人の増加などを背景に市場が拡大している。特に、東南アジア料理は上位チェーンを中心に店舗数が増えており、若年層を中心とした認知度向上によって、今後も伸びが予想される。

宿泊宴会場は、旅館が地方の中小規模旅館の廃業などを受けて縮小しているが、ホテルは訪日外国人の増加などを要因として新規開業が増えていることから伸びている。

◆調査対象

料飲店

・居酒屋・炉端焼 

・鶏料理専門店

・ディスコ・クラブ

・アッパー居酒屋

・串カツ・串揚げ専門店

・カフェバー・ショットバー

・低価格型居酒屋

・ビアレストラン

・スナック・クラブ・パブ

・やきとり専門店

・クラフトビールレストラン

 

ファミリーレストラン(FR)

・中高価格型FR

・イタリアFR

・チャンポンFR

・低価格型FR

・中華FR

・バイキングレストラン

・和風FR

・ステーキ・ハンバーグFR

 

喫茶

・コーヒーショップ

・ロードサイド型喫茶店・コー

・フルーツパーラー

・低価格型コーヒーショップ

ヒー専門店

・甘味処

・高価格型コーヒーショップ

・高価格型喫茶店・コーヒー専門店

・ジューススタンド

・喫茶店・コーヒー専門店

・紅茶専門店 

・ティースタンド・カフェ

西洋料理

・フランス料理

・ドイツ料理

・オムレツ・オムライスレストラン

・イタリア料理

・スペイン料理

・カフェレストラン

・高級イタリア料理

・ステーキ・ハンバーグレストランン

・ワイン酒場

・パスタレストラン

・シーフードレストラン

 

・アメリカ料理

・オイスターバー

 

日本料理

・そば・うどん

・とんかつ

・かに料理

・そば居酒屋

・すきやき・しゃぶしゃぶ

・ちゃんこ料理

・すし

・料亭・割烹

・もつ鍋

・うなぎ

・豆腐料理

・お好み焼き

・てんぷら

・低価格ふぐ料理

・牛タン専門店

東洋料理

・韓国料理

・ホルモン料理

・点心料理

・焼肉料理

・高級中華料理

・餃子専門店

・焼肉テーブルオーダーバイキング

・一般中華料理

 

エスニック料理

・メキシコ料理

・インド料理

・東南アジア料理

宿泊宴会場

・ホテル

・結婚式場・宴会場

・旅館

・ビジネスホテル

 

 


2019/10/17
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。