PRESSRELEASE プレスリリース

第20075号

ESS(電力貯蔵システム)・定置用蓄電システム向け
二次電池の世界市場の調査結果
―2035年世界市場予測(2019年比)―
■ESS・定置用蓄電システム向け二次電池   2兆4,829億円(2.3倍)
~系統・再エネ併設用向けがけん引。住宅用、業務・産業用向けも大きく伸びる~
●住宅用蓄電システム向け二次電池   3,673億円(3.0倍)
~日本や欧州、米国、豪州で市場が拡大~
●業務・産業用蓄電システム向け二次電池   3,378億円(2.5倍)
~小規模施設(主に商業・公共)に併設する100kWh未満が大きく伸びる~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、新型コロナウイルス感染症の影響により短期的には不透明な部分があるものの、新たなビジネスの創出などにより拡大が期待されるESS・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場を調査した。その結果を「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2020 ESS・定置用蓄電池分野編」にまとめた。

この調査では、住宅用、業務・産業用、系統・再エネ併設用蓄電システムなどのESS・定置用蓄電システム向け二次電池について、電池種類や搭載容量、コスト、耐用年数などを踏まえ用途別の電池種トレンドを整理し、競合状況や市場を調査・分析し、将来を予測した。また、中・大容量UPS、無線基地局用バックアップ電源、直流電源装置(100V系)、鉄道用電力貯蔵システム向けの二次電池市場の動向についてもまとめた。

◆調査結果の概要

■ESS・定置用蓄電システム向け二次電池の世界市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

系統・再エネ併設用向け

4,646億円

1兆2,381億円

2.7倍

住宅用向け

1,226億円

3,673億円

3.0倍

業務・産業用向け

1,362億円

3,378億円

2.5倍

その他

3,499億円

5,398億円

154.3%

合 計

1兆 733億円

2兆4,829億円

2.3倍

※市場データは四捨五入している

※その他に含まれる直流電源装置(100V系)、鉄道用電力貯蔵システムは日本市場のみを対象

住宅用、業務・産業用(商業・公共・産業施設など)、系統・再エネ併設用(変電所や従来型発電所などの電力系統設置、発電事業用太陽光発電(PV)システム・風力発電システム併設)蓄電システム向けの二次電池、また、中・大容量UPSや無線基地局用バックアップ電源向けなどその他ESS用二次電池を対象とする。

2019年の市場は2018年比14.3%増となった。近年、再生可能エネルギーの普及拡大や導入補助政策の整備、大規模な実証事業などを背景に市場は急拡大している。

電池別にみると、現状ではリチウムイオン二次電池(LiB)や鉛電池(Pb)の搭載が多いが、長期的にはLiBが低価格化の進展に伴い大幅に伸長し、市場拡大をけん引するとみられる。

系統・再エネ併設用蓄電システム向けの市場を占める割合が最も大きく、今後も堅調な伸びにより2035年でも最大の割合を占めると予想される。特に系統設置向けの規模が大きく、電力系統安定化や域内電力需給管理、アンシラリーサービスなど様々な用途で使用される。再エネ併設用向けも、それぞれの発電システムの普及とともに伸長が予想される。系統設置向けはVPP(Virtual Power Plant)やDR(Demand Response)などのエネルギーサービスの一環として併設が進むため、順調な市場拡大が予想される。

住宅用向けは、PV電力の自家消費を目的とした導入や、自然災害や大規模停電への備えとして市場が拡大している。日本では、卒FITユーザーの需要増加により、さらなる伸びが期待される。業務・産業用向けは、小規模施設(主に商業・公共)に併設する100kWh未満の蓄電システムが米国や豪州で需要増加が予想される。100kWh以上も需要は堅調で、LiBだけでなくNaS電池やレドックスフロー電池の搭載も増えるとみられる。

その他では、中・大容量UPSや無線基地局用バックアップ電源向けの市場規模が大きい。無線基地局用バックアップ電源向けでは、近年、中国で車載用LiBのカスケード利用(複数回利用)が積極的に検討・展開されている。

◆注目市場

●住宅用蓄電システム向け二次電池の世界市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

全体

1,226億円

3,673億円

3.0倍

 

日本

385億円

782億円

2.0倍

※日本は全体の内数

戸建住宅や集合住宅で使用される蓄電システム向けの二次電池を対象とする。蓄電池付きEV・PHV用充電器、蓄電池付きV2Hシステムも含む。

主に系統電力やPV電力から充電し、災害時・停電時などにおける非常用電源用途や、深夜電力や日中に発生したPV電力を充電しピーク負荷時に放電するピークシフト用途、契約電力の超過を防止したり/引き下げたりするピークカット用途、自家消費用途で使用される。

