PRESSRELEASE プレスリリース
化粧品の国内市場を調査
■化粧品の国内市場 2兆9,134億円(2.6%増)
マスク着用や店頭カウンセリングの制限緩和が需要を喚起
■高価格帯化粧品の国内市場 9,532億円(4.6%増)
“ご褒美需要”や“リベンジ消費”で美意識の高い消費者の消費が促進される
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、経済活動の再開が追い風となり、新型コロナウイルス感染症流行の影響による大幅縮小から回復し始めている、化粧品市場を調査した。その結果を「化粧品マーケティング要覧 2022 総括編」にまとめた。
この調査では7カテゴリー42品目の国内化粧品市場を、価格帯別やチャネル別に動向を分析した。また消費者アンケートではマスクを外すことへの意識やマスク着用に関連したメイクの意向、ECやオンラインサービスの利用状況などを捉え、新型コロナ流行前後の化粧品購入金額の変化を分析した。
◆調査結果の概要
■化粧品の国内市場
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
2兆8,397億円 |
103.3% |
2兆9,134億円 |
102.6% |
市場は2020年に新型コロナ流行の影響を大きく受け縮小した。2021年も新型コロナの影響が続きメイクアップは需要回復が遅れた。一方で“おうち美容"に取り組む消費者が増加し、スキンケアやボディケア、ヘアケアでスペシャルケアアイテムの利用が増えたことから、市場は前年を上回った。
2022年は春頃からの感染状況の落ち着きやマスク着用方針の緩和などの好材料が見られ、苦戦が続いていたリップカラーが前年を上回り、ファンデーションもほぼ前年並みを維持するなど、多くの品目が好調であり、市場は前年比2.6%増が見込まれる。
■価格帯別化粧品市場
|
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
|
市販用 |
高価格帯 |
9,114億円 |
107.7% |
9,532億円 |
104.6% |
中価格帯 |
1兆 789億円 |
100.5% |
1兆 948億円 |
101.5% |
|
低価格帯 |
6,438億円 |
100.5% |
6,516億円 |
101.2% |
|
業務用 |
2,056億円 |
108.4% |
2,138億円 |
104.0% |
|
合 計 |
2兆8,397億円 |
103.3% |
2兆9,134億円 |
102.6% |
高価格帯は2020年に新型コロナ流行のためインバウンド需要が消失したことや、百貨店が営業を休止した影響を受けた。2021年は営業状況が改善したことに加え、“おうち美容"や“ご褒美需要"の高まりでハイプレステージブランドの需要が増加した。2022年にはマスク着用の緩和や会食機会の増加で仕上がりに定評のあるプレステージブランドの回復が加速するとみられる。“ご褒美需要"や“リベンジ消費"で高価な化粧品の需要が高まり、店頭カウンセリング活動の制限も緩和される方向にある中、美意識の高い消費者が需要の中心であるため他の価格帯よりも回復が早いと予想される。
中価格帯は2020年の新型コロナ流行によって、制度品系マス向けカウンセリングブランドのベースメイクやリップカラーの使用頻度が落ちたことや、高価格帯や低価格帯ブランドでマスクへの色移りを軽減した商品が増えたことにより苦戦した。2021年はマスク着用による肌への刺激を気にする消費者が増加したことで、敏感肌ブランドのスキンケアが需要を獲得した。敏感肌ケアに対する関心の高まりがボディケアやヘアケアにも波及したことで市場は前年を上回った。2022年はマスクを外す機会が徐々に増えていることでベースメイクの伸びが期待されるほか、サンスクリーンやヘアケアでは単価アップのため中価格帯の商品展開を行うなど活発な活動が見られることから、市場は拡大するとみられる。
低価格帯は中・高価格帯のメイクトレンドを汲んだ商品を投入してエントリー層の需要を獲得している。2021年は“おうち美容"の広がりでヘアケアやメンズコスメティックスの価格許容度が高まったため、中・高価格帯へのシフトが起こった。しかし、スキンケアやサンスクリーンの高機能化が進み需要を獲得したことで市場は前年を上回った。2022年は生活必需品の値上げが相次ぐ中で、化粧品への支出を抑える消費者が低価格帯へ流入しており、特にポイントメイクではトレンドを汲んだカラーラインアップの強化が進んでいる。また、スキンケアでもしわ改善などの高機能品が好調であり市場は拡大するとみられる。
