PRESSRELEASE プレスリリース

第20072号

HV、PHV、EVの世界市場を調査
―2035年世界市場(乗用車・新車販売台数) ※ 予測(2019年比)―
●HV 675万台(2.6倍)
~日本がけん引、今後は日本自動車メーカーなどの注力により中国でも伸長~
●PHV 996万台(17.2倍)
~中国、欧州において普及が進み、拡大~
●EV 1,969万台(11.8倍)
~中国、欧州がけん引。各自動車メーカーが本格的な普及を目指し、車種ラインアップを拡充~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、各自動車メーカーが車種ラインアップの拡充を図ることで活況をみせているHV(ハイブリッド自動車)、PHV(プラグインハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)の世界市場について調査した。その結果を「2020年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」にまとめた。

この調査では、HV、PHV、EVの各市場を捉えると共に、FCV、48VマイルドHV、電動トラック・バス、内燃自動車の市場についても整理し、それらの基幹部品13品目、充電関連3品目の市場について現状を調査し、将来を予想した。また、日本自動車メーカー11社、海外自動車メーカー16社の取り組みも明らかにした。

※超小型モビリティを除く。また、HVにはマイルドHVを含まない

◆調査結果の概要

■HV、PHV、EVの世界市場(乗用車・新車販売台数)

 

2019年

2018年比

2035年予測

2019年比

HV

263万台

112.9%

675万台

2.6倍

PHV

58万台

93.5%

996万台

17.2倍

EV

167万台

128.5%

1,969万台

11.8倍

合 計

488万台

114.8%

3,641万台

7.5倍

※市場データは四捨五入している

現状、HVの普及が先行している。今後はEV、PHVの普及が進み、特にEV販売台数は2021年にHVを超えるとみられる。2030年に向けて環境規制がより厳格化するため、各自動車メーカーがEV車種のラインアップ拡充に注力していることから、比率が徐々に高まっていくとみられる。

HV、PHV、EVを合計した2019年の市場はEVやHVの好調から2018年比14.8%増の488万台となった。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により販売台数が落ち込むとみられ、2019年比7.2%減の453万台が見込まれる。しかし、2020年から各自動車メーカーによる環境自動車の車種ラインアップの拡充が活発化しているため、2021年の市場は拡大するとみられる。2035年にはEVがけん引し、市場は2019年比7.5倍の3,641万台になると予測される。

エリア別では、中国と欧州が市場をけん引している。中国は、補助金などにより環境自動車の普及が進んでおり、今後もEVを中心にPHVやHVも伸び、2035年の市場は2019年比8.9倍の1,374万台が予測される。欧州はHVの普及が先行しているものの、環境規制の影響からEVとPHVの普及が急速に進んでおり、2035年の市場は2019年比9.8倍の1,190万台が予測される。北米は、国土が広く長距離の移動が多いことやピックアップトラックなど大排気量車両のニーズが高いことなどが環境自動車普及の阻害要因となるものの、2035年の市場は2019年比5.1倍の435万台が予測される。日本は、HVの普及は進んでいるが、EVやPHVの普及が進まず、2035年の市場は2019年比2.0倍の207万台が予測される。

■HVのエリア別市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

全体

263万台

675万台

2.6倍

 

日本

99万台

133万台

134.3%

 

中国

36万台

116万台

3.2倍

※日本、中国は全体の内数

2019年の市場は、263万台となった。日本が市場をけん引しており、欧州、北米と続く。今後は日本自動車メーカーなどの注力により中国でも伸長していくとみられる。

日本では、EVやPHVよりも安価で充電インフラが不要な点や、内燃自動車よりも走行距離が長い点が受け入れられたことから、他エリアと比較して普及率が高い。トヨタ自動車や本田技研工業をはじめ、日産自動車も「e-POWER」をほとんどのモデルに展開する計画を打ち出していることから、2023年までは堅調に拡大するものの、2024年以降はEVやPHVなどへ移行が進み、市場は頭打ちになるとみられる。2030年以降は車の保有離れなどにより自動車販売台数が落ち込むことや一定量がEVやPHVに移行することで縮小するとみられる。

中国では、トヨタ自動車や本田技研工業、日産自動車といった日本自動車メーカーがHVに注力しており、近年はHyundai・Kiaや吉利汽車なども投入していることから中期的には順調に市場拡大するとみられる。

■PHVのエリア別市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

全体

58万台

996万台

17.2倍

 

中国

23万台

396万台

17.2倍

 

欧州

21万台

377万台

18.0倍

※中国、欧州は全体の内数

2019年の市場は、58万台となった。PHVは内燃自動車とEVのメリットを兼ねそなえた環境自動車であるものの、HVよりも大容量のバッテリーを搭載するためコスト高となり、消費者ニーズとコストが上手く合致しないことから伸び悩んでいる。しかし、今後は中国や欧州において普及が進み、市場は拡大していくとみられる。

中国では、VWやBMW、Daimlerなどの欧州自動車メーカー、また、BYDや上海汽車(SAIC Motor)などが中国国内の環境規制やインセンティブ政策対応としてPHVの投入を行っており、2021年以降市場は拡大していくとみられる。

欧州では、2021年にCO₂排出量を規制するEURO6が施行されるため、欧州自動車メーカーを中心にPHVの積極的な投入が行われるとみられる。また、欧州の環境当局はPHVにおいて「(EV航続距離+25km)÷25」という「係数」を算出し、エンジン走行によるCO₂排出量を同係数で割った数値をカタログ上のCO₂排出量として認める救済処置を設定していることから、各自動車メーカーは大型大排気量車を中心にPHVのラインアップを拡充するとみられる。また、2019年からPSAやFCA、2020年からは日産自動車やRenaultが新規参入しており、今後は中国と並んで市場をけん引するとみられる。

■EVのエリア別市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

全体

167万台

1,969万台

11.8倍

 

中国

95万台

862万台

9.1倍

 

欧州

37万台

727万台

19.6倍

※中国、欧州は全体の内数

2019年の市場は、167万台となった。EVの登録優遇や補助金などにより急速に拡大している中国市場が大きく、環境規制が年々厳しくなる欧州が続く。日本や北米などでは、車体価格、走行距離、充電インフラ環境などにおいて消費者の不安がいまだに大きく、中国や欧州と比べて普及が進んでいないが、各自動車メーカーは本格的な普及を目指し、車種ラインアップ拡充に加えて、EVを身近に感じてもらえるようなイベントやカーシェアへの採用などを進めている。

2020年の市場は、新型コロナウイルス感染症の影響により中国や北米が縮小することから2019年比0.6%減が見込まれるものの、2021年には拡大に転じるとみられる。2030年以降、欧州で環境規制がさらに厳しくなることからHVやPHVから移行するケースも増えるなど市場は順調に拡大するとみられる。

◆調査対象

自動車

・HV

・FCV

・内燃自動車

・PHV

・48VマイルドHV

 

・EV

・電動トラック・バス

 

HV、PHV、EV、FCV関連部品

・モーター・ジェネレーター

・駆動用バッテリー

・燃料電池(FCスタック)

・インバーター

(ニッケル水素電池・リチウムイオン電池)

・水素タンク

・DC-DCコンバーター

・電流センサー

・急速充電器

・パワー素子(パワーデバイス)

・車載充電器

・普通充電器

・平滑コンデンサー

・マネジメントECU

・ワイヤレス給電システム

・電動車用暖房機構

・高電圧ケーブル

 

自動車メーカー事例

・日本自動車メーカー11社

・海外自動車メーカー16社

 


2020/07/09
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