エリア別では、日本や欧州(特にドイツ、イタリア、英国)、米国、豪州などで導入が進んでいる。これらのエリアでは、PV電力の自家消費や、災害や停電時の非常用電源用で導入が進められている。家庭用電気料金の高騰や導入補助政策、電力事業者による時間帯別料金の設定など、住宅用蓄電システムの導入が促進される環境が整いつつあることから、需要は増加している。また、住宅用蓄電システムを系統用エネルギーサービス用の電源として用いることにより系統設備への負荷低減を図る実証事業なども行われている。

搭載される電池はLiBが中心である。サイクル特性やトータルコストなどの面から、系統電力やPV電力のピークシフト用途との相性が良いため、LiBの採用率が高い。LiBは自動車向けなど様々なアプリケーションでも搭載が進み低価格化が想定されるため、今後の伸びが期待される。

●業務・産業用蓄電システム向け二次電池の世界市場

 

2019年

2035年予測

2019年比

100kWh未満

439億円

2,435億円

5.5倍

100kWh以上

923億円

943億円

102.2%

合 計

1,362億円

3,378億円

2.5倍

商業施設・産業施設・公共施設に併設される蓄電システム向け二次電池を対象とする。主な用途は商用電源や発電機と連携し、オフピーク時に蓄電しピーク負荷時に放電するピークカット/ピークシフトや、災害などの非常時における非常用電源、自家消費用再生可能エネルギーの負荷平準化などである。小規模施設(主に商業・公共)に併設する100kWh未満、中大規模施設(主に産業)に併設する100kWh以上の蓄電システム向けで、市場は分けて捉えた。

100kWh未満の蓄電システムは、米国を中心とした北米の需要が中心である。特に、デマンドチャージ対策のピークカット用途で導入が進んでいる。今後は、豪州におけるピークカットや非常用電源用途などの需要が増えるとみられる。

電池別では、PVシステムと併設されるケースが増えていることから、入出力特性に優れたLiBの搭載が進んでいる。北米エリアや豪州を中心にピークカット用途での大幅な需要増加が予想される。また、日本をはじめ各エリアで、エネルギーサービス用電源としての需要増加も予想される。出力規模や出力時間に応じてPbなどとの使い分けも想定されるが、低価格化やエネルギーサービスへの対応などからLiBの搭載が主流になるとみられる。Pbは、非常用電源や自家消費用再生可能エネルギーの負荷平準化の用途で一部需要がみられるものの、搭載は減少すると予想される

100kWh以上の蓄電システムは、PVと連携したピークカット/ピークシフトなどの用途を中心に、非常用電源用途、省エネ、瞬低対策など組み合わせたマルチユースによる導入が進んでいる。また、VPP、DR、インバランス補償サービスなどのエネルギーサービス用電源としての利用も注目されている。エリア別では、米国や韓国、中国が注目される。米国ではデマンドチャージ対策に向けたピークカット用途での需要が増加し、韓国では補助政策により導入が増えている。中国も米国と同様にピークカット用途での導入が進むとみられる。今後も、デマンドチャージ対策や自家消費、ピークカット/ピークシフトの需要増加により、北米エリアを中心に市場拡大が期待される。

搭載される電池はLiBが中心である。LiBの低価格化により、ピークカット用途の需要が増える北米エリア、中・長期的には中国や欧米などでの伸びが予想される。Pbは負荷平準化用など一定の需要にとどまるとみられる。NaS電池は、自家消費用再生可能エネルギーと連携したピークカット用途に加えて、今後はVPPをはじめとしたエネルギーサービス電源用途での伸びが期待される。日本メーカーが展開していることもあり、日本での需要が中心である。レドックスフロー電池は、NaS電池と同様にMW級の需要家向けで、自家消費用再生可能エネルギー負荷平準化・併用ピークカット・自家消費補助用途などで使用されるケースがみられる。

◆調査対象

二次電池

・鉛電池(Pb)

・電気二重層キャパシタ

・NaS電池

・リチウムイオン電池

(EDLC)

・レドックスフロー電池

(LiB)

・リチウムイオンキャパシタ

 

・ニッケル水素電池(NiMH)

(LiC)

 

蓄電システム

・中・大容量UPS

・住宅用

・系統・再生エネ併設用

・無線基地局用バックアップ電源

・業務・産業用(100kWh未満)

・鉄道用電力貯蔵システム

・直流電源装置(100V系)

・業務・産業用(100kWh以上)

 


2020/07/17
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