◆注目市場
●UVケア(スキンケア/ボディケア)
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
568億円 |
103.3% |
596億円 |
104.9% |
スキンケアに含まれる日中用乳液、日中用美容液とボディケアに含まれるサンスクリーンを対象とする。
近年は消費者の紫外線対策意識が高まり、年間を通しての使用が増えたため市場は拡大していたが、2020年に新型コロナ流行の影響で外出機会が減少したことから大幅に需要が減退した。2021年は、トーンアップを訴求したサンスクリーンがメイクアップベースの代替需要を獲得して伸びたため、市場は回復に向かい始めた。コロナ禍でマスク着用により敏感肌に対するニーズが高まり、低刺激処方や肌への負担が少ない使用感の商品が需要を獲得したこともプラスに働いた。
2022年は有力ブランドから日中用乳液や日中用美容液の新商品が発売されている。サンスクリーンも引き続きトーンアップ訴求が活発であるほか、行動制限の緩和で使用機会が増加することから市場は拡大するとみられる。
●メンズコスメティックス(再掲)
2021年 |
2020年比 |
2022年見込 |
2021年比 |
1,550億円 |
102.9% |
1,583億円 |
102.1% |
近年は若年層を中心にスキンケア、ボディケアの意識が高まっていることを受け、メンズ整肌料やメンズボディケアが伸びて2019年まで市場が拡大してきた。
2020年はわずかながら縮小したものの、2021年も新ブランド、新商品の投入が相次いだため市場は活性化した。またテレワークやオンライン会議が定着し、自身の容姿を確認する機会が増えたことで、中高年層でもヘアケアやスキンケア意識が向上し、中高年層向けのブランドも好調であったことから2021年の市場は前年比2.9%増となった。2022年はスカルプケアやスキンケアなどの関心が高く、新商品の投入やプロモーションによって未使用者の開拓が進んでいるほか、前年に発売された新商品の店舗への配荷増も期待できることから市場は前年比2.1%増が予想される。
◆消費者アンケート調査
●マスク着用の意識(n=640/SA)
|
回答率 |
マスクを外す |
45.0% |
マスクを外さない |
55.0% |
コミュニティ内でマスクを外してもよいとなった場合に、マスクを外さないと回答した消費者が過半数を占めた。理由としては感染症対策が多く、マスク着用が緩和されつつある中でも消費者は感染症対策への意識が依然として高いことがわかる。
●マスクを外す人と外さない人のメイクアップの嗜好
(n=640/SA、マスクを外す=288、マスクを外さない=352)
|
ベースメイク |
ポイントメイク |
||||
小顔・立体感メイク |
薄付き・すっぴ ん風メイク |
肌悩みをしっかりカバーしたメイク |
眉 |
目の周り |
唇 |
|
マスクを外す |
17.0% |
43.4% |
39.2% |
18.1% |
44.8% |
16.7% |
マスクを外さない |
8.8% |
42.6% |
47.7% |
18.5% |
49.4% |
9.1% |
ベースメイクでは、マスクを外す人は薄付き・すっぴん風メイクを好むのに対し、マスクを外さない人は半数近くが肌悩みをしっかりカバーしたメイクを好む結果となった。肌悩みのある人ほど、気になる部分をマスクで隠す意向があると考えられる。ポイントメイクはマスク着用の意識に関わらず目の周りを重視する消費者が多い結果となった。
◆調査対象
カテゴリー別 |
価格帯別 |
||
低価格帯 |
中価格帯 |
高価格帯 |
|
・スキンケア |
2,000円未満 |
2,000円~6,000円未満 |
6,000円以上 |
・フレグランス |
2,000円未満 |
2,000円~5,000円未満 |
5,000円以上 |
・ヘアケア・ヘアメイク |
650円未満 |
650円~1,000円未満 |
1,000円以上 |
・メンズコスメティックス |
800円未満 |
800円~2,000円未満 |
2,000円以上 |
・ベースメイク |
3,000円未満 |
3,000円~4,500円未満 |
4,500円以上 |
・ポイントメイク |
2,000円未満 |
2,000円~3,500円未満 |
3,500円以上 |
・ボディケア |
1,000円未満 |
1,000円~3,000円未満 |
3,000円以上